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13話. 石の棒vs.ウロボロスとか無理ゲーすぎん?

訓練って、もっと優しくやるもんじゃないの!?

いきなり猛毒の大蛇軍団と戦えとか、絶対おかしいでしょ!?

しかも武器が石の棒って、冗談にもほどがある!!

でも、ヒス女史の視線が冷たい……え、やるしかないの!?

 ウロボロスの大群が鱗の光沢を放ちながら押し寄せてくる。

 無数の蛇が地を這い、絡み合いながら、波のように形を変え、次々とこちらへ迫ってきた。


 ──まるで、黒き奔流。


 風景はとうにその蠢く闇に飲み込まれ、視界のすべてが魔物の群れで埋め尽くされている。

 そして、先頭のウロボロスが大きく口を開いた。鋭い牙がむき出しになり、ヌラリと光る舌が毒液を滴らせる。


「さあ、大蛇ども──俺の魔法剣の力、存分に味わえ!」


 ガレスが一歩踏み込む。


 その瞬間──地を蹴った彼の姿が、消えた。


 ズバァッ!!


 鈍い悲鳴とともに、最前線のウロボロス数体が一瞬にして両断される。


 彼の手に握られた魔法剣が、光を纏いながら宙を舞った。

 大蛇の群れが一斉にうねりを上げる。しかし、ガレスの動きは、さらに速い。


 ──シュバッ、ザシュッ!!


 一閃。さらに一閃。

 銀色の残光が残るたび、魔物の胴体が宙を舞い、地に落ちる。

 鋭く閃く刃と、響き渡る斬撃音が、戦場に凱歌のごとく鳴り響いた。


「すっごいよ、ガレスさん!」


 リンダがメガネを曇らせ興奮している。ぽっちゃり騎士とは思えない俊敏さに、あたしも目を丸くした。


「おいガレス、一人でやりすぎだ。この馬鹿、早く戻れ!」


 ヒス女史は褒めるどころか一蹴し、「次、行け!」と中級クラスの生徒を指名。


「え、ひょっとして一人ずつやらされるの!?猛毒の大蛇相手に!?いやいや無理無理!毒浴びたら即死だよ!?ここは見学で……(チラッ)」


 ヒス女史、冷たい視線。


 ……あっ、これダメなやつだ。


 そんな願いもむなしく、生徒たちは次々に戦闘開始。剣士は華麗に斬り、魔法使いは炎を操り、弓使いは矢を放つ──。

 気づけば、最後に残ったのは──


 あたしたち二人。


「よし、お前たちは一組で倒してみろ」

「……え?」

「アリアナは前衛、リンダは後衛。行け!」


 ちょっと待ってぇぇぇ!?


 足がすくむ。体がガタガタ震える。

 ……でも、やるしかないの!?


「早く行け!」


「うひゃ……や、やるしかないの……!?」


 あたしは勇気を振り絞り、石の棒を振り上げた。


 「うおおおおおおお!!!」


 ──ポカッ(軽い音)


 ウロボロス、微動だにせず。


 ……え?


 魔物の目がカッと見開かれ、あたしを睨んだ。


「ひいいいいっ!!???」


 これ、死亡フラグじゃん!?


 一歩も動けないあたしの前で、リンダがブーメランを構えた。


「アリアナ、危ないっ!」


 シュババッ!


 ブーメランがウロボロスを次々と切り裂く。

 すごっ! いや、てか──リンダ、一人で十分戦えてない!?


「アリアナ、何してる! 死にたいのか!!」


 ヒス女史の怒声が飛ぶ。


 ううっ、こうなったらやるしかない!

 でもどう攻撃すれば!?石の棒じゃ勝ち目ゼロだし!落ち着け、あたし!何かいい方法が……!


 ──あっ。毒なら燃やせばいいんじゃね!?

 ここは炎よね、金髪のあたし!(謎理論)


 咄嗟に石の棒をしまい、片手を突き出す。そして、もう片方の手でブローチを握る。

 そういえば、ブローチを触ると覚醒するんだった。(今さらだけど、たまに忘れる)


 すると、勝手に呪文が口をついて出る──。


「炎よ──我が意に従い、周囲を焼き尽くせ。呪文魔法──ファイヤー・インフェルノ!!」


 ピカッ!手のひらから虹のような輝きがほとばしる。次の瞬間、真紅の炎が勢いよく吹き出した。瞬く間に辺りを包み込み、魔物たちは灼熱に耐えきれず、燃え盛る業火の中へと消えていく。その光景は、まるで地獄だった。


「ほぉ……」


 ヒス女史のメガネがキラリと光る。ジョン様やお嬢も、一瞬、驚きの表情を浮かべた。そして、中級クラスのメンバーも思わず声を上げる。


「やるじゃないか。地獄の炎で汚染された土壌までリセットするとはな」


 そう感心したようにつぶやいたのは、ガレスだった。


「アリアナ、すごーい!ねえ、アリアナ?」


 リンダの弾けるような声が耳に届く。でも、わたくしは笑みを浮かべたまま動かない。


 ──戦いは、まだ終わっていない。


 この奥に、まだ潜んでいる魔物がいる。心の奥底から湧き上がる、この抑えきれない昂ぶり……。これは、きっと前世のわたくしが目覚めている証拠だ。でも、今のあたしも、ちゃんとここにいる。


 ──もう、やめよう。


 そう言い聞かせる。でも、聞いてくれる気配はまるでない。


 「山中の……」とジョン様が言いかける。その言葉を遮るように、お嬢がすかさず「はい」と答えた。


「そうだな。ちょうどいい教材だ」

 ヒス女史が腕を組み、静かにうなずく。


「大地よ、汝の力を解き放て。実態魔法──アースズ・ディスラプション!大地の断絶!!」


 ジョン様が片腕を大きく掲げ、力強く印を結ぶ。すると、山の中心を貫くような光が放たれた。直後、轟音とともに地面が揺れ、山の一部が崩れ始める。煙と塵が立ち込める中、巨大な石塊が姿を現した。


 ──そして、その石塊の奥から、何かが動き出す。


 次第に現れたのは、ガーゴイル──蝙蝠(コウモリ)のような翼と鋭い爪を持つ醜悪な魔物。石の塊のように折り重なっていた体をゆっくりと伸ばし、巨大な口を開いて空気を吸い込んでいる。


「ひえっ、あの怪物は何なの!?」

 リンダや中級クラスの生徒たちが怯え、思わず後ずさる。


「皆さん、後ろに下がってくださいね」

 お嬢が静かに手を振り、退避を促した。


 ──やはり、ガーゴイルか。


 面白い。まずは上級クラスの実力を拝見させてもらおうじゃないか。

 わたくしは退くことなく、その場に留まる。


 もちろん──降りかかる火の粉は払うつもりだ。



いや~、燃やした燃やした!!(←混乱中)

……と思ったのも束の間、今度はガーゴイル!?

ねえ、ちょっと休憩しよ!?ね!?

……って、誰も聞いてないーーー!!!

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