表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「役立たずの荷物持ち」と勇者パーティを追放された幼女(10歳)ですが、実は世界システムの「管理者(アドミニストレータ)」でした。  作者: NN


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/30

第19話 魔王城突入と、四天王(下僕)たち


 魔王城の正門前。

 赤黒い空の下、禍々しい城壁がそびえ立っている。

 ここが世界の敵、魔王ヴェルドラゴの本拠地だ。


 私たちはその前に立っていた。……奇妙な一行として。


「重い……カバンが重い……」

「足が痛い……」


 私の後ろには、完全に生気を失った四人の男女(と一匹)が従っていた。

 秘書のフリージア。

 荷物持ちのミラージュとハヤテ。

 そして――。


「カニカニ……我、ハサミがまだ小さい……」


 私の足元をチョロチョロと歩いているのは、手のひらサイズになった赤いカニ、クラブロスだ。

 鍋にして美味しく食べた後、主要パーツを失いすぎて身体を維持できなくなり、魔力切れでミニサイズ化してしまったのだ。

 今は私のペット(兼・非常食)枠として、肩の上に乗せている。


「さあ、行くわよ! 元四天王のみなさん、気合入れなさい!」

「「「は、はいっ……!」」」


 かつて世界を恐怖させた幹部たちが、10歳の少女に怯えて返事をする。

 カイルが呆れたように呟く。


「これ、どっちが魔王軍か分からないね」


 ◇


 城門をシステム権限で『Open』し、中へ入る。

 内部は意外にも静かだった。

 モンスターの襲撃もない。罠もない。

 ただ、長い廊下の先に、電子的な案内板が光っていた。


『Welcome to the Final Dungeon. (ラストダンジョンへようこそ)』

『← Reception (受付) / Throne Room (玉座の間) ↑』


「……完全に会社見学のノリじゃない」


 案内通りに進むと、最上階の『玉座の間』へと続く巨大な扉が現れた。

 私が手をかけると、扉は重々しい音を立てて開いた。


 そこは、広い空間だった。

 しかし、想像していたような玉座やレッドカーペットはない。

 代わりに広がっていたのは――。


「……サーバー室?」


 無数の黒いサーバーラックが整然と並び、青や緑のLEDが点滅している。

 床には大量のケーブルが這い回り、空調のファンが低い唸りを上げていた。

 そして、その中心にあるデスクに、あの男が座っていた。


 ジャージ姿の魔王、ヴェルドラゴ。

 彼はエナジードリンクを片手に、トリプルディスプレイに向かってキーボードを叩いていた。


「ようこそ、管理者アリス。……待っていたぞ」


 魔王が椅子を回転させてこちらを向く。

 その目は、何日も寝ていないエンジニア特有の、ギラギラとした隈に覆われていた。


「魔王様! 申し訳ありません、我らが不甲斐ないばかりに……!」


 フリージアたちが土下座する。

 しかし、魔王は彼らに目もくれなかった。


「四天王か。ご苦労だったな。……だが、もう用済みだ」


 魔王が指を鳴らす。

 瞬間、フリージアたちの足元に魔法陣が展開された。


「え?」


『Target: Four_Kings / Action: Delete_Account (アカウント削除)』


「きゃあああっ!?」

「身体が……消えるぅうう!?」


 四天王たちの身体が、ノイズのように崩れ始めた。

 彼らは悲鳴を上げながら、光の粒子となって消滅……する寸前で、私が割り込んだ。


「『Cancel! (キャンセル)』」


 私が叫ぶと同時に、消滅プロセスが停止した。

 四天王たちは半透明になった状態で、何とか存在を維持している。


「……ほう。私のコマンドに割り込むとは」

「自分の部下を使い捨てにするなんて、ブラック企業にも程があるわよ!」

「部下? 違うな。彼らはただの『NPC』だ。私のシナリオを盛り上げるための舞台装置に過ぎない」


 魔王は冷たく言い放ち、立ち上がった。

 その背後から、漆黒のオーラ……いや、膨大なデータストリームが噴き出す。


「アリス。君なら分かるはずだ。この世界はバグだらけのクソゲーだ。生まれによる理不尽な格差、救いのないシナリオ、機能していない神(運営)。……だから私が作り直す。『新世界ニュー・ワールド』を!」


 魔王の周囲の空間が歪み、サーバーラックが変形して巨大なロボットのような姿に組み上がっていく。


「さあ、始めようか。……最終デバッグ(ラストバトル)の時間だ」


 巨大な機械仕掛けの魔王が、私たちを見下ろす。

 私はカイルと顔を見合わせ、ニヤリと笑った。


「上等じゃない。……そのバグった思想ごと、修正フィックスしてあげる!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ