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第五十一話

「レオ! 待ってください!」


 レオは私の声を聴いて振り向いた。

私は唾を飲み込んで、里であったことを話した。


「あの……質問の答えですが! 彼らにとって私たちは……恐らく、無関心です!」

「……無関心?」


 レオは唖然としていた。


「えぇ! 皆私たちの事は気にせず、家族や恋人と優雅に暮らしていて、私たちと同じように食べ物を食べたり、働いたり、喜び合ったり……」

「……」


 レオは淡々と私の言葉を聞いていた。


「確かに、私たちの事を嫌っている人もいましたが……でも! だからといって私たちを殺したいとか、そんな考えは無いです! えぇ!」


 私は胸を張って、ありのままのことを話した。

 全て事実だ、男児の生誕を祝う祭りでは、家族や恋人と過ごして、屋台には食べ物がたくさん……城の人や屋台の人は一生懸命働いていて、皆幸せそうな笑顔を見せていた。


「……なるほど」


 レオは笑顔を見せた。


「姉さんがそこまで熱く語るということは、きっと素晴らしいところなんでしょうね」

「え、えぇ! それはもちろん!」


 私はつい、熱く語ってしまったようだ。

少し恥ずかしくなってしまった。


「里の方に良くしていただいたのですか?」

「それはもう! 皆さんとてもいい人でしたよ!」

「……そうですか」


 レオは先ほどまでいた席に戻った。


「姉さんがそこまで言うなら……わかりました、僕も彼らの事を信用することにします」

「……そうですか」


 私も元居た席に戻った。


「すみません、一旦この話はやめて、普段の話をしましょう」

「え、えぇ……そうですね!」


 私たちはお茶を飲み、最近あったことを話し始めた。


「そういえば僕、そろそろ婚約者を探さないといけないのですが……女心が……分からなくて……」

「女心……ですか……」



「あぁ! 忌々しい! また迂回をしなければいけないのか!」


 アトラスは馬を走らせていた。

アントリア子爵家で「用事」を済ませ、迷宮の森を迂回し、王都へと戻っている途中なのだ。


「あの森……アレを全て木材や木炭にすれば……」


 アトラスは迂回ついでに、森について調査しようと、近づいた。

馬を途中で降り、至近距離の位置まで来た。

 アトラスは木に触れようと近づいた……その時。

森の奥から猛獣のような唸り声が聞こえたのだ。

それを聞いたアトラスは……。


「ひ、ひぃぃぃ!?」


 ……馬に再び乗り、その場を後にした。


「だ、だが! あの森が消えればあの声も消える筈……戻ったら態勢を整えよう……」


 アトラスは王城へと再び出発した。

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