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第三十六話

 すると、部屋のドアを叩く音が聞こえる。

私は照れ隠しをしながら、ドアを開けた。

ドアを開けると、アブラム様がいた。


「姫様、お客様。食事のご用意が出来ました」


 アブラム様は、頭を軽く上げながらそう言った。

今はアブラム様に救われた気がして、つい感謝のまなざしを送ってしまった。

するとアブラム様は、「こっちを見るな」と言いたげな表情で、睨み返した。


「お! 朝食だね! リブラ! 早く食べようよ! 私ちょうどお腹空いてたんだ!」


 カグラ様はまるで少年のような口ぶりで言った。


「さ、リブラ! 早く行こう!」

「ちょ、ちょっとカグラ様ぁ~」


 例によって、私はカグラ様に引っ張られた。

い、今手を掴まれるのは、は、恥ずかしいですぅ~!



「さ、着いたよ! 食堂!」

「はぁはぁ……」


 カグラ様ったら……もう私……緊張で……。


「あ、ごめん! また私ったらリブラを引っ搔き回して……」

「だ、大丈夫です! えぇ!」


 私は平然を装って返事をした。

恐らく顔は真っ赤であっただろう。

後ろから着いてきたアブラム様が扉を開け、食堂の全貌が露になる。

 お屋敷の食堂よりも一回り大きいテーブルに椅子。

周りには使用人の方が食事を人数分並べ始めていた。

一番前の真ん中の席には、盟主様が座っていた、そしてその横には……。


「初めまして、貴方がリブラ様ですか?」

「は、はい!」


 盟主様の横にいるグレーの服をお召しの男性が、席を立ちあがり、私に声を掛けてきた。

まさかこの方は……。


「あ、そういえば会うの初めてだよね! 私のパパだよ!」

「お、お父様!? カグラ様の!?」


 確かに、髪は黒だが、どこかしらカグラ様と似ている気がする……。


「初めまして、『ルーセット』と申します、昨夜は仕事をしていたもので、お会いできませんでしたね、申し訳ございません」


 カグラ様のお父様……ルーセット様は頭を下げた。

な、なんで頭を下げるのですか!

 と、とにかく私も自己紹介を……。


「コ、コーヴァス伯爵家のリブラ・コーヴァスと申します! よろしくお願いします!」

「おぉ、確かにその姿、オヒュカスと瓜二つだね」


 私は頭を下げ、緊張をごまかした。

盟主様も仰っていましたが、お母様と似ていると言われると……恥ずかしいです……。


「姫様、こちらへ」


 アブラム様の声が聞こえ、私は頭を上げた。

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