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第三話「月泉カノン〜優しさの意味〜」

起、ナオトとカノン

 

ヤドクガミとの闘いから翌日。ナオトは、すっかり疲れ果ててぐっすりと和室で眠っていた。日が登り、和室に陽の光が差し伸べるも、ナオトは寝ている。そこへ、カノンが起こしにやってきた。



「仏君。おきて。」



優しい声であった。ナオトが目を覚ますと、カノンが微笑みながら、ナオトを見ていた。カノンに挨拶するナオト。



「おはよう。カノンさん。」



「さあ、ご飯を食べましょう。」



ーーーカノンは、ナオトを連れて食堂へ。食堂にはサヤが待っていた。



「おはよう。カノン。ナオトを起こしてくれたの?ありがとう。」



「ええ。大丈夫よ。ほら、ご飯食べましょう。仏くん。」



食事に手を付けるナオト。ヤドクガミとの闘いのことなどをサヤやカノンに話すのであった。しかし、ナオトはかなり緊張気味であった。そこで、カノンはある事に気づくのであった。カノンは、ナオトがかなり緊張していて、司隊本部にあまり馴染めていないという事に気づき、共に神仏郷を散策し、ナオトに心を開いてもらおうと提案するのであった。カノンは言う。



「仏くん。あなたはかなり緊張しているわね。だから、あなたには司隊本部へ馴染んでもらう必要があるわ。その為には心を拓いてもらいたいの。だから、私と一緒に来てくれないかしら?」


 

食事を済ませたナオト、カノンはいつもの和服に着替え、出かける準備をすると、二人で司隊本部を出た。それを見送るサヤ。



「行ってらっしゃい。ナオト。カノン。」



手を繋ぎ、司隊本部を出るナオトとカノン。ナオトの心を開き、司隊本部へ馴染むための交流が始まった。

 


承、カノンとの交流



ーーーナオトとカノンは、色彩豊かな花や草木に包まれた神仏郷を散策した。ノリノリで話を振るカノン。しかし、ナオトは未だに緊張したままだ。



「ほら。仏くん。神仏郷に咲いている花々は綺麗でしょ?」



「ん…そうだね。」



緊張がほぐれず、辛気臭い返答をするナオト。しかし、カノンはナオトに心を開いてもらおうと、ある話題をもちかける。それは仏教の世界や、心に関する話題だ。カノンは、ナオトが釈迦如来の一族故に優しい心を持っている事を知っており、その優しさに興味を示していたのだ。よって、ナオトも自身の知っている知識を話し、カノンとそれを語り合ったのだ。カノンと話していくうちに、ナオトの緊張は次第にほぐれていき、会話が弾んでいくのであった。次第ナオトは、髪が長く、目も美しく、体が細く、そして美脚、美尻のカノンの優しさに触れていくのであった。



「(月泉は、本当に綺麗で優しいんだな。僕、彼女とならやって行けそうな気がしてきたよ。)」



「うふふ。仏くん、私の優しさに気づいたのね。嬉しいわ。」



明くる日も、その明くる日もナオトはカノンと交流した。二人で神仏郷に咲く花々を眺めたり、川のせせらぎを眺めたり、神社を参拝し、そこに祀られている仏像を拝み、そして、神仏郷の名物料理を食べたり、大仏、観音像などを拝観したりした。こうして、二人の他愛ない日常は過ぎていくのであった。



そして、その夕方。これまで無愛想であったナオトはすっかり笑顔に。カノンとの交流を通し、ナオトは心をひらいた模様だ。ナオトは言う。



「ありがとう。カノンさん。僕、君のおかげで心を拓けたよ!」



「そう。嬉しいわ。それに、私の事はカノンでいいわ。だって、お友達同士だもの。」



カノンとの交流を通し、心を拓いたナオトは、これからは司隊に馴染んでいこうと努力するのであった。その翌日も、ナオトとカノンは二人で向き合う日々が多かった。本部で二人きりで笑顔で向き合う様を見て、ゴウとサヤはほっこりしていた。


「今まで無愛想だったナオトも、カノンとの交流で心が変わったのか。いいなぁ。」



「そうですね。これが、神の友情という訳ですよ。優しさが一番ですから。」



そして、サヤとゴウは、ナオトがもっと司隊に馴染めるようにと、心から願うのであった。




転、新たな巨大妖怪群の出現



ナオトとカノンが交流を楽しんでいる最中、神仏郷には巨大な錦鯉のような姿をした巨大妖怪群、カミクイコイが出現する。カミクイコイは、その名の通り、神仏が大嫌いで、神仏を見つけては強力な牙で噛みつき、捕食していったのだ。次々と神仏がカミクイコイに捕食されていく。司隊本部は巨大妖怪群出現に伴い、アミーダの出撃準備を急ぐのであった。



「巨大妖怪群、出現!アミーダ、出撃準備!」



そして、ゴウから指令を受け、パイロットスーツに着替えたナオトはアミーダ初ノ型ブッダリアに向かうのであった。その最中、カノンはナオトの肩に手を置き、彼に声援を送るのであった。



「仏くん。頑張って。辛い時は、私の事を思い出してね。応援しているわ。」



「ああ。大丈夫だよ。カノン。僕、必ず勝つから。じゃあ、行ってくるよ。」



木の廊下を歩き、ナオトはブッダリアに乗り込んだ。そして、ゴウの掛け声とともに、ブッダリアは司隊本部を飛び立ち、カミクイコイの元へと飛んでいくのであった。



ーーーブッダリアが、池に飛び込み、カミクイコイの元へ辿り着く。いよいよ戦闘開始だ。カミクイコイの攻撃に警戒し、果敢にも挑むブッダリア。カミクイコイにダメージを与えようとする。辺り一面に水しぶきを飛び散らせながら、攻め込むも…。



バシャアッ!!



「うわああああああっ!!」



カミクイコイに突進され、水の底に叩きつけられるブッダリア。次の瞬間、カミクイコイはブッダリアに猛然と襲いかかってきた。水の中を逃げ回るブッダリア。攻め込むどころか、ひたすら追いかけ回されるだけであった。逃げ回り続けるも、その前は行き止まりだ。カミクイコイは口を大きく開けながらブッダリアを捕食しようとする。抵抗するブッダリア。更にその間に、機体のエネルギーも減っていってしまう。焦るナオト。すると、ナオトは、カノンの言葉を思い出すのであった。



「(仏くん!頑張って!本気を出して!)」



ナオトの頭に、カノンの声援が過ぎってくる。そして、ナオトは本気を出し、再びカミクイコイに攻めこもうとするのであった。



結、勝利〜二人の夜



「やああーーーーっ!!」



カノンの声援を思い出し、本気を出したナオト。ブッダリアはカミクイコイを勢いよく払い除ける。更にブッダリアはカミクイコイにひたすらダメージを与え続け、カミクイコイを翻弄し、形勢逆転。カミクイコイをくるくると振り回したのち、水中で竜巻を起こしながら、カミクイコイを河原へと放り投げる。



バシャアアアアーーーーッ!!



河原へ叩きつけられるカミクイコイ。カミクイコイは身体が乾燥し、動けない状態に。攻撃手段を失ったカミクイコイに対し、ブッダリアは必殺技でとどめを刺した。



「ふっ!阿弥陀水車!!」



スパーーーーーン!!



ブッダリアは、両手から巨大な水車を放ち、敵を真っ二つに切り裂く必殺技・阿弥陀水車でカミクイコイを勢いよく切り裂いた。よって、カミクイコイは形状崩壊し、そのまま消滅するのであった。闘いを終えたブッダリアとナオトは、そのまま司隊本部へと帰っていくのであった。



ーーー闘いは終わり、夕方、司隊本部の和室で寛ぐナオト。そこへ、カノンがやってくる。


「仏くん。お疲れ様。」



「月泉。ありがとう。君の声援のおかげで、二度目の勝利を掴む事が出来たよ。」



「そう。本当に疲れたわね。お風呂、入りましょうか。」



ナオトは、闘いの最中、窮地に陥った際に自身に声援を送ったカノンに礼を言った。そこで、カノンは疲れを取るために入浴しようと言う。二人はブッダリアの発射台である露天風呂に向かった。カノンは、ナオトより先に服を脱ぐと、手を差し出しながらナオトを待った。そして、ナオトはカノンの手をとり、露天風呂に入る。



ーーー露天風呂に二人浸かるナオトとカノン。二人は湯船で会話をした。湯船でナオトは辛いことや不安などをカノンに相談した。カノンは優しい言葉で、ナオトを諭すのであった。



「やっぱり、戦っていく上では不安があるな。どうすれば取り除けるかな?」



「それは、自分自身を信じる事よ。あなたは私と同じ。仏様とて優しさを持っているから。優しさというのは、仏教の中では一番大切な事だから。」



カノンの言葉で、本当の優しさに気づくナオト。露天風呂で他愛もない会話をした。



ーーーそして、夜遅く。ナオトは半袖に半ズボン、カノンはタンクトップとホットパンツに着替え、就寝の準備に入った。二人は、縁側から差し伸べる幻想的な光を眺めながら、語り合う。ナオトは言う。



「カノン。改めてありがとう。僕、君の優しさには本当に感謝しているよ。」



「そう。私たちは仏教の神様。優しさというのは何より大事だわ。これからも頑張っていきましょう。さあ、夜も遅い事だし。そろそろ寝ましょうか。」



「そうだね。月泉。おやすみ。」



ナオトとカノンは就寝についた。そして、その夜。ナオトはカノンの優しさを、その心に刻んでいくのであった。




ーーーつづく

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