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解説 ドゥムジ
ドゥムジ神について解説しましょう。シュメール語ではタンムズです。
ドゥムジ神は牧畜、植物を司る神で、最終的に冥界の神としての性質も有しています。特に、牧夫としての性質が強い神です。
あのイシュタル神の配偶者であり、「農夫なんかより牧夫のほうがいいぜ!」とアピールした結果夫婦となります。
そのため聖婚祭などではイシュタル神とドゥムジ神に扮することも多いです。ここまでで終わっておけば本当にオシドリ夫婦だったんですが。
イシュタル神が冥界に囚われた際、一人だけ悲しんでいなかったドゥムジ神にブチ切れたイシュタル神が自分の身代わりとして差し出します。
当然それを拒んだドゥムジ神はほかの神の知恵を借りたり、動物に変身したりして逃げようとしますが最終的に半年だけ冥界にいることに合意します。
ちなみにこのドゥムジ神ことタンムズ神は豊穣神としてメソポタミア滅亡後もかなり信仰されていた挙句、一部の暦にタンムズ月として名を残しています。
逃げに逃げた結果、メソポタミア文明が滅んだ数千年後まで飄々と生き延びたしぶとい神です。




