第三十七話
アブラム様が、2人分の席を空けていた。
「さ、座ろう! リブラ!」
「は、はい!」
カグラ様にエスコートされ、私は席に着いた。
「賑やかでいいね、ねぇナミス?」
「ふふふ、そうですね」
盟主様とルーセット様は笑顔で会話をしている。
とても仲がよさそう……。
「あ、そういえば、私たちの朝食って、人間にとってはちょっとハードかもしれないね」
カグラ様が席についてそう言った。
ハ、ハード? な、なんでしょう……?
「ははは、そんなに驚いた表情しなくても、人間も食べられるやつだよ」
カグラ様が笑顔でそう言った。
私ったらまた失礼な……。
「お待たせしました、前菜でございます」
アブラム様が、盟主様の横に立ち、そう言った。
すると、私たちの後ろから、緑や赤の色とりどりな野菜が盛られた器が置かれた。
これは……サラダ?
コップを各自に出され、私のコップには水が、カグラ様、盟主様、ルーセット様には緋色の液体が……これに関しては言う必要もありませんね。
「この後、主食とメインディッシュをお持ちいたします、どうぞごゆっくり」
アブラム様はそう言って、食堂を後にした。
「おいしそ~」
カグラ様は笑顔でそう言った。
サラダだけでここまで笑顔になるものでしょうか……? って、また私ったら失礼なことを……。
私はサラダを口の中に運んだ……美味しい。
なんでしょう、屋敷で食べるサラダは、ただ塩の味しかしないのですが、このサラダは野菜の味が伝わっているような……。
カグラ様とルーセット様はサラダを口に運ぶなり、笑顔を見せている。
やはり親子ということでしょうか? お二人とも素敵な笑顔を見せている。
私も自然と口元が上がった。
しばらくサラダを食べていると、再びアブラム様が入室した。
「お待たせしました、メインディッシュでございます」
アブラム様がそう仰ると、台車を押した使用人の方々が入室し、私たちの前にメインディッシュが置かれる。




