第六十七話
「……ははは!」
「……ふふふ」
成功……しました!
「やったよリブラ!」
「はい!」
私たちは成功を嚙み締め、お互いに抱き合った。
「ふぅー……全く、怖かった……」
「大胆でしたが……成功しましたね」
「姉さん……考えることが凄すぎる……」
物陰に隠れて見守っていたお父様とお母様、そしてレオが出てきた。
「け、怪我はないだろうね!? とても心配だよ……」
「貴方、見れば無傷だと分かります、それにカグラ様ですよ? 傷を負わせるようなことはしません」
「はい……」
お父様は心配されているようだった、でも確かに、この計画はかなり不安だった。
まず、お父様が、「王族の方がいらっしゃるので全員外に出ないように」と領民の皆様に伝える。
次に、里の人に芝居を打つように協力していただく……正直、こんなに多くの方に協力していただけるとは思わなかった。
そして私とカグラ様、そして協力者の皆さんが森の入り口まで行き、アトラス様を待つ。
次に、カグラ様に、「吸血鬼が外で活動するための薬品」と「カグラ様の血液」を混ぜたものを口に含んでいただき、待機してもらう。
そして、アトラス様がやってきたところで、私が飛び出し、芝居を打つ。
……失敗する可能性が大いに高かったが、上手くいきました。
「よかった~」
「これで里に平和が戻る……」
「私の演技も捨てたもんじゃないね!」
里の皆さんは、皆安堵しているようだった。
「さ、森に行こう、ママに結果を伝えに」
「……はい!」
私たちはそのまま森の中に入った
◇
「上手くいきましたか」
「はい!」
「そうですか……正直不安でしたが、これで一安心ですね」
盟主様の城の中……そこで、私たちは結果を伝えた。
私たちの周りには、「長老」と言われている皆様がいらっしゃる……全員見た目は若そうですけどね……。
「恐らくこれで、この森には手を付けないでしょう」
「里の皆様の協力のおかげですね」
お父様とお母様がそう伝える。
お二人とも、かなり落ち着いている様子だった。
「そういえば、この機会にご紹介を、こちら、私の息子で、次期伯爵家の当主、レオ・コーヴァスです」
「初めまして、ご紹介にあずかりました、レオ・コーヴァスと申します。今後ともよろしくお願いします、盟主様」
「なるほど、そのお姿……ベガの生き写しですね」
お父様がレオを盟主様に紹介した。
レオは礼儀正しくお辞儀をしている……昨日不安がっていた様子とはまるで違いますね。




