閑話 突き放した者 3
「皆の者! よく聞きたまえ!」
アトラスは自分の部屋に兵士を呼びつけた。
……ほんの数十人程度であったが。
「明日は我々であの忌まわしき森の木を丸裸にするぞ!」
「……はぁ」
兵士はやる気のない返事をした。
「なんだそのやる気のない返事は!」
アトラスは兵士に向かって怒りを露にした。
「あの……発言してもよろしいでしょうか?」
「いいだろう、許可する」
「本当に我々だけで、あの森の木を伐採するんですか……?」
「いかにも、君たちもあの森は鬱陶しいと思っているだろう? 人が通るにも物が通るにも、あの森を抜けなければいけない」
「それはそうですが……あそこには吸血鬼が……」
「貴様! そんな迷信を信じるのか!?」
「あ、いやその……」
発言した兵士は、押し黙ってしまった。
「いいか! これは王国の為だ! 今こそ道を切り開き、国民の暮らしをより豊かにするのだ!」
「……」
兵士たちはアトラスの「熱弁」を黙って聞いていた。
「……あと、これについては他言無用で頼む、お父様にはサプライズで行うからな」
「さ、サプライズ……」
兵士たちは驚いて、騒がしくなった。
「静まれ! ……なぁに、お父様はきっと喜んでくださる、君たちは英雄になるのだ」
「……」
「いいか? この事を口外した者は……『これ』だぞ?」
アトラスは『これ』に合わせて親指で首を切断するジェスチャーをした。
兵士たちはそれを見て、つばを飲み込み、お互いの顔を合わせた。
「さぁ! 今から作戦会議だ!」




