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解説 身代わり王
メソポタミアの文化の一つである身代わり王について解説します。
何らかの災いが起こった時、あるいは起こった後で王の身代わりになる人を指します。
災いが起こった後ならともかく、予想なんてできるの? と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、予想できるものとして、例えば日蝕などです。多くの神話においてそうであるように蝕は凶事だとされていました。
数千年前から蝕を予想できる天文知識があったというのも驚きですね。
ちなみにこの身代わり王は実際に玉座に腰かけ、王のごとき振る舞いをすることもあったようですが、さすがに実務は行っていなかったとされています。
さて、この身代わり王は王に近いもののそれほど身分の高くない人が選ばれたようですが、最終的に、つまり身代わり王が必要になくなれればどうなるのか気になるところでしょう。
残念ながら身代わり王をやめるときは命を終えるときのようです。しかしさすがになんの罪もない人を殺してしまうのは罪悪感があったのか、この『殺人』に対してかなり婉曲的な表現が用いられています。