エリナの往く道
ラウラに連れられ長い廊下を歩く。
ここに来た日には懸命に周囲を観察していたエリナも、今は先ほどまでの出来事の反芻でそれどころではなく、洋館内のどこを歩いているのかなんて全く意識していなかった。
――マリーサ、大丈夫なのかな
――もう、会えないのかな
最後に見たマリーサの顔が頭から離れない。いつの間にか親友と呼べるほどに信頼していた彼女が、もう二度と会えない存在になってしまったという恐怖に襲われる。シャルロッテのことも、グアダルーペのことだって、みんなみんな気になってくる。先ほどまで会話できていたアンゲリカだって、すぐにまた会える保証なんてどこにもないはずだった。
――カルロはどこに行ったんだろう
――もしかして、もういなくなっちゃってたりするのかな
考えすぎて気分が悪くなりかけたところで、前を行くラウラの立ち止まる気配がした。顔を上げるとラウラはいつも通りの優しい笑みでエリナを見ている。
「この部屋よ。」
「何があるの?」
「なんだと思う?」
答えを待たずにドアは開かれ、エリナは扉越しに中を覗き込んだ。そこまで広くもなくかといって狭くもない、そこは奥に暖炉と真ん中にテーブルとイスの設置された客間だった。
「ここは?」
尋ねるも答えは返ってこない。部屋の奥へと進んでいく彼女に黙って着いて行くと、暖炉のすぐ側にあるテーブルの上に大きな球体の置物が目に入った。
「何これ、スノードーム?」
「そうね。」
かがんでドームの中を見てみると、雪の降り積もる街路を背景に、その脇に建つ外灯の下で幼い女の子がひとりで立ち尽くしている。女の子は今にも泣きそうな顔をしていて、関係ないはずのエリナの胸がツキンと痛んだ。困惑してラウラを振り返ると彼女はいたずらが成功したみたいな顔をしていた。
「なんかちょっとゲームみたいじゃない?重要アイテム発見、みたいな。私RPGが一番好きなの。」
「え、RPG?ラウラってゲームとか分かるの?」
「ええ、昔はよく遊んだわよ。」
「ええ!なんか勝手にそういうのは知らないと思ってた…というか、そもそも洋館にゲームなんかあるとは…」
こちらの住人にはエリナたちの世界のことなんて知る由もないだろうと思っていたエリナは、彼女から出てきたワードに驚いた。洋館のしくみはいまいちよく分からない。
「ふふふ、びっくりした?」
「うん。でもまあ思い返せば、私はみんなのこと何も知らないからね…」
これまでみんなとたくさんの会話を積み重ねてきたが、各々身の上について話したことはほとんどない。対話していくうちに知っていった個性のみが、お互いがどんな人間なのかを認識できる要素だった。
だからこそラウラのことはそこまでよく分からない。いつもくま執事やネコちゃんたちと一緒にティータイムのセッティングをしてくれる彼女は、エリナが洋館へやって来てすぐの頃こそ一緒にお茶をしていたけど、最近はめっきりそんな機会もなくなっていた。先ほどのティータイムがラウラとの久しぶりの会話の機会で、おそらく最後の機会だった。エリナの頭にほんの少しの後悔がよぎったところで、再び目の前のスノードームに視線を戻した。
「これは、触ってみてもいいのかな。」
そう問うと、ラウラは嬉しそうに笑った。
「とりあえず何でもやってみる、というのはいいんじゃない?」
「えー何か知っている人のそれじゃん、ヒント欲しいなあ。」
エリナがわざとらしい困り顔で見つめると、すかさずラウラも首を傾げて上目遣いになる。お互いに何をやっているんだと思いエリナが笑うと、同じくラウラも笑った。
「じゃあここに立って。目を閉じて、心を落ち着かせてみて。」
「あれ?ヒントっていうか、答え?」
「まあまあ。」
背中を押すラウラに言われるがままスノードームに手を伸ばし、両手に取ってひっくり返してみた。ずっしりと重みのあるそれを正面にして再び机の上に戻すと、ドームの街に雪が降り始めた。顔を近づけてじっと目を凝らしていると降りしきる雪の中、エリナは外灯の下に佇む女の子の周りにキラキラとひかる存在を見つけた。
「アレ、これって…?」
それは小さな妖精の姿をしていた。エリナが森や湖で見たことのある彼らが、ちょうどスノードームの規格に合った大きさで、舞い上がる雪の中を飛んでいる。エリナはこういう細工のスノードームもあるんだなと思って注目していたが、しばらくするとドーム内の雪は降り止んだのに、妖精だけは下降することなくその場に留まり続けていることに気がついた。
「?」
思わず顔を近づけると、なんとドーム内の妖精がエリナに向かってパチリとウィンクをした。目をこすって再びドーム内を凝視すると、妖精は外灯の下の女の子に近づいて、うつむく彼女と手を繋いだ。すると先ほどまで微動だにしなかった女の子が息を吹き込まれ、顔を上げると驚いた表情で妖精を目で追いかけた。それを見た瞬間、エリナは頭をガツンと殴られた感覚を覚えた。
――待って、なんかこれって…!
今、妖精に手をひかれた女の子の表情は嬉しそうな微笑みに変化していた。先ほどまで外灯の下に独り立ち尽くしていた彼女は、妖精に手を引かれて雪道を歩き出す。そしてエリナは、この光景を
――知っている気がする。
呆然としていると突然、頭上にふわふわした感覚を覚えた。急いで顔を正面に戻すとラウラがエリナの頭を撫でている。驚きつつもそのまま黙って撫でられていると、ラウラがゆっくりと口を開いた。
「ねえ、人間が覚えていられることって限られていると思わない?でも忘れたわけじゃないから、ふとしたきっかけで思い出すこともある。」
「……。」
「ここでの出会いも出来事も、確実にここに刻まれている。ずっとあなたの中にある。」
ラウラが言い終えると同時に手は引っ込んで、エリナはぎゅっとハグされた。抱きしめられたのを理解した瞬間、考える間もなく体が動いたエリナはそのままぎゅっとハグを返した。ぎゅっとしたところから安心が伝播していき、その感覚に全身をまかせてみる。満たされていく感覚は長いようでも一瞬で、心の奥深くまで届いた。
体が離れて表情が見えるようになると、ラウラはやはり母親のような眼差しで優しくこちらに微笑んでいた。
「ラウラ。」
「…なあに?」
「ありがとう。」
「ふふふ、私の方こそ。ここまで本当によく頑張ったわ。」
「また、会えるかな?」
そう尋ねるとラウラはエリナの肩を抱き寄せて、最後の言葉をくれた。
「ええ、きっと。あなたは私を見つけるわ。」
胸がいっぱいになって、彼女の笑顔を目に焼き付けるとエリナはぎゅっと目を瞑った。
「もう行くよ。」
「ええ。」
何をすべきか、なんて思考を巡らせていたわけではなかったけど、エリナは自然とスノードームに手を伸ばした。ドームのガラスに指先をかけるとひんやりとした感触がする。エリナはそれを両手で包み込み、頬を寄せて目を閉じた。
「またね、エリナ。」
隣にいるはずのラウラの声が遠くに聞こえた時、エリナは場のにおいが変わったことに気がついた。いつのまにか手の中のつるつるとした感触も、頬に伝わるひんやりとした冷たさも、もう無い。ゆっくりと目を開けるとそこはすでに洋館の中ではなく、いつか見た覚えのある森の中にエリナはたたずんでいた。
**********
――ここ、ピクニックで来た場所に似てる。
あの時のように湖は見えていないけれど、植物や空気感が以前にピクニックをした森の景色と似ていた。シャルロッテやマリーサと一緒に森に立ち入ったのは遠い昔のようでもあり、つい先日のことのような気もする。
目的もなく歩き出してみると、しゃく、しゃく、とエリナの歩く音だけが響く。自分の足音を聞きながらしばらく進むと突然、聞き覚えのある声に話しかけられた。
「あら、あなた…」
見覚えのある小さな姿。それはいつかシャルロッテに赤い石を渡していたピンク色の妖精、タマラの友人のミリアだった。
「エリナ、一人で何してるの?」
まるで友達に話しかけるみたいに声をかけられ、エリナがピクニック以来の邂逅に驚いていると、彼女は不審そうな目つきで周りを一周し、しかめっ面になるとエリナの顔の前で静止すると口を開いた。
「何で無視するの?」
「え?あ、ごめん…」
「なんだ聞こえてるんじゃないエリナ、知らんふりしないでよね!」
急いで謝ったエリナだったが子供みたいにぷりぷりしている妖精の姿に思わず笑ってしまう。ひらひらと舞う彼女が怒っていたのはほんの一瞬で、振り返った時の彼女の顔はもう通常通りだった。
「ミリア…さん、だよね?」
「!」
「あれ、ちがった?」
念のため確認を入れてみたエリナだったが、声をかけた瞬間にミリアはパタリと動きを止めた。こちらを向いた彼女は文字通り目が点になっていて、彼女は勢いよく近づくとエリナの顔を凝視した。
「もしかして…」
「え?」
勢いに押されたエリナが仰け反っていると、今度は急にニコッとしたミリアがポンっと手をたたいた。
「なるほど!そう、私がミリアよ!」
不自然な反応に違和感は否めなかったものの、喜んでくれている様子にエリナも嬉しい気持ちになる。キラキラした笑顔で満足そうに腕を組んだミリアは、エリナを眺めながら何度もうなずいていた。
「よし!今からあなたの分の石を持ってきてあげるから!」
「石?え、石ってこれのこと?」
エリナが急いでポケットを探ると、以前カルロから渡された水色の石が出てきた。それを差し出すとミリアは手元へ寄ってきて、目をまん丸にすると驚きの声を上げた。
「ええ~?あなたがそれを持っていたら、私の石を持てないじゃない!返してきなさいよ。」
瞬時に不機嫌な顔になって口をとがらせたミリアに、エリナは妖精の感情表現が超刹那的であったことを思い出す。
「やっぱりだめだよね?私もカルロが持っていたほうが良いって言ったんだけど…」
「そもそも他人が渡されたものを持っていても意味ないでしょ。」
「やっぱそうだよね?けど、返す先のカルロが今どこにいるか分からないんだ。」
「じゃあ、今から行きましょう!」
「えっ…!カルロはまだ、ここにいるの?」
「?彼はずっとここにいるわよ?」
何を言っているんだという表情のミリアに対して、まだカルロに会える機会があるんだと思えたエリナの心は弾んだ。顔には出さなかったはずだったが、その心境を見透かしたようにミリアがニッコリと笑顔になった。
「あら!あなた彼に会いたかったの?」
「うん、探そうとしてたところ。」
「なるほど!だとすればその石を持っているのは正解だったわね。」
「そうなんだ?」
「そうよ。」
エリナが理由を尋ねようとしたところで、早くもその話題に興味を失っていたミリアが目の前を横切って飛んでいった。そのままカルロのところへ連れて行ってくれそうな雰囲気の彼女を目で追う。
――つまり「みちびき」の名がついている石だからかな?
結局簡単な推理だけで自己完結し、エリナは彼女の後ろについて森の中を歩き出した。
先ほどと同じく、自分一人分の草地を踏みしめる音だけが聞こえてくる。エリナは、突然洋館から飛ばされた現状が何を意味するのかは分からなかったが、きっと今の自分に必要な事なのだろうと流れに身をまかせていた。そんな中、ミリアは森の奥に進む間もほぼ絶え間なくエリナに話しかけてきた。
「エリナは何をするときが一番楽しいの?」
「私はここで、みんなとお茶するのが楽しかったよ。」
「お茶がおいしいの?お花がきれいで嬉しいの?みんなと一緒で楽しいの?」
「うーん、全部かな。」
「へえ!一度にいくつものことを楽しめるのは素敵ね!」
そういう風な考え方をしたことがなかったエリナには、彼女の感想は目からうろこだった。
「ありがとう、そういう見方もあるんだね。」
「それで、エリナはずっと洋館にいるの?」
「うーん、わからない。ずっとここにいたってよかったんだけど、でも…」
「えー!そうなの?じゃあエリナ、本当は戻りたかったんだ!」
わーい!とはしゃいで目の前を蛇行して飛ぶミリアに、エリナは頭の上に疑問符を浮かべた。今の話の流れでミリアが「本当は戻りたかったのだ」と言えた理由が分からなかった。ずっとそうなのだが、なんとなく時系列が把握しづらい。
――違う道理に生きてるって感じだ。
当然困惑したが、妖精だから常識が違うのかなと思ったエリナはそのまま会話を続けた。
「…まあ確かに、今は戻りたいと思っているかな。カルロは元の世界に戻って絶対に私に会うんだって言ってくれた。今は私も、同じことを願うよ。」
「そうなんだ、まああなたはそうよね。私はいつだって会えるからいいけどさ。」
その言葉を聞いて、エリナは先ほど別れ際に言われた言葉を思い出す。もしかするとエリナが思っている以上にこの星を再訪することは難しくないのかもしれない。実際マリーサやグアダルーペたちは自分たちが「夢」を介してここにきていると認識していた。それが真実なのかはもはや確かめようがないが、仮に姉弟らが夜ごとこちらの世界へと行き来できていたのだとしたら、先ほどからラウラやミリアが自分との再会を口にすることは何らおかしくないのかもしれない。
「戻って来るって言うのは、例えば私が夢を見ている時とかなのかな?」
「?分からないけど、あちらに飽きた時にこちらにいればいいじゃない。」
「え、どういうこと?」
「だって、みんな好きな時にだけこっちに来てるし。」
「ええと。やっぱりここは夢の世界ってこと?もしかすると死後も含まれるのかな?」
「?だからその夢だとか死だとかは私は知らないわ。ただみんな好きな時にやって来て、満足したら別のところに行く。人間ってそういうものじゃないの?」
その言葉に、エリナは初めてここへやって来た時にタマラとラウラから聞いた話を思い出していた。目の前では、やや面倒そうな表情のミリアが両手を後ろ手に組んでいる。エリナは少し角度を変えて質問をしてみた。
「ふーん?じゃあさシャルロッテが本当はシャルロッテじゃないっていう、アレはどういうこと?」
「?表面の情報が変わっただけでしょ?外側がどう見えたって中身はずっと変わらない。シャルロッテというのは、一つの関係性の中での、一つの在り方でしかない。それでもその一つだけしか記憶できない人間にとっては理解が難しいのかもしれないけどね。」
「うーん、シャルロッテには本名があるっていうのは…?」
「本名っていうか…例えば、私のミリアって呼び名があるでしょ?これって実はタマラが勝手につけた名前なの。」
「ええ!そうなの?」
「そう。それをあなたも呼んでくれるから、『ミリア』は『私』を意味する音になっている。けどそれがあっても無くても私は私でしかないのよね。」
「ああ、なんか分かってきたかも。」
「他者との関係性の中で、大切にしたいと思える自分の名称が生まれることがある。私はそれを喜んで受け入れるの。」
「はあ~、なんか感情が重要だって言うのが分かった気がする。あなたたちのことが分かって気がして私いま、ちょっと楽しいよ。」
「そう?エリナが楽しいって思ってくれたなら嬉しいわ!」
これまでの会話内容から、感情が重要とされるこの地でエリナは、妖精と人間でコミュニケーション方法や物事の捉え方が根本的に違うのだなと感じた。その上でふと湧き上がって来た疑問が一つ。
――どうして妖精や精霊は、人に石を…関わろうとするんだろう?
「そういえば、ミリアって私たちの世界に来ることがあるんだよね?」
「うん。みんなしょっちゅう遊びに行ってるよ。」
「そうなんだ!それってどうして?」
「面白いからよ!」
「………。」
続きがあると思ってミリアを待ったエリナは、彼女の言葉がそれで終わったことに肩透かしを食らった。
「え?!それだけ?」
「え?むしろそれ以上の理由って何かあるかしら?」
心底不思議そうな顔のミリアと目が合う。小さな瞳がキラキラと陽光に照らされて宝石みたいだった。
「ふふふ…そうだよね。私もあなたが側に居てくれると思ったら面白いと思う。それに嬉しいかも。」
そう言うとミリアは興味深そうにこちらを覗き込んだ後ぱあっと笑顔になった。
「私たちが来たら嬉しい?」
「うん、嬉しい。私がミリアの姿を認識することはできないかもしれないけどさ。もしあなたが私の日常のすぐ側にいてくれたらって思うと、勇気が湧いてくると思う。」
「!そうなの?」
「うん。…え、そんなに嬉しいの?」
目の前を忙しく飛び回って喜びを表現するミリアは、とても可愛らしいと思う。エリナが手をかざすと、ミリアは自分よりも何倍も大きなその手に自らの手のひらを重ねた。
「あはは、飽きるまであの世界で楽しんだらいいと思う!あ、石は必ず持っていって!」
「あ、うん。」
みんなエリナが元の世界にもどる前提で話を進める。ここへ来てから、心の片隅ではずっとこの世界に残りたいと願っていたエリナは、その気持ちが限りなく小さくなっていることに気がついていた。それもみんなとたくさん対話を重ね、自分の中で気持ちの整理がついたからなのかもしれない。
――今ならわかる。私がここを死後だと考えたのは、死んだらもう元の世界に戻らなくていいから。
ここへ至る直前の記憶が、溺死する時の自分の光景だったとしても、その死の運命を変えて助かりたいなんて思わないほどに、自分にも世界にも価値を見出せなかった。
――けれど今は違う。
エリナはここでみんなに出会った。ここにいる間、みんなと過ごしている間は、今までの自分の人生がどうだとか、価値がどうだとか、そういうことは全くと言っていいほど気にならなかった。
だからもし本当に、元の世界に戻ってもまだカルロが一緒にいてくれるというのなら。
――怖いけど、何もかも全部信じてみたい。
あともう少しだけ生きてみたら、自分の中の苦しみはいつか気にならなくなっていくのだろうか。エリナが無言で考えている間、ミリアが話しかけてくることはなく、彼女はただ真っ直ぐを向いてエリナを先導するだけだった。
しばらくすると森の雰囲気が変わった。
「もうすぐよ。」
気がつけば踏みしめる地面の感触が変わっていた。いつの間にか草地から生い茂る木々の間に分け入って、足元の湿った感触にここは水辺の近くなのかと考えていると突然、目の前に開けた空間が現れた。木枝に邪魔されず光の差し込むその場所には、奥に点在する花畑と目を見張る大きさの巨大樹が立っていた。見上げるほどに背の高い大樹には、その根元に小さな池がポツリと存在している。
「あれ!もしかして、ここの花をいつもお茶会に持ってきてくれていたの?」
「うん、そうだよ。エリナちょっと待っててね!」
そういうとミリアはすうっとどこかへと消えていった。
――石を、持ってきてくれているのかな?
エリナは彼ただその場に立ち止まることはせず、ゆっくりと歩みを進めて大樹に近づいた。花や草木を踏まないように気を付け、時々歩みを止めては周囲を観察しながら再びミリアが帰って来るのを待った。




