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クール女

最初はただの偶然だった。何気なく手に取った漫画の中で、彼女を見つけた。物語の中で登場したその女性キャラクターは、他のヒロインとはまるで違っていた。彼女はクールで、冷静で、余計な感情をほとんど表に出さない。ふと気づくと、ページをめくる手が止まっていた。


彼女の外見が、まず目を引いた。長い髪を束ね、顔立ちは鋭く、どこか男性的でありながらも、洗練された美しさがあった。その髪型は、まるで戦場の兵士か、戦いを知り尽くした戦士のよう。普通の女性キャラクターにあるような柔らかさや可憐さは全くない。むしろ、彼女は硬派で、無駄がなく、ひたすらにかっこいい。まるで、自分の感情に振り回されることなく、ただ前を見据えているかのような姿勢に、惹かれた。


口調もまた、特徴的だった。どこか男性的で、凛としていて、媚びるようなものは一切ない。彼女が発する言葉は、冷たくも芯がある。その一言一言が、強さと自信を感じさせ、まるで隙を見せない。そこに、僕は新しい「女性像」を見たのかもしれない。


それまでは、女性キャラクターに対して可愛さや優雅さを求めていた自分がいた。だが、彼女はそれとは正反対の存在だった。そして、その強さやかっこよさが、今まで感じたことのない魅力を放っていた。彼女の存在が、何か深いところで僕の心を刺激したのだろう。


読み進めるうちに、彼女が戦う姿や仲間を守る姿にますます心惹かれていくのが分かった。まるで男性のように見えるその外見や口調が、彼女をただの「強い女性」ではなく、異性の枠を超えた魅力を与えていた。可愛いとか美しいといった従来の評価基準とは違い、僕は「かっこいい」という新しい評価基準を彼女に持ち始めていた。


僕の中で、フィクションにおける女性のイメージが徐々に変わっていくのを感じた。柔らかく守られる存在ではなく、自分自身を守り、他者をも導くような強い存在。そんな女性に対して、自然と強い憧れを抱くようになった。彼女の男性的な髪型や口調、鋭い顔立ちが、どこか尊敬の念すら抱かせる。美しさや可憐さだけでなく、力強さや冷静さを兼ね備えた彼女のような存在に、次第に魅了されていく自分がいた。


そして気づいた時には、僕の中で「男性的なかっこいい女性」を好む嗜好が育まれていた。フィクションの中で、強くクールでかっこいい女性キャラクターを見つけるたびに、彼女のような存在に対する想いが強まっていく。


僕は、いつの間にかそんな女性キャラクターを探し、見つけるたびにページをめくる手が止まるのを感じていた。

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