表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

69/100

第五十五話

 食事を終えてすぐ、お母様に「明日の夜会の準備をしなさい」と言われたので、部屋に戻ることにした。

 さぁて、まずは衣装合わせと、ダンスの練習と、後は……

そんな事を考えながら自分の部屋のドアを開けた。

中はいつも通りの風景……と思われたが。


「うわぁ!?」


 いつもと違う光景で、私は思わず大声を上げてしまった。

……幸い、近くに使用人がいなかった。


「な、なぜ貴方が……ふごっ!?」


 口を塞がれ、扉を閉められ、鍵を掛けられた。


「んんん!?」


 私は口を抑え付けられ、ベッドに押し倒された。

ベッドを押し倒した人物、そして今、その人物は私の上に乗っかっている。

その人物は……。


「な、何をするんですか! アブラム様!」

「お前がうるさいからだ」


……アブラム様だった。


◇ ~カグラ視点~


「……と、いうわけです」

「……ふざけるな!!」


 ベガの言ったことはかなり衝撃だった。

長老の1人がブチギレて立ち上がった……私も驚いたけど……。


「我々は互いに干渉しないことで秩序を守ってきたのに、その行動は貴様らによる宣戦布告ととらえて良いのか!?」

「そ、そんな……滅相もございません……」

「だったら何だというのだ!」

「ひ、ひぃぃ……」


あぁ……そういえばベガって凄い臆病だったね……。

成長しても、そこんところは変わんないか……。


「落ち着きなさい! ベガに八つ当たりしても何にもなりません!」


ママは怒りで落ち着かなくなっている長老と鎮めさせた。

ママはこういう時も冷静だなぁ……。


「それで、ベガ。今一度聞きます、『それ』はいつ行われる予定ですか?」

「あ、明日の……昼と聞いています」

「明日の昼!?」

「早すぎる!」

「それでは対策しようがないではないか!」


 ベガの言ったことに、私たちは困惑した。

あ、明日!? 早くない!? 長老の誰かが言ってるけど、対策しようがないじゃん!


「わかりました、私達でも何とかできないか模索します。ベガもオヒュカスと協力して対策を考えてください」

「はい、かしこまりました……」


……すると、さっきブチギレてた長老が立ち上がって、ベガの首を掴んだ。

ちょ、ちょっと!


「落ち着きなさい!」


 ママは落ち着くよう言うも、長老は落ち着かない。

落ち着かないのは分かるけど、手を出すのはまずいって!


「この猿が……やっぱり貴様らはあの時全員殺処分にするべきだった!」

「も、申し訳ございません……」

「それで謝っているつもりか……? 貴様……ふざけているのか!!」

「やめなさい!!」


 ママが怒号を上げると、使用人が長老を抑え込んだ。

はぁ……ようやっと止まった……


「今すぐ締め出しなさい」

「かしこまりました」

「おい! 放せ! 今すぐそいつの血液を全て吸ってやる! そんでもって人間どもを皆殺しにしてやるぞ! 放せよ!」


 長老は部屋から締め出された。

多分あまりのことで訳が分からなくなってるんだと思う。


「申し訳ございません、ベガ」

「あ、謝らないでください、これも私が頼りないばかりに……」

「いいのです……今はお互い考えましょう。……森の外までお送りします、コキク」

「はい」


 ベガはコキクに誘導され、部屋を後にした。


「しかし……これは本当に大変な状況です。早く何とかしなければ……」


 ……うん、ママの言っていることはもっともだ。

何とかしなくちゃ……

っていうか、こんな時にアブラムはどこ行ってるの!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ