予感
フリッツは下でおきている出来事を理解すると、窓から叫んだ
「メイサ!」
先ほどまで熱で寝込んでいたフリッツだが、今はそんなことを言っている場合ではなかった
自室を出て階段を駆け下りると、宿の出入り口の扉を開けた
「メイサ!」
しかし、そこに居るはずの銀髪の男の姿は無く、ただメイサだけが地面に横たわっていた
フリッツは彼女に近づき、地面に広がっている大量の赤黒い血がメイサのものである事を知った
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そのころ、デュートは溶鉄山の中腹にさしかかっていた
「デュート・・・」
居るはずのないメイサの声がデュートに聞こえた
「デュート・・・」
デュートはあたりを見回したがメイサの姿は無かった
「メイサ?」
デュートは少し急ぎながら山を下り始めた
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町に戻ったデュートは、病室でメイサの死亡とその理由についての説明を受けた
横になっているメイサは、まぶたが少しだけ開いていた
紅色の瞳は美しいままだったが、窓から差し込む木漏れ日の揺らぎに反応はしていなかった
なにも語らないデュートの代わりにフリッツがつぶやいた
「こんなの酷すぎる」
「メイサは・・・」
「メイサは、ただ剣を取り戻そうとしただけなんだ」
「ボクがもう少し早く駆けつけていれば」
フリッツは、顔を歪めて大きな声を張り上げた
「くそう!」
「ボクはなんて無力なんだ!」
デュートは視線をメイサに向けたまま、フリッツに話しかけた
「フリッツ」
「メイサを斬ったヤツのことを教えてくれ」
デュートは自分の声が悲しみで震えることを抑えることができなかった




