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閑話 待つ者たち、明かされる秘密 2

「……と、いうことだ、質問はあるかい?」

「……質問したいことが多すぎます」


 レオは迷宮の森についての事をベガから聞き、驚愕した。

まさか近づいてはいけないと言われているその森に、吸血鬼が住んでいると聞かされたからだ。


「その吸血鬼とやらは本当に信用してもいいのですか?」

「彼らは我々に危害を加えない、それに彼らも我々のことを脅威に感じている」

「我々……? 吸血鬼が人間を恐れているというのですか?」

「彼らは血を吸ったり空を飛んだりする以外は人間とほぼ同じだ、彼らからしてみれば、我々人間は何をしでかすか分からない野蛮な連中だよ」

「そんな……」

「もちろん、全員が全員そう考えているわけではないが、彼らも、それに我々も平穏を望んでいるのには変わりはない」

「……」


 レオは納得できないでいた。

果たして吸血鬼は本当に脅威ではないのか?

 表面上そう言っているだけで、本当は我々の土地を侵略しようとしているのではないか?

そう考えていた。


「国王はこの事を知っているのですか?」

「……知らない、この伯爵家の一番の秘密だ」

「話されては?」

「話したら彼らの平穏な生活は終わりかねない、得体のしれない生物は浄化する等の理由で戦争が起こる可能性だってある」

「……」


 レオは、やはり納得していなかった。

吸血鬼は血液を好む、人間だって捕食対象になりえる。

 そうなる前に攻撃するというのもあながち間違いではない。

そう考えていた。


「まぁいい、今度、お前を『盟主様』に会わせる予定だ」

「盟主様……?」

「吸血鬼の長の方だ、くれぐれも無礼の無いようにな」

「……はい、失礼いたします」

「待ちなさい」


 ベガはレオの表情に違和感を感じ、呼び止めた。

レオは即座に振り向いた。


「なんでしょう? お父様」

「お前は今、吸血鬼を疑っているのではないか?」

「……」


 図星を突かれたレオは、黙り込んでしまった。


「お父様は、そうは思わないのですか?」

「私だって、最初に聞かされた時はそう思ったさ、だが、現に私が生きてきた人生で、彼らが人間を襲ったことはない、領民の安否も毎月確認しているから確証はある」

「……そうですか」


 レオは疑心暗鬼になりつつも、納得しようとした。


「いいかい? レオ、簡単に相手を疑うのではない、疑う前に相手を理解するよう努力しなさい、これは貴族としてではなく、人間として重要なことだ、わかったかい?」

「……わかりました」

「さ、行きなさい」

「……はい」


 レオは父の言葉を真摯に受け止め、部屋を後にした。


「ふぅー……叱るの苦手なんだよなぁ……」


 ベガは少し安堵をした気持ちで、書斎の椅子に腰を掛けた。


「それよりも……リブラはまだかなぁ、不安だ」

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