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8話. 二人三脚崩壊!マッチョと姫抱っこの地獄ダッシュ

体育祭の二人三脚リレー、いよいよリンダの出番!頼れる頭脳派かと思いきや、まさかの方向から才能が爆発!?え、そんな魔法……アリ!?

騎士隊長とのまさかの展開に、会場は騒然。そして、そのバトンはあたしの元へ──!?予測不能な体育祭、波乱の第2幕がはじまる!


 *リンダ視点


 ──やばい。

 私、今、騎士隊長にめっちゃ抱きしめられてる!えっ、何このシチュエーション?おかしいでしょこれ!やばいやばいやばい、心臓爆発しそう……。あぁ、メガネはもう割れちゃって、前はほとんど見えない。けど……なんか……この状況、やたらと興奮する……今なら練習で出せなかった能力が発揮できるかもしれないよ!


「レオン様、チャンスは一度きりです」

「魔法を使うのか?」

「はい……やります!」


 私は手のひらに書いた魔法陣をギュッと握る。そして、心の中で叫んだ。


 肉体よ、魂よ!我を縛る全ての枷を、今、断ち切れ!──念力魔法・ストロングボディ!!

 ──バシュウウウウウッ!!


 その瞬間──私の身体に、凄まじい光が迸った!


「う……ぐぁぁぁぁぁぁっ!!?」


 光が弾け飛び、髪が勝手にほどける。イエローツインテールは、瞬く間に流麗なロングカールへと変貌し、体中の筋肉が爆発するように膨張していく。腕が太くなり、背中がバキバキに盛り上がり、胸筋はムッキムキ、太腿は馬のように極太に。


 ──え、えぇぇぇぇぇぇぇぇッッ!?!?


「ま、待って!なんで私、マッチョになってんの??」


 リンダ・オブ・ザ・マッスル、ここに爆誕。


「うおおおおおおお!走るぞおおおおおお!」


 両足の筋肉を爆発的に躍動させ、私はレオンハルト様を抱えたまま、異常速度で駆け出した!


「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!は、速すぎるううううううッッ!!?」


 ──もはや、二人三脚ではなかった。

 ただの『騎士隊長抱えダッシュ』である。


「よっしゃぁぁぁぁ!ジョン様チームを……抜き去ったぁぁぁぁぁ!」

「はぁはぁはぁ……信じられない、こんな大技を使えるとは!?見た目も変わって、君は一体何者なんだ!?」


 ──バシュウゥゥゥゥッ……


「あ、ヤバ……」


 唐突に、私の全身からフッ……と力が抜けた。

 その瞬間──

 ムキムキボディ → 一瞬で脱力少女


「……ぁぁぁぁぁ……もう……ムリ……です……」

「えええぇぇ!?なんでいきなり縮んだぁぁ!?」


 バキバキだった筋肉は瞬く間にしぼみ、私の体格は小柄なモブ乙女に戻った。ツインテールもフワッと元通り。


「れ、レオン様……」

「ど、どうした!?」

「……体力切れ……です……も、もう無理っす……」

 バタッ(崩れ落ちるリンダ)

「マジか……(ポカーン)」


 ……意識が、薄れていく。でも……やりきった。ジョン様チームを抜いた……私の役目は果たしたはず……。


「……アリアナ……っ……あとは……頼んだ……っ……」


 ──リンダ・デイビス、全エネルギーを使い果たし、無事撃沈。


「お、おい!?リンダ!」

「(ぐったり)……アカン……寝ます……」


 こうして──リンダの命を賭したマッチョダッシュは終焉を迎えた。



 *アリアナ視点


「おいおい、あの曇ったメガネっ娘って……あんな魔法が使えるとは、とんでもない伏兵じゃないか!」


 セシリア嬢は驚きと喜びが入り混じった表情で叫んでいる。無理もない。リンダが別人みたいな念力魔法を発動し、騎士隊長を抱えて猛ダッシュしていたのだ。


「すごいよリンダ、信じられない!」

「ふふん、エリザベスの余裕、吹っ飛んだわね。ざまぁみなさい!あいつの本性知ってるか?ぶっ飛んだ性悪女だってばよ!」


 く、口わる~~。


 隣で悪役令嬢が大興奮しながら、お嬢の悪口をぶちまける。最後には、「あんたは変な魔法使うなよ~!私は余裕で勝ちたいんだからな~!」と軽く(いや、けっこうガッツリ)脅されたけど……。


 大丈夫!あたしにはあんな魔法、絶対無理だから!


 結局、丘を下る途中でジョン様チームにあっさり追いつかれ、華麗に抜かれた。そして、セシリア嬢の「ほら見たことか!ヨシヨシ!」と言わんばかりのドヤ顔。


 くぅぅぅぅ……なんか悔しい!でも、リンダはよく頑張ったよ!二百メートル差ならまだいけるはず!


「よし!追いつこう、アリアナ!」

「隊長、がんばります!」


 ──で、気合い満々でスタートした瞬間。


「わあぁぁぁっ!?」


 コテっ。


 思いっきりズッコケる。


 やばい。足が全然合わない!?てか、レオン様の足長すぎ!


「あ、大丈夫か?しっかり掴まっていろ」

「う、うん……って、え?」


 ──え???


 おかしい。あたしの両足、地面についてない。それに、赤い紐めっちゃ緩んでる。


「ちょっ、紐緩んでる!これもう二人三脚じゃなくて……!」

「細かいことはいい、行くぞ!!」

「はいぃぃぃぃ!??」


 ──ドガァァァッ!!


 レオン様がガチの全力疾走を始めた。あたしの身体は完全に宙に浮いちゃってる。


「待って待って!?地面全然踏めてない!足浮いてる!これ二人三脚じゃないよね!??」

「すまん、スピードを落とすと負ける!」

「落とせぇぇぇ!!!」


 どう見ても、二人三脚崩壊ランだった。


 いや、これって──ただの『お姫様抱っこラン』じゃん!どうしよう……!金髪のあたしよ、この危機的状況をどうにかしてぇぇぇ!!


いやいやいや、これは二人三脚じゃない!完全に「お姫様抱っこダッシュ」なんですけど!?てか、リンダもヤバかったけど、レオン様もヤバすぎる!!え、これって優勝とか関係なく、むしろ失格じゃない!?もうツッコミが追いつかないんだけど──!!

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