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閑話 騒然とする伯爵家

 一方、コーヴァス伯爵家は騒然となっていた。


「旦那様! 奥様! 大変です! お嬢様が部屋を飛び出しどこかへ……」

「なんだと!?」


 コーヴァス伯爵家当主、『ベガ・コーヴァス』は、メイドのスピカの報告に騒然とした。


「屋敷総出で捜索に掛かれ! 私達も行く! 領民にも見つけたら報告するようにと伝達をしてくれ!」

「は、はい!」


 スピカは部屋を離れ、急いで馬小屋へと向かった。


「貴方!」

「あぁ、やはりあの書面の内容は……」

「だから私は言ったんですよ! あんな男はやめた方がいいと……」


 ベガの妻であり、リブラの母親である『オヒュカス・コーヴァス』は、夫に対して叱責した。


「あの王子は昔から浮気をしていたんですよ! それも複数の女性に……それを伝えたら可哀想だと言ったのは貴方ではありませんか!」

「いやあのその……私はあの子のために……」

「全然為になっていませんわ!」

「は、はい……」


 オヒュカスは公爵家出身であり、元々階級が高く、尚且つベガはオヒュカスよりも年下なのもあって、オヒュカスは事実上、伯爵家の裏の当主とも言われていた。


「とにかく! 早く見つけ出して、心のケアをしなくてはいけませんわ!」

「いやいや、次の夜会へ……」

「貴方は情緒不安定の娘を夜会に行かせるつもりですか! それでも父親なんですか!?」

「は、はい……」


 すると、書斎の部屋の扉がノックされる音が、二人の耳の中に伝わった。


『……お父様? なにやら騒がしいようですが?』


 コーヴァス伯爵家の長男で、リブラの弟である『レオ・コーヴァス』の声だった。

 レオは既に就寝していたのだが、あちらこちらに駆けずり回る使用人たちの足音で起きてしまったようであった。


「レオか? いやぁなんでもないよ! 寝ていなさい!」

「そ、そうですよ! 明日も早いんですから、おやすみなさい」

『……そうですか? わかりました』


 レオが部屋に戻ったのか、足音が遠のいていくのが、部屋からも分かった。


「……ふぅ」

「まだ幼いあの子を巻き込むわけにはいきませんからね」


 レオはまだ14歳、残り一年で結婚ができる年齢となる。

 しかしそれまでは巻き込むわけにはいかないと考えた二人は、このことを秘密にした。


「無事だと良いんだが……まさか、『あの森』には行ってないだろうな?」

「……だと良いんですが」


『あの森』、二人は迷宮の森について、何かを知っているようだった。

再びドアのノック音が鳴り、スピカが外から大声で伝える。


「旦那様! 奥様! 馬のご用意ができました!」

「行きますよ! 貴方!」

「あ、あぁ!」


 二人は足早に部屋を後にした。


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