第1回 裏山と宇宙とクワガタ
コミカライズされねぇかなとか思いながら書いてます。
地球からちょっと離れた 宇宙―—―—
「ボックス博士!追いつかれる!もっとスピード出ないの!?」
「無理です!これ以上は動力機構がオーバーヒートする!」
「だめ、撃ち落とされ……」
瞬間、後方から飛んできたレーザーが、二人の乗っている宇宙船を貫いた。
「博士!?まずいよ!」
「動力機構をやられた!クソっ、まともにコントロールできない!!」
「あの星、不時着できない?」
「…………仕方あるまい!ジジイの底力を舐めるなよーーー!!」
そうして一機の宇宙船は、地球の大気圏に突入していった。
なにやら不穏な影が地球に迫っているようだ。はてさて一体どうなることやら。
◇◆◇
地球、日本、Y県のH市―—―—
「固定観念捨てて~♪ 光年間つながる手と手~♪
瞬き一つで変わってゆく世界に~♪」
自作のオリジナルソングを歌っている彼の名前は宇佐見真揮斗。宇佐見が性で真揮斗が名。H市に住む普通の高校生。放課後は学校の裏山で天体観測をするのが日課で、今日も意気揚々と定位置の山の中腹へと歩いていた。
「いい天気、雲一つない快晴。今日は望遠鏡を使わずにボーッと空を眺めるだけでも楽しそうだ。あ、クワガタムシ。」
その時、空から何かがこちらへ向かってくる。
次の瞬間、轟音が鳴り、山は地響きに包まれた。隕石だろうか、マキトは音の鳴った方へ走り出した。
◇◆◇
裏山、山頂付近―—―—
「……なんだこれ」
マキトはクレーターの中心にある機械のようなものを見て、これがただの隕石ではないことを確信した。
「やっっっっっべえええええ!!UFO!?UFOかな!?いや飛行はしてはないから、正確には未確認落下物体、『Unidentified Falling Objects』。いや結局UFOやないか~い……ダメだ興奮で思考がままならない……。てか、中に宇宙人がいるってこと!?殺されないよね!?もし殺されそうになったら、ペヤングで懐柔しよう。お湯ないけど。」
ガチャリ。UFOと思しき機械の扉が開き、マキトは息を呑んだ。まさかこんななんでもない日に宇宙人と遭遇するとは夢にも思わなかった。いったい宇宙人はどんな姿形をしているのだろうか。マキトは固唾を呑んで、UFOを見つめた。そして中から出てきたのは……
絶世の美少女であった。
「宇宙人キタァァァァァァ!!地球人型ダァァァァァァァァァ!」
マキトは興奮のあまりクレーターを駆け下り、UFOをよじ登り、出てきた彼女の手を掴んだ。
「こんにちは!はじめまして、地球人の宇佐見真揮斗って言います!マキトって呼んでね!敵対意思はないよ!」
「¶Δ!?Φδ$ω&#**!?」
「……なんだって?」
「÷ΝЪпΩй%$ω、ц^§φ#¶χπζС!!」
「ああ!言語が異なるから……。でも大丈夫。言葉が無くても『心』が僕らにはある!コミュニケーションの第一歩は身振り手振りさ!ほっ、はっ!」
マキトは赤ん坊のマネなどしながら、どこから来たのかを聞こうとした。当然伝わるわけもない。宇宙船の女はドン引きである。すると宇宙船の中から老人が出てきた。
「ζπж、жц¶Э№ж∀!?…………Δ§φοж。」
「υΡфю⇔ξд!÷бφ!」
「ジェスチャーがダメなら、次はダンスだ!音楽は世界をつなぐぜ!ズンチャっ♪ズンチャっ♪」
「オラァ!さっさとお前もコレ着けろ!」
女はマキトの口元に機械を取り付けた。
「ハァ……これで会話できるでしょ。私の名前はエルナ・ゾーラ・バチューズ。この星から約4万光年離れた場所にある、惑星バチューズの王女よ。」
宇宙人の王女を名乗るエルナという女。果たして彼女らは何者なのか。そしてマキトの運命やいかに。
次回!『宇宙の力と俺の夢』
コミカライズはないなこれは。