表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/27

11 会合~霊峰での課外授業 2 心優しき使役者と人を嫌いし氷の精霊~

マリュート編その2、レンとシンシアが対峙する・・・はずがどうしてこうなった・・・


とりあえずリリティアの崩壊ぶりとシルディアの見せる頑張り、そしてレンの想いをどうぞ。

「一体如何してその子を手懐けたのか教えて貰えないかしら?」



不意に聞こえた女性の声に、レン達は一斉に後ろを振り向いた。



「・・・だ、誰?」



恐る恐る、といった感じでレンはその女性に名を尋ねた。・・・が、返ってきたのは



「人間如きに名乗る名なんてないわ」



という、あまりに淡白なものだった。当然レンは困る。名前も知らぬ女性に突然「その子(おそらくリリティア(レン的に))を手懐けた方法を教えろ」と言われたのだから。


そしてレンがさらに困る理由となった存在が、彼の横にいた・・・



「ちょっと!自分から話振っておいて誰と聞かれて名乗る名が無い!?ふざけないでよ!!」



そう、リリティアである。レンを侮辱されたことも相まって、彼女の怒りは怒髪天を突いていた。さらに言えば・・・



「シルディア、別になんてことないよね、僕が馬鹿にされてるのって」

「・・・むー・・・」

「シルディアも!?」



レンの蔭に隠れてはいるものの、シルディアも例に漏れず頬を膨らませて怒っていた。



「・・・頼むから落ち着いてよ二人とも・・・」

「だって!馬鹿にされたんだよ!?レンが!馬鹿にされたのなんて黙って指咥えて見てられないもん!!」

「・・・(コクコク)!!」



レンが宥めようとするも、二人の怒りは怒髪天。全く制止が利かず、リリティアについては臨戦態勢。



「・・・貴女が・・・あの「人に恋した闇精霊」、「リリティア・クロスフォード」なのね」

「ふえっ!?」



突然名前を呼ばれたどころか、予想外のことも言われ、リリティアは裏返った声を上げた。



「・・・どうしたの?」

「え、そ、そんな・・・まだ私レンと結婚してないのに・・・レンと同じ名字・・・はうぅ・・・で、でもでも、いずれ結婚するんだから名字は同じの方が楽だよね・・・えへへ・・・あ、もし結婚したらやっぱり赤ちゃん産んじゃったりするのかな、だとしたら何人産むのかな、いやん、レンのえっち!」

「り、リリティア!?」

「ふえぇっ!?」



突然早口でなにやらまくしたてるように独り言を離し始めたリリティアに驚きを隠せなくなったレンとシルディア。



「リリティア、リリティア!?」

「ふえぇ・・・?」



大きく肩を揺すってリリティアを元に戻そうと試みたレン。一瞬独り言が消えて元に戻った・・・と思ったら。



「レン、結婚しよ!!」

「まだ戻ってない!?」



面向かって堂々と告白。というか既に結婚願望が。



「だ、だ、ダメですぅっ!!」



そこに割って入ったのが珍しいことにシルディアだった。声が裏返っていたのはご愛敬。



「ご、ご、ご主人様と、けけ、結婚するのは、わ、わた、私れすっ!!」

「シルディアも落ち着いて!?」



リリティアを止めるのかと思いきや彼女もまた突然愛の告白を通り越したカミングアウト。



「レンと結婚するのは私なの!下級生霊はすっこんでて!!」

「ご、ご主人様と結婚するのは私なんですぅ~っ!!」

「このっ、ふざけたこと言う口はこの口かぁっ!」

「ふにぃ~っ、い、いひゃいれふ~っ!!」



口を引っ張るリリティアと、痛い痛いとリリティアの手をぺチぺチと叩くシルディア。



「・・・ああ・・・もうどうにもならないよ・・・」



その二人を見て、レンはついに地に膝を着けてしまう。



「・・・へぇ、手懐けた、というよりは恋い慕われてるのね・・・」



女性はそんな光景を見て腕を組み、小さく頷いていた。



「・・・人間」

「・・・え?」



不意に女性が声をかけてきたため、レンはorz体制から顔を上げた。



「一つ聞かせてもらうわ。貴方にとって精霊は何?」



女性からの問。それに対しレンは一度立ち上がり、彼女を見据えて自分の答えをしっかりと告げた。



「僕にとって精霊は・・・家族であって友達で・・・大切な存在だよ」

「・・・人間は精霊を道具と見ているけど?」

「それは確かに否定はしないよ。養成所の同級生の中にも精霊を道具とか奴隷のように扱ってる人を見るけど・・・少なくとも僕はそうは扱わない。絶対に」

「・・・」



女性はレンの答えを聞き、黙ったまま。そしてレンを見据える。



「・・・人間としては変わった存在ね、貴方」

「よく言われるよ。周りは「精霊は道具だ」とか「精霊は使いつぶして当然」とかいう人が多い中で僕は浮いていたから」



恥ずかしそうに俯き、頭を搔くレン。そして再び頭を上げた時・・・



「・・・っ!」



見てはいけないものを見てしまう。見てはいけないもの、それはそこには決して存在しないもの。先程までは絶対に見えていなかったもの。つまり・・・銃。



「危ないっ!!」

「えっ・・・」



その銃口が女性に向けられていることを悟ったレンは、すかさず女性の手を引きこちらに抱き寄せ、自分が盾となるように倒れ込んだ。







































その刹那、バン、という音が洞窟に響き渡った・・・

最後、シンシアに銃口を向け、引金を引いたのは誰で、その目的は何なのか。そしてレンは、シンシアは無事なのか。


リリティアとシルディアの喧嘩は収まるのか。


それは次回をお楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ