第四話
「あの……」
「うわぁ!?」
私は驚いて、つい大声を出してしまった。
「終わったけど……怪我とか……ない?」
「あ、えっと……」
こんな時、なんて言えばいいのかしら?
ありがとうございます? 貴方こそ怪我は? というか貴方誰?
「よく見たら脚怪我してるじゃん」
「あ……」
恐らく逃げる時に木の枝に当たったのか、軽い切り傷ができていた。
「大丈夫、今治してあげるから」
「大丈夫ですよこのくらい! って今治すんですか!?」
「いいから、じっとしてて……」
「ちょっと……」
少女は顔を私の脚にできた切り傷目掛けて近づけた。
治すのになんで顔を近づける必要があるんですか!
やっぱりこの少女は吸血鬼……? 私は切り傷を広げられて餌にされるのですか……?
……一度は助けて頂いた命、元々死のうと思ってこの森へ来たのなら、それも本望ですわ。
私は目を閉じ、覚悟を決めた。
さぁそろそろ痛みが……え? 生暖かい? 謎の感触が傷口に伝わった
「はい、治ったよ」
「え?」
傷口に目をやると、確かに、綺麗さっぱり消えていた。
「立てる?」
「は、はい……」
少女が手を差し伸べてきたので、私はそれに掴まり、立ち上がった。
……その時、突然少女に抱き着かれ、背中を擦られた。
「な、なにを!?」
私は突然の出来事に、思わずそう言ってしまった。
突然の出来事はさっきから立て続けに起きて入るのですが……。
「大丈夫? 怖かった?」
「は、はい……あの……なんで抱き着く必要が……?」
「人間って抱き着けば落ち着くんでしょ?」
「は、はぁ……」
確かに落ち着いてはきたが、こういうのは普通、親と子の関係性の間とか、もしくはその……恋人……同士とか……って、いったい何を考えているんですか私は!
「それで? 話を戻すけど、なんでこんなところに来たの?」
「あの……気晴らしに……」
「気晴らし? こんな夜更けに一人で? しかもこんな場所に?」
「あ、えーっと……」
死ぬために一人でここに来ただなんていえない。