異形娘好き
ある日、一人の青年が何気なくredditを眺めていた。日常的にフィードに流れてくる、ゲームや映画の話題、アート作品などを無意識にスクロールしていく中、ある一枚のイラストが彼の目に留まった。画面に映し出されたのは、グロテスクな生物、ゼノモーフ。だが、それは従来のゼノモーフとは異なり、女性的なフォルムが加えられていた。人間的な顔はなく、その鋭い牙や長い尾、滑らかな黒い外皮、そして異形の頭部はそのまま。しかし、胸や腰回りにわずかに女性らしい曲線が見え隠れしていた。
青年は、一瞬理解できない感覚に襲われた。これまでクリーチャーや怪物といえば、恐怖や不快感を抱く対象でしかなかった。しかし、そのイラストをじっくりと見つめると、どこか不思議な魅力を感じ始めている自分に気づいた。ゼノモーフという、本来なら恐ろしい存在に、奇妙な美しさを見出していたのだ。
彼はそのままイラストを凝視し続けた。ゼノモーフの硬質な外骨格、凶暴さを象徴する鋭利な爪や牙、それでもなお、全体的に女性的な曲線が描かれたフォルム。完全に異形でありながらも、そこには一種の洗練された美があった。そのアンバランスさに彼の心が揺れた。グロテスクでありながらも、どこか引き寄せられる――そんな感覚が彼の中で芽生えた。
それから青年は、無意識のうちに似たようなイラストを探し始めた。redditを深く掘り下げ、他のクリーチャーやモンスターが女性的な特徴を帯びたアート作品に出会うたびに、彼の興味は次第に確固たるものへと変わっていった。以前なら恐怖や嫌悪感しか抱かなかった異形の姿に、美しさを見出し、そのグロテスクな中にも魅力があることを感じ始めた。
彼の嗜好は、徐々に「普通」とは違ったものへと変わっていく。美しさの基準はただの人間らしさに留まらず、むしろ異形にこそ真の魅力が潜んでいるのではないか、とさえ思うようになっていた。醜悪なフォルム、凶暴な姿――それらが混じり合い、彼の中で一種の崇高な美しさを形成していった。女性化されたクリーチャーのイラストは、次第に彼の心の中で強い影響を及ぼし、その独特な美意識を醸造していったのだ。
ある日、再び彼はredditで一枚のイラストを見つけた。それは、以前見たもの以上に洗練された、グロテスクでありながらも女性的な要素を強調したゼノモーフだった。その長い尾が妖艶に曲がり、光沢のある体が滑らかな曲線を描きながら暗闇に溶け込んでいる。青年は画面を見つめ、息を飲んだ。そして、気づかぬうちに口元に笑みを浮かべて、心の中で確信するように呟いた。
「変態であってもいい。異形娘,たまんねえ。」