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第二話「初陣!仏ナオト立志の時」

起、ナオト司隊へ


アミーダ初ノ型ブッダリアに憧れ、司隊への入隊を希望したナオト。カノンはナオトをブッダリアに同乗させ、司隊本部へと向かっていく。ナオトは未だに興奮を隠せない模様だ。



「わぁ、すごい。やっぱりアミーダは最高だ。」



「そう。喜んでくれて嬉しいわ。さあて、そろそろ司隊本部へ辿り着くわ。掴まって。」



カノンの肩に掴まるナオト。そして、ブッダリアの飛行スピードを上げていく。蓮の花が咲き、錦鯉の泳ぐ桃色の海を滑り込むようにブッダリアは飛行していく。すると、カノンは言う。


 

「さあ。あれが司隊本部よ。綺麗でしょ?」



目の前に、桜の木が生い茂り、朱塗りの本堂、山の上には阿弥陀如来の坐像が鎮座する厳かな司隊本部が見えてくる。ナオトは思わずそれに圧倒された。



「わあ、すごい。まさに綺麗だ。」



本部に連絡をとるカノン。


「ダイダラボッチは撃破。今、お客様を連れてきたわ。そう。釈迦如来の孫。アミーダに乗って巨大妖怪群を倒し、家族の仇をとりたいそうなの。ああ。分かったわ。今、連れていくわ。」



ーーーブッダリアから降り、ナオトはカノンに誘導され、本堂へと進んでいく。すると、本部の境内付近には赤い和服に一つ縛り、眼鏡をかけた女性が立っていた。すると、女性は言う。


「ご苦労さま。カノン。」


「ありがとう。この子は司隊への入隊をしているの。案内してあげて。」


「たしか釈迦如来の孫ね。お名前は?」


「仏ナオトです。よろしくお願いします。」


「そう。私は司隊戦闘指揮官。伊邪那美サヤ。これよりあなたの世話役になるわ。どうぞよろしくね。さて、こちらへどうぞ。カノンは休んでていいわ。」



ーーーナオトは、伊邪那美サヤを名乗る女性の後をついていく。仏像の立ち並ぶ厳かな会議室へと案内し、サヤと面談する。まずはナオトの経歴を読み上げる。


「仏ナオト。あなたは釈迦如来の孫として、神仏郷で育つ。母親の看病代を稼ぐために、法堂にて神の子たちへの説法を行う仕事をし、帰宅後に家族を巨大妖怪群に殺され、自身を救ったアミーダに憧れ、司隊本部への入隊を希望したと。」



「はい。何としてでも、アミーダに乗って、家族の仇をとり、神仏郷を救いたいのです。」



「そう。ちょうど、私たちとしてもアミーダに乗る人材が欲しかったところよ。釈迦如来の孫であるあなたにはアミーダを操縦し、巨大妖怪群を倒してほしいの。神仏を守るためにね。」



質問するナオト


 

「あ、あの。巨大妖怪群はかなり危険な存在ですか?」



 


「そうね。巨大妖怪群はかなり凶暴。知っての通り、2万年前に起きた歴史的事件である「霊界百鬼夜行」でね、神仏郷の半分が滅ぼされたの。奴らの軍団がね。でも、阿弥陀如来の力によって、全宇宙の滅亡は免れたけどね。しかし、今回現れ、あなたとあなたの家族を襲った巨大妖怪群ダイダラボッチは、これまでの巨大妖怪群の生き残りであったわけよ。」


2万年前に神仏郷で発生した巨大妖怪群の軍団による歴史的事件「霊界百鬼夜行」についてを語るサヤ。霊界百鬼夜行により、神仏郷の半分が滅ぼされたのだ。しかし、阿弥陀如来の力により、全宇宙が消失することは免れたという。そこで、巨大妖怪群の特性を語る。



「ここからが本題よ。巨大妖怪群は時空移動する能力を持ち、神仏郷を滅ぼせば、人間界をはじめ全宇宙を滅ぼすとされている。それに、さっきも言ったけれど、巨大妖怪群はかなり凶暴。闘うにはかなりの覚悟がいるわ。」



「はい。」



「さて、話は以上。今からこの司隊を指揮する(さざなみ)隊長の元へ行きましょうか。」



 

ーーー続いて、ナオトはサヤとともに「南無阿弥陀仏」の掛け軸が張られた厳かな畳の隊長室へと向かう。そこには、住職のような姿をした司隊司令官・漣ゴウが鎮座していた。履物を脱ぎ、ゴウの部屋へ上がるナオト。



「漣隊長。例の者を連れてまいりました。」



すると、ゴウは言う。


「ご苦労。君が、司隊への入隊を希望している者だね?話は聞いている。さて、自己紹介しよう。私は司隊総司令・漣ゴウだ。どうぞよろしく。」



「仏ナオトです。よろしくお願いします。」



「さて、ナオト。君は巨大妖怪群に殺された家族の仇をとるために、アミーダのパイロットになる事を希望しているのだね?」


「はい。それに、神仏郷を守るためにもです。」



「そうか。しかし、司隊への正式入隊にあたっては、君にやってもらうことがある。アミーダとの適合率を上げるための訓練だ。もちろん、その訓練は厳しい。君も、それなりの覚悟が必要だ。家族の仇をとるというのは、厳しい覚悟がつきものだ。甘くみていてはならないぞ。では、明日に訓練を開始する。それまで身体を休息させておくのだ。」



そう。司隊へ正式入隊するのは容易ではないというのだ。アミーダのパイロットとして、アミーダとの適合率を上げるために、数々の訓練をしなければならないのだ。明日にナオトは、ゴウとともに、その訓練を受けることになるのだ。



承、アミーダとの適合率を高める訓練

 


ーーー翌日。道場にてナオトはゴウを師範に修行することとなった。道着を着込み、早速訓練を開始した。



「さあ、訓練開始だ。私の元へ続いて拳突きだ。」


「せいっ!やあっ!せいっ!やあっ!」


汗を流し、掛け声とともに拳を繰り出すナオト。司隊に正式入隊し、アミーダとの適合率を高めるために、ナオトはゴウを師範に、数々の訓練を行った。



更に、受け身や司隊本部の外走、木刀の素振りや滝行などと言った訓練に励むナオトであるが、体力的にきつく、へとへとに。



「はあ…はあ〜〜〜っ。」



訓練にへばるナオトに対し、ゴウはややきつめに言う。



「どうした?そんな風にへばっていては、アミーダに乗り、家族の仇をとることはできないぞ。さあ、もっと頑張ってもらおう。」



そして、ナオトは気を取り直し、訓練を続けた。司隊に正式入隊し、アミーダに乗り、家族の仇をとるためには、心を曲げないナオト。ゴウとともに、あくる日も、あくる日も、心を曲げずに、ゴウにきつく言われ、へばりつつも厳しい訓練に励んでいくのであった。その様子を、カノンが縁側から眺めている。


「うふっ。頑張っているわ。仏くん。アミーダに乗れるといいわね。」



ーーー幾度もの訓練を重ね、ナオトはようやく夢にたどり着いた。訓練を通し、ナオトはゴウに認められ、司隊へ正式入隊する事となった。


「おめでとう。ナオト。司隊へ正式入隊する事を認める。君には水の司の称号を与える。そして、君の使用機体はアミーダ初ノ型・ブッダリアだ。」



司隊への正式入隊が認められ、喜ぶナオト。



「やったぁ!これで僕もアミーダに乗れる!家族の仇をとるんだ!」



ーーー縁側。カノンがナオトの頑張りを称えた。



「よくやったわ。ナオトくん。これで、アミーダのパイロット。私たちの仲間ね。」


「ありがとう。カノンさん。僕もこれから、アミーダで巨大妖怪群に立ち向かうんだ。」


「ええ。巨大妖怪群は必ず現れる。釈迦如来の孫たるあなたはしっかりしているから。頑張ってね。」


「ああ。僕、頑張るよ。アミーダに乗るの、楽しみだ。」



司隊に正式入隊する事になったナオトは、アミーダでの戦闘の時を待ち侘びた。



転、新たな巨大妖怪群の出現、仏ナオト出撃



ゴゴゴゴゴ…



ーーーその夜、神仏郷に新たな巨大妖怪群が出現した。巨大な人型に頭から背中にかけて無数の棘が生え、水饅頭のような身体をした、ヤドクガミと呼ばれる巨大妖怪群だ。ヤドクガミは全身から毒を発しながら、辺り一面を崩壊させていく。巨大妖怪群出現に伴い、司隊はアミーダの出撃準備を急いだ。


「巨大妖怪群出現!アミーダの出撃準備開始!」



その間、研究室でナオトは、司隊の頭脳役である須佐之ハクシと呼ばれる白髪で童顔の男性から、今回の戦闘におけるヒントをもらっていた。



「いいか。今回がお前の初戦闘だ。ヤドクガミは猛毒で、攻撃には用心するんだ。漣隊長とともに鍛えたその力、本領発揮するんだぞ。」



「はい。須佐之さん。僕、頑張ります。」



ーーー早速、ナオトはアミーダ初ノ型ブッダリアに乗り込む。ナオトとブッダリアの適合率は正常であり、ゴウとの修行で取り入れた霊力が発揮されている模様だ。露天風呂が展開され、ブッダリアが発射台とともにせり上がる。



「アミーダ、出陣!」



ゴウの掛け声とともに、ブッダリアは司隊本部を飛び立った。そして、ヤドクガミの元へ辿り着く。おどおどするナオト。サヤやゴウのヒントを元に、ヤドクガミに攻めこもうとするが、ブッダリアは躓き、転倒してしまったその瞬間…。



ガシッ!ブクブクブクブク…



ヤドクガミはブッダリアの腕を思いっきり掴み、自身の身体から毒を送り込んだ。操縦しているナオトにも、その激痛がフィードバックされ、腕を押さえ、悶絶する。



「うっ!うあああーーーー!」



「ナオト!落ち着いて!毒を送り込まれたのは、あなたの腕じゃないわ!」



ブクブク、ブチャアッ!



ひたすら毒を送り込まれ、肥大化したのちに、ブッダリアの左腕が水風船のように弾き飛んだ。更に次の瞬間、ヤドクガミは抵抗出来ないブッダリアを木造の建物に叩きつけ、手を巨大化させ頭を鷲掴みした。ナオトは激痛のあまり頭を押さえる。そして、次の瞬間、ヤドクガミはブッダリアの頭部から思いっきり、脳みそを引きずり出した。



ブチャアアアア…



ヤドクガミに脳みそを引きずり出され、撃沈するブッダリア。




結、ブッダリアの暴走

 


「ブッダリア頭部損傷、再起不能!」



「まずいわ!ナオトの救護を急いで!」


 

本部は騒然とし、隊員たちはブッダリアの強制回収、ナオトの救護を急ごうとするが…。



「変です!ブッダリア内で高エネルギー反応!」


 

パァァァーーーーー!!



突如として、ブッダリア内のナオトの勾玉が閃光を放った。それと同時にブッダリアの目が光り始め、口をガパッと開き、牙を剥き出しにし、ゆらりと起き上がり始めた。



「ブッダリア、再起動!」



「まさか、暴走か。」



唖然とする本部。ブッダリアは口を開け、けたたましく獣のような咆哮を上げた。



ウオーーーーーーーン!!



咆哮を上げ、ブッダリアはヤドクガミに攻め込んでいく。ヤドクガミは身体から毒弾を投げつけるも、ブッダリアは右腕のシールドでそれをブロック、それと同時に、失われた左腕を再生させる。そして、ブッダリアはヤドクガミを思いっきり殴りつけた。最早暴走したブッダリアにはヤドクガミは敵ではなかったのだ。怒涛のパンチやキックなどでヤドクガミを翻弄していく。その様に、司隊本部は愕然とした。



「すごい、仏様があんなにも荒ぶるなんて…」



「ああ。ブッダリアにはナオトの祖先たる釈迦如来の心が宿っている。だから、守ってるんだ。」



ブッダリアの怒涛の攻撃に抵抗出来ないヤドクガミ。 そして、ブッダリアはヤドクガミを持ち上げ、そのまま建物の谷間へと投げ落とした。ヤドクガミを翻弄し続けたのち、ブッダリアは咆哮を上げ、両手を合わせ、巨大な水の玉を形成した。どうやら水を活用した必殺技を使う模様だ。



「なっ…?!阿弥陀水玖か…。」



ブッダリアは、自身の力で巨大な水の玉を投げつける「阿弥陀水玖(あみだすいきゅう)」で、ヤドクガミにトドメをさしたのだ。阿弥陀水玖の力により、ヤドクガミは形状崩壊し、そのまま消滅していくのであった。しかし、司隊本部は歓喜の声を上げる事なく、ただその様に愕然としていた。



「神仏鄉を守るのに、あんな化け物になるなんて。」



ウオアアアアーーーーーーーーッ!!



神仏郷の夜の街で、けたたましく咆哮を上げるブッダリア。その咆哮は、夜の神仏郷に響き渡り、神々はその様に愕然とするのであった。



ーーーつづく

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