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第十六話 命の輪

 飲食供養を済ませた二人はエタの案内で少し離れた廃屋に向かった。

 粗末な日干し煉瓦の小屋の中にいたのはラバサルとターハだった。

「何? あんたの仲間ってこのおじさんとおばさんなの?」

 二人を見たミミエルの第一声はとても失礼で、以前のように相手をあざけるような口調に戻ってしまっていた。

「だ、れ、が! おばさんだあこのがきんちょ!」

 ミミエルの頭を押さえつけようとしたターハの腕をするりとかいくぐり、ミミエルは部屋の中に入った。満月とはいえ真夜中の暗闇でもよどみなく動けることに少しエタは感心した。

「ごめんなさあい。暗くてよく見えなかったわ。ああでも年寄りは夜目が利かないらしいから、あなたのほうが年を取ってるのは間違いないわよねえ?」

「よしてめえそこになおれ。あたしがぶん殴ってやるよ」

 今にも喧嘩が始まりそう空気にラバサルは呆れていたが、強引に話を進めることにしたらしい。

「いつまでもじゃれあってんじゃねえ。そろそろ話を始めるぞ。エタ。条件は整ったんだな?」

「はい。ミミエルからいろいろ話を聞いたので、これで作戦を実行できます。今から説明します」

「は? あんたこいつらにも説明してなかったの?」

「時間がなかったからね」

「ふうん? で? どうやってまだらの森を踏破するの? あんまりやる気がなかったとはいえ十年以上攻略されなかった迷宮よ?」

 ここ数日でわかったことだが、灰の巨人の総合力は決して低くない。特にギルド長のハマームはかなり手練れの冒険者と言ってよい。

 攻略しなくても利益は見込めるとはいえなるべくなら踏破しておきたいのが本音だったはずだが、諦めざるを得ないほど困難だったのも確かなのだ。この地域の人々にとって不慣れな森という地形に完全に適応した大黒蟻の群れはかなりの強敵なのだ。

 そんな相手と十年以上戦ってきた灰の巨人を出し抜かなければならない。これはかなりの難題といえる。それでもエタは攻略法を思いついていた。

 エタがそれを知っており、迷宮攻略に結びつけたのは偶然でしかないのだ。

「もちろん正攻法はしません。僕らは食物連鎖の仕組みを利用して、迷宮を弱体化させます」

 食物連鎖。

 エタ以外の三人は聞きなれない単語に首を傾げた。


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