21話. おっとり系?いいえ、ドS系でした!
やっほー、アリアナです!
今日は体力づくりからスタートだよ!……え?まず感電から??そんなの聞いてませんけど!?(泣)
「ガレスさん、三ヶ月は長いです!!!」
リンダと一緒にテテテッと園庭を駆けながら、心の底から叫ぶ。もうすでに地獄なのに、これが三ヶ月も続くなんて……絶望しかない。
「進級は半年に一回だからな。まだ入学して二ヶ月半だろ。それまで初級クラスを離れて特別カリキュラムを受けるって、結構珍しいんだぜ」
「ねえ、どんなカリキュラムか知ってる?」
「さあ?とにかく騎士団に入れるくらいにしろって言われてるんだけどな」
「ええーーっ!?そんなの無理っ!!」
「無理っ、無理っ!!」
二人で全力ぶーたれタイム。ガレスに八つ当たりしたって仕方ないのに、ついつい文句が出てしまう。
ちなみに、彼のトレーニングメニューは──
「柔軟・筋トレ・ランニング」
以上!!
「なーんだ、基礎体力だけじゃん」
……と、思った?
「俺のメニューは、日々行う訓練の準備体操みたいなものだ。実践トレーニングは他の生徒が担当するから」
「え、そうなの?」
がーーーーーん!!!!!
これだけでヘトヘトなのに、まだ何かあるの!?目眩がしてきた……!!
どうやら、中級クラスの魔導師が交代であたしたちの面倒を見るらしい。
そして、ガレスに代わって現れたのは──
可愛らしい小さな男子生徒だった。
「……え?」
ちんまりした体に、ぼーっとした表情。まるで子猫みたいに可愛い。でも、なーんか嫌な予感がする……。
「僕の名前はリック・モンテーロ。君たちを鍛えるよう頼まれたから、仕方なく付き合ってあげることにした」
「はあ……よろしくお願いします」
本当に華奢な少年って感じだけど、大丈夫なの?っていうか、なんか普通に冷たいこと言ってない?
「……君たちの名前は……あ、思い出した。リンダさんだ。それから、アリ……アリ……」
「アリアナです!!」
「うん。二人とも、この結界衣を着て」
そう言って、彼は透明なカッパみたいな服を渡してきた。
えっ、なんかこれ……ダサいんだけど?
しかし、逆らう余地はないので、おとなしく身に着ける。
「リンダさん、土の防御を張って。アリアナさんは竜巻で防御する感じで。……早くしてね」
「えっ、急に!?」
いきなりすぎて頭が追いつかない!
けど、なんとか金髪のあたし(風属性)を意識して、魔法の準備を……。
「ねえ、まだなの?」
「は、はい!!ただいま!!!」
待って待って、ペースが速い!!!
この子、見た目はふわふわしてるけど、完全に鬼教官のタイプでは!?!?おっとり系?いいえ、ドS系でした!
リンダが地面に手をつくと、土に魔力が流れ込んでいく。微細な振動が起こり、徐々に土が隆起し、頑丈な壁が形成されていく。
一方、あたしは手を振り回し、空気を巻き込むような動きを始めた。周囲の風が渦を巻き、やがて勢いを増して小さな竜巻となる。
うん!いい感じじゃない!?
──と思った瞬間、リックの冷たい声が響いた。
「遅いなぁ。このままだと命が危ないよ?……まあ、いっか。じゃあ始めるね。あ、ちなみにその精霊猫はタフだから気にしなくて大丈夫」
「えっと……何を始めるの?」
「それから、その防御はザルだから、ちゃんと避けてね」
「はい?」
──え?いま、なんて?
次の瞬間。
リックが両手を素早く上げると、手のひらから眩い光が放たれた。
そして──光の球がものすごいスピードで飛んでくる!!!
「ひぃっ!!?」
ドゴォォォン!!
雷の光球は容赦なく土の壁を貫通し、あたしとリンダを直撃。
「ぎゃああああっ!!!」
全身に衝撃が走る。ビリビリする!感電してる!!!
「……雷は土や風をほぼ通り抜けるから、避けないとやられるよ?」
「この防御、気休めかい!!?」
「うん。まあ、ほぼ気休め程度。でも、何もしないよりはマシだよ?一応、結界衣がダメージを軽減してくれてるしね」
……いや、軽減されてこれ!?
「でもね、戦いは防御を整えて攻撃するのが基本だから」
「戦う体制が大事ってこと?」
「うん。じゃあ、次はちゃんと避けてね」
「えっ、ちょ──」
ズドォォォン!!!
またしても光の球が高速で飛んできた。
速い!!避けられ──
「ぎゃああああああっ!!!」
──なかった。
また感電。あたしたちは地面に転がったままピクリとも動けない。アレクちゃんがペロペロと顔を舐めてくれてるけど、体中がビリビリして、そもそも動ける気がしない……。
……沈黙。気まずい無言の時間が流れる。
「……中級クラスはそんな甘いものじゃないよ」
バチバチに焦げたあたしたちを見下ろしながら、リックは淡々と告げた。
「僕の攻撃を避けて、なおかつ反撃できるようにならないとダメだから。自主トレ、頑張ってね。……忙しいから帰る」
スタスタと去っていくリック。
え、ちょ、えぇぇぇぇぇぇぇっ!?
「……あ、あの雷光使い、絶対鬼教官タイプだ……!」
あまりのスパルタぶりに、思わず震える。
──そんなに厳しいなら、初級クラスに戻してください!!!
中級クラスって、もっとこう、華やかなイメージだったんだけどな……。
現実は、鬼教官と電撃と、ビリビリ地獄ツアーでした。誰かこの無理ゲー、チートコード持ってない!?




