第六十八話
「そういえば、リブラ様、ベガに伝えなければいけないことがあるのではないですか?」
「わ、私に!? な、なんだい、リブラ」
「えぇ!? あ、そうですね……」
そういえば、カグラ様と一緒にいたい事を伝えるんでしたっけ……どうしましょう、今日はただ追い返す作戦の結果を伝えるだけの予定でしたのに……。
「ベガ! いや、お義父さん! リブラを私にください!」
「え、えぇ!?」
「ちょ、ちょっとカグラ様!」
カグラ様がお父様に向かって頭を下げ、お願いをした。
当然だが、お父様は困惑している。
「いやいや、ちょっと待ってくださいよ、2人とも……女同士だし、しかも吸血鬼と人間じゃ……」
「そんなことは百も承知です! ですが、私はリブラを愛しています!」
「そ、そうなんですか……だが……」
お父様は判断に困っていた。
まぁ、これも当然ですよね……。
「リブラ、貴方はカグラ様の事、どう思っているの?」
お母様が私に問いかけた。
勿論私の答えは決まっている。
「愛しています! 私はカグラ様の事、心から愛しています!」
「……だそうですよ、貴方」
「そ、そうなのか……」
「ベガ、私はカグラとリブラ様の意見を尊重します。私はこの2人なら大丈夫だと判断しました、ベガはどうなのですか?」
「そ、そうなのですか……私は……」
お父様はまだ判断に困っている、すると、意外な人が私たちに賛同した。
「僕も2人の意見を尊重します」
「れ、レオ!?」
レオだった。
すると、後ろにいる長老の皆様も意見を出した。
「2人はお似合いなように見えますけどね」
「コーヴァス伯爵家の方なら大丈夫でしょう」
「人間は嫌いだが……あの女は姫様とお似合いだ」
長老の皆様も納得しているようだった。
「貴方、早く意見を表明してください」
「せ、急かさないでくれよ……うん、わかった! 私も受け入れるよ!」
「ありがとう! お義父さん!」
「そ、そのお義父さんっていうのやめてください! これまで通りベガでいいですよ! カグラ様!」
「お父様! 本当にありがとうございます!」
「あ、あぁ! 幸せになるんだよ! リブラ!」
お父様は私とカグラ様を抱きかかえた。
後ろにいる長老の皆様は、私たちに向かって拍手をしていた。
恥ずかしい気持ちもありますが……嬉しい気持ちの方が勝った。




