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第三十九話

「どうでしたか? 昨夜は」

「あ、えっと……とても楽しかったです! 王国にはあのような催しは無かったものですから、とても新鮮でした!」

「そうですか、それならば良かったです」


 盟主様が昨夜の事を聞いてきた。

昨夜は本当に内容が多すぎて、一言ではまとめられなかった。


「ママ! リブラったら凄いんだよ! ダンスが凄く上手くて、踊っててものすごく楽しかったんだ!」


 ちょ、ちょっと! 今はそのことを思い出させないでください!

恥ずかしいです……。


「うふふ、カグラがそこまで言うということは、相当踊りがお上手なのですね」

「い、いえ、それほどでも……」


 盟主様が笑顔で私を褒める。

踊りを褒められたことは無かったので、緊張しますわ……。


「あはは、謙遜しなくていいですよ、カグラは昔から踊るのがとても上手なんだ、そのカグラが褒めるということは、相当な腕前だよ」


 ルーセット様も私を褒めてくださる……。

そういえば、踊る前、カグラ様はこんなことを仰っていましたね……。


『ああ、まだそう言えば見つけてないなぁ』


 踊る相手を見つけていなかったということは、息の合う相手がいなかったという事でしょうか?

でも、それなら初対面の私と何故あんなに完ぺきな踊りを……?

となると、カグラ様は相当な腕前だったと言えますが……カグラ様も盟主様もルーセット様も、私の踊りを褒めてくださっている……。

そ、そこまで褒めて頂けるということは、自信を持っていいのでしょうか?

そんな会話を交えつつ、私たちは、食事を楽しんだ。



「いやー美味しかったね! ごちそうさま!」


 カグラ様はそう言って、手を合わせた。

盟主様とルーセット様もそのようにしていた。

吸血鬼の皆様の習慣なのでしょうか……? 私も手を合わせた。

そうしている間に、使用人の皆様が食器を片付けてくれた。

皆さん、とても手際が良いですね……。

 使用人の皆様が片づけをしている中、燕尾服を着た女性が入室してきた。

 その人が通り過ぎると、使用人の皆様は作業をいったん止め、お辞儀をした……アブラム様はなんとなく嫌そうに見えましたが……。

 燕尾服を着た女性が、盟主様に耳打ちをして、何かを伝えている……一体なんでしょうか?

時折私を見ていますが……。


「……リブラ様、貴方をお送りする準備が整いました、準備が出来たら私の元へお願いします」

「……は、はい!」


 お送りする、すなわち里を離れなければならない。

ほんの数十時間しかいなかったのに、とても寂しく感じる。


「……さ、行こうか、リブラ」

「え、ちょっと、カグラ様!?」


 カグラ様は私の手を掴み、歩き始めた。

その顔は、どこか寂しいような、悲しいような……そんな感じがした。

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