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第四十八話

『リブラ!』


カグラ様の美しい声が聞こえる。

私はその声がする方向へと走った。


『リブラ! 早くしないと置いていくよ!』


カグラ様が走り始める、

私はそれを追いかけた。

カグラ様は相変わらず足が速い、私は追いつけなかった。

「待ってください!」と私は叫んだ。

でも、その声がカグラ様には届かなかったのか、どんどん遠くへ行ってしまう。

走っていくうちに私は何かに躓いた。

カグラ様は……もう目の前にはいなかった。

悲しかった、私は泣いた、たくさん泣いた。

気が付くと、私の足元が湖になっていた。

私は泳ごうとするも、流れが速く、気が付くと、滝のすぐそばまで来ていた。

私は流されないように逆走した。

しかし流れには敵わず、どんどん滝へと近づいてしまう。

私は助けを求めた、でももうカグラ様はいない。

助けてくれる人は……もういない。

私は力尽きて……滝に落ちた。

もう死ぬと分かっているけれども、カグラ様に会えないのなら……本望だった。

そろそろ私は水に叩きつけられて死ぬ……そう思った時だった。


私は風を感じた、上からではなく、横からの風。

目を開けると、真上には……。


「心配したよ、リブラ」


カグラ様だった。

美しい髪に、美しい肌、吸い込まれそうな赤い瞳。

まさにカグラ様だった。

私はその姿に安心したのか……再び目を閉じた……。



「……さま」


目を開けると、人の顔が見えた。

あれはまさか……


「カグラ……様?」


私はそう呟いた。


「お嬢様、お休みのところ、申し訳ございません」

「え!? ス、スピカ!?」


目を開けると、メイドのスピカが、ベッドの横から声を掛けていた。

先ほどのは……夢?


「申し訳ございません、出直します」

「あ、いえ! 大丈夫です!」


スピカが気を使ってくれたのか、部屋を出ようとしていた。

私はそれを呼び止めた。

危ない危ない……もしかしたら大事な要件かもしれませんからね。


「で、何の用ですか?」

「はい、先ほど、お坊ちゃまより、お嬢様とお話がしたいとの伝言をお預かりしました」

「レオが……?」


もしかしたら、レオは私の事を心配して、顔を見たくなったとか……そういう事ですかね?

確かに心配を掛けてしまいましたし……お話をする機会は最近ほとんどなかったので、いいでしょう!


「わかりました、すぐ向かうとレオに伝えてください」

「かしこまりました」


スピカはそう言って、部屋を出た。

さて、私は姉らしく服装を整えて、行きましょう!

これもカグラ様の為に!

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