表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

59/100

第四十六話

 私は今、お城の屋上にいる。

食堂で盟主様に耳打ちをしていた燕尾服の女性が、私をお屋敷まで送るらしい。

盟主様も私を見送る為に屋上に来てくださった。


「カグラ、リブラ様にお別れの言葉は言いましたか?」

「もう一生分言ったよ……本当に寂しくなるね、リブラ」

「カグラ様……」


 私は思わず、カグラ様に抱き着いた。


「ちょ、ちょっとリブラ!?」

「カグラ様ぁ! 一生忘れません! 絶対に!」

「ふふふ、さっき聞いたよ。私も一生忘れないから」


 やはりカグラ様のぬくもりを感じると、安心する。

このぬくもりも、もう二度と味わえない。


「さ、行って。貴方には帰る場所がある」

「……はい」

「元気でね、リブラ」

「カグラ様も……お元気で!」


 私はカグラ様から離れた。

私は燕尾服の女性の所へ戻った。


「さ、行きましょう」

「……はい!」


 私は燕尾服の女性に掴まれ、気が付くと、地表から足が離れていた。


「リブラ! またね!」


 カグラ様が手を振る。

私はそれに答えた。


「カグラ様! さようなら!」


 私は屋敷に向かった。



「さて、到着しましたよ」

「あ、ありがとうございます」


 瞬きする間に、私は屋敷に着いた。


「それでは、お元気で」

「はい、ありがとうございました」


 送ってくれた女性は、コウモリの姿になって、森へと飛び立った。

さて、私はどうしましょう?

盟主様は使いを送っておくと仰っていましたが……やはりお父様もお母様も心配になっていますよね……。

 当然ですよね、娘が突然飛び出したかと思ったら、迷宮の森に行っていたなんて……

でも今の私は、もう昨日までの私ではない!

私の心には、カグラ様がいらっしゃる!

私は胸を張って、屋敷の中へと入った。



「リブラ! あなたって人は! 屋敷の人はおろか、領民の皆さんにまで迷惑を掛けて!」

「も、申し訳ございません!」


 書斎に入るや否や、私はお母様に怒鳴られた。

覚悟は決めていましたが……やっぱり怖いです!


「まぁまぁオヒュカス、そんなに怒鳴らなくても……」

「貴方は黙ってください」

「はい……」


 お父様が仲裁に入ろうとしたが、お母様に遮られてしまった。


「いいですか! そもそも貴方はコーヴァス家の娘という自覚が足りないのです! あなたはもうじき……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ