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23 激戦~沼地の戦争6~私がそれを望むから~

また時間かけましたが、23話・・・沼編ラスト!



前回レンに対して恋心を自覚したシエラがどうするか(というかどうなるか)・・・



それは本編で!

ゼノらとある種の死闘を繰り広げたレン達は、集合場所であるコテージに戻ってきた時、集合時刻に遅れていたからという理由で怒られた。関係ないはずのシエル・シエラの姉妹やリリティアが解放した少女も一緒だった。


しかし、リリティア・シルディアの姿を見た教師達はすぐに集合せざるを得なくなっていたのだった。












































レンに割り当てられたコテージ。



(リリティアとシルディアは最上位になっちゃって、更に準最上位のシエルやあの男の人から奪う形になっちゃったノエルまで使役しないといけないって・・・本当に大丈夫かな、僕・・・)



左右をリリティア・シンシアに挟まれ、前にはルナーリアが。シエルはそんな3人に嫉妬しており頬をプクッと膨らませ、シエラは椅子をガタガタとさせていた。シルディアはナジャと共にノエルの心のケア中。


ちなみにノエルとは、リリティアの『反逆の糸繰人形』によって解放された、元ゼノの奴隷精霊だ。一度レンによって自由になる権利を貰ったものの、彼女自身が「お礼がしたい、あなたにならずっと仕えていたい」と言い張ったため、使役することになった。まだ契約はしてないが。


それに加えて、今回のことでレンにある種の謹慎命令が出されたのだ。その内容は『校外実習を一切禁ず』というもの。レンの使役する精霊が最低7人(シエラがまだ不明なため、最低という形を取っている)、うち最上位3人という状況であり、これ以上増やした場合レンへの負荷が相当なものになりかねないと予想されたためである。



「レン、どうするの?契約しちゃうの?」

「・・・これ以上増えるのも癪だけど・・・仕方ないと言えば仕方ない・・・わね」



リリティアとシンシアの珍しい意見の一致で契約を勧められる。しかし・・・



「シエラは・・・どうするの?」

「・・・」

「シエラ?」

「・・・へっ?って、わっ、わわっ、うわ、きゃっ、へぶっ!!」



椅子をガタガタと揺らしていたシエラは誰の話を聞いてないほど上の空で、声をかけられ椅子ごと倒れる始末。



「・・・シエラは後でいいわ、こんなんじゃ話なんてとてもできそうにないものね」



シンシアが言う通り、今のシエラは話も碌にできないほど呆けていた。実際は・・・



(・・・はぁ・・・)



・・・彼女もまた、姉と同じく色惚けしていただけだった。












































そして、シエル・ノエルと半契約が執行された。シエラだけは・・・まだ進展がないままだった。











































その日の夜。この日ばかりは厳命として同一コテージの別々のベッドで寝るように全精霊少女達は告げられていた。要は・・・一緒のベッドでレンと共に寝れないのだ。



「・・・むーっ・・・」

「仕方ないわ、今日レンは生死の境を彷徨っていたわけでもあるし、疲れているわ。私達だって同じ。それにベッド1つが狭いから・・・抱きついて眠ることなんてできっこないわ」

「・・・寂しいなぁ・・・」



口々にそう言うものの、全員が全員諦めの色を浮かべていることに変わりはなかった。たった1人を除いて・・・










































夜。全員が寝静まった頃、たった1人だけがひっそりと動いていた。目的は・・・レンのベッド。



(・・・誰にも見られたくない・・・見られたら決意が揺らいじゃう・・・)



ベッドにこっそりと乗り上げる少女。その少女は・・・シエラだった。僅かな布擦れの音ですら警戒し、レンの真上まで到達した。



(・・・この人の意志はまだ聞かない。聞いたところでいい返事が聞けないかもしれないから・・・。だったら進んで自分を縛っちゃうしかないもん・・・)



シエラの考え、それは四半契約だった。四半契約の場合、精霊側の意志のみで契約すれば、精霊側の意志でないと解約できない・・・その契約の『決まり』を利用した方法を採った。



(・・・よ、よくよく考えたら、こ、これって、ふぁ、ファースト、キス・・・なんだよね・・・。・・・って!余計なこと考えなくていいのに!!)



シエラがレンの真上で首を振って雑念を追い払おうとした時。



「・・・んぇ?」

「・・・ぇ」



眠っていたレンが目を覚ましたのだ。



「・・・しえ、ら・・・?」

「・・・~~~っ!!」



改めてレンに見つめられる形となり、シエラは再び動きを止めてしまった。




「え、えっと・・・?」

「・・・ぇぅ、ぁぅ、ぇぅ・・・」



完全に固まってしまっているシエラと、半分混乱しているレン。目の前にいる(というか馬乗りになってる)少女の意図が理解できないまま、レンは茫然としていた。



「・・・う~っ!!」

「し、シエラ!?むぅっ!?」



少し時間を置いて、決心したのか暴走したのか、シエラはレンの唇へと勢いよく自分の唇を押し当てた。離すまでの数分間、レンは混乱しっぱなしで、シエラは心に決めた事をずっと考えていた。



「・・・し、シエラ!?ど、どうして!?」

「・・・ダメなの?」



ただじっと見つめながらシエラは問う。



「・・・う、ぁ・・・」



若干潤ませた目は、明らかに恋い焦がれた物でもあった。



「・・・私、最初はね。お姉ちゃんが好きな人だってだけで何とも思ってなかったの。精霊を多く従えた人なんだなーって思ってただけ」



シエラの独白は続く。



「けど、私達が狙われた時、あなたの精霊は確かにあなたを守ろうとしてた。けど、あなたの命令で、じゃなくて自分自身の意志で守ろうとしてた」

「・・・命令とかする状況じゃなかったしね、僕は死にかけてたから」



レンの苦笑に、シエラは続けた。



「あなたが精霊に好かれてるんだって思ったの。好かれてなかったら精霊の意志なんて出てこないもん。それにあなたがノエルを守りたいって気持ちも・・・本気だって思った」

「・・・うん、それは本気だった」

「だからなのかな・・・気がついたら私も・・・好きになってたの」



そう言ってレンに抱きついたシエラ。



「今は・・・精霊と人とか主従関係とか・・・そういった関係以上になりたいの・・・。レンだったら・・・私堕ちちゃってもいいって思ってる」

「しえ、ら・・・」

「だから・・・もっと、キス、しよ?」



魅惑的なシエラから目を離せなくなったレンは、為すがままシエラにキスされた。その時だった。



「・・・んぅっ!?」



シエラの身体が突然跳ねた。レンも何が起きたか理解できない。



「し、シエラ!?」

「あ、ふぅっ、くぁっ・・・ああぁっ・・・!」



シエラは突然悶えだす。それこそ一線を越えてしまったかのような悶え方で、しがみつくようにレンに抱きついていた。



「れ、れん・・・な、なんか、おかし、からだ、あついぃ・・・」

「シエラ、シエラ!っ!?」



悶え、喘ぐシエラを励まそうとした時、彼女の髪に変化が起き始めたのを目撃したレン。彼女の髪が群青の光に包まれたのだ。



「や、やらぁ、わたしじゃ・・・なくなるぅ・・・」

「大丈夫、大丈夫だから!」



そんな騒動が聞こえてしまったため、全員が目を覚ました。



「な、何が起き・・・シエラ!?」

「シエラ!?どうしたの!?シエラ!?」



当然、今悶え喘ぐシエラの方へと視線が集まる。



「ど、どうしよう、シエラが、シエラが」

「落ち着きなさい!特に姉のあなたが慌てていたら何もできないわよ!」



シエルの慌てぶりに一喝するシンシアだったが、そのシンシアでさえ困惑を隠せないでいた。自分の知らないその現象に。



「うあ、あ・・・ああぁぁぁぁぁああああああああっ!!!」



シエラの大きなその叫びの直後、部屋が一気に光に埋め尽くされた。







































「どう・・・なった・・・の・・・?」



光に目が眩まされていた全員は、ようやく目を開ける事ができた。そこで見たのは、ベッドの上でぐったりする、少女だった。



「・・・誰?」

「・・・シエラ?」



殆ど目の前の少女が誰なのか理解できなかった。おそらくで言えたのがシエルくらい。なぜなら・・・



「・・・シエラって確か髪の色緑だったはず・・・よね?」

「う、うん。シエラは風と毒の2属持ちだから・・・髪の毛は緑色で目は紫色だったよ」



シエルはそう言ってシエラと思われる少女を見た。が、その少女はシエルの言う特徴の髪色をしていなかった。



「・・・むしろ群青色になってる、ね」

「そうですね・・・」

「うーん・・・何か起きたの?」

「・・・ねぇレン」



全員が疑問符を浮かべている中、リリティアだけはレンの方を向いた。



「・・・もしかして・・・シエラと契約した?」

「・・・う、うん」



その一言で全員がレンの方を向いた。



「・・・多分シエラだと踏んだとして・・・契約したからこうなったのかな?」

「かも、しれないです」



ナジャとシルディアが2人して見解をまとめた時・・・



「・・・う・・・うぅん・・・」



シエラ(?)が目を覚ました。



「・・・あれ、私・・・どうして・・・」

「シエラ?シエラなの?」

「そうだよ・・・実の妹の顔を忘れたの?」

「忘れたというより・・・変わってる」

「変わってる?」



シエラは周りから言われ、きょとんとしていた。



「ほら、鏡」

「え・・・えっ?ええっ!?ええぇっ!?」



自分を見てびっくりするシエラ。びっくりするのも無理はない。緑色だった髪の毛は綺麗な群青色へと、両方とも紫だった目の色は緑と紫のオッドアイとなっていたのだから。



「こ、れ・・・私・・・?」

「・・・みたいね」



シンシアが肯定することで、自分が今の姿へとなったことを理解したシエラ。



「思いっきり姿変わってるねー」

「うん、私が知ってるシエラじゃないもん」

「私も・・・違ってると思います」



精霊達がそういう中、レンは頭の中の引き出しを総漁りしていた。



「・・・(何か情報は無かったっけ・・・?契約時に姿が変わるのは・・・?)」



レンの記憶に、シエラの状況に該当するものは無かったのだった・・・



「シエラ、何か変わった事ってない?」

「何か・・・私の体の中で風と毒以外の何かよく分からないものが波打ってるっていうか・・・」

「ちょっと・・・体を診せてください。特に・・・核を。抜かないよう診る方法は何度も書物で見たので覚えてます」



シルディアはシエラの胸に手を当て、目を閉じた。



「・・・ど、どう?」

「・・・シエラさんの元々の属性の・・・風と毒を上塗ろうと・・・違う強大な属性がシエラさんの核の中にいるみたいです」

「風と毒以外の、強大な属性?」



ナジャの問いにただ頷くシルディア。



「詳しい事は専門の人に診てもらった方がいいと思います」

「そっか、ありがとねシルディア」



シルディアに礼を言い、またレンの方を見た。



「改めてよろしくね、レン」



屈託のない笑顔で言ったシエラに、レンは思わずどきっとしてしまっていたのだった。

今回ラストで姿が変わったシエラ。彼女に何が起きたのか?どうなったのか?


次回、明らかになります。というか暴走したりします。誰とは言いませんが。



ということで次回、何時頃になるかわかりませんが・・・お楽しみに!

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