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突撃

 フェリナのバフによって強化されたみんなは、ただのゴブリンであれば足を止める事なく倒せるようになっていた。この調子で進めればすぐにでも中心地へと辿り着ける――はずだった。

 

 さっきから明らかにゴブリンの数が増えている。二体、三体ではない。集団とも言える数が、前からも後ろからも波のように、絶え間なく現れるようになった。


「……さっきより、明らかに密度が上がってるな」

 ロブが低く呟く。


「逃げ場を潰す気か」

 エーヴェルが息を整えながら、視線を走らせる。


 もっとも、ゴブリンの動きは鈍い。連携も粗い。

 フェリナの支援が行き渡った今となっては、わずかな足止めにしかならなかった。


 前衛は敵の集団を突き破るかのように剣を振り、光の粒子が霧散するたび、俺たちは確実に前へ進んでいく。


 そして――。


「……見えました」

 菜々が足を止め、前方を指差した。


 森の奥、木々の切れ目。

 そこに現れたのは、木材を組み上げた壁。

 侵入者を拒むように先端を尖らせた丸太が突き出す。


「砦ですね。ゲームみたいですけど、てっきり洞窟かと思ってました」

「ね。でも、ここの敵、強そうだよ凛ちゃん。見張りもいるし」


 菜々の言う通り、砦の上部では影が動いていた。

 弓を構えたゴブリン――アーチャー。


 さらに、門の前には重装の個体。

 ファイター。

 その奥には、おそらくボスが待ち構えている。


「上にいるの、弓兵だけじゃないみたい。見つかる前に、数を減らそっか」

 菜々が即座に弓を引き絞る。

「援護する」

 エーヴェルが短く応じた。


 二人は同時に動いた。


 菜々の放った矢が、ゴブリンの頭部を吹き飛ばす。

 ほぼ同時に、エーヴェルの詠唱によって魔法陣が展開される。

 発動した《ファイアーボール》は、菜々の襲撃で混乱し、固まっていた敵の群れへと放たれた。


 ――直撃。


 爆風がゴブリンたちを飲み込み、光の粒子を散らしていく。

 四体消滅。


「上、クリア!」

 魔法で敵の注意を引く間にも何匹も倒した菜々が声を上げる。

 

「……近づくぞ、侵入経路を探す」

 近くに集まってきたゴブリンを捌きつつ、ガルドが盾を構え、ロブと共に前へ出る。


「――待ってください」

 フェリナが前に出る。


 手には、先ほど持ち換えた白銀の戦鎚。


「この門は私が開けます」

 一瞬の沈黙。そういうフェリナの視線の先には頑丈に組まれた木製の門。所々に錆びた金属が見え、強固に思える。

「……壊す、って意味か?」

 ロブが思わず聞き返す。

 

 フェリナは答えず、その門の前へと進み、ただ、穏やかな表情のまま、戦鎚を握り直す。

 腰を落とし……そして踏み込んだ。横からのフルスイング。振り上げるのではなく、体を捻るように回転をさせ叩き込む。


 白銀の戦鎚が、砦の扉へと直撃した。


 ――轟音。


 木材が軋み、悲鳴を上げる間もなく、砕け散る。

 補強用の金属がひしゃげ、扉は内側へと吹き飛んだ。

 衝撃波が、内部まで走る。


「……」

 誰も、すぐには言葉を発せなかった。

 フェリナは戦鎚を肩に乗せ、振り返る。


「開きましたよ」

 ――フェリナが少しずつ脳筋になってきた。



 

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