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第二十七話

 しばらくして、私たちは一旦離れた。

周りの視線はこちらに一点集中、当たり前ですが……。


「やはりあの方は姫様の……?」

「あの踊り……息がぴったり……」

「信じられない……私達より格段に美しかった……」


 私は冷静になり、先ほどまでの事を振り返った。

い、いったい私は何をしていました!? た、確かに踊りは楽しかったですし、とても優雅でしたわ!

その後、つい、私は……。

あぁ! カグラ様と目が合わせられない! 先ほどまでずっとそうしていたのに!

なぜでしょう? カグラ様を見ると、変な気持ちになってしまう。

まるであの人と付き合っていたころに受けたような……。

……あの人? あの人って、誰でしたっけ?

わかりませんが、今の私は……。


「あはは、尚の事勘違いされてるみたいだね」

「か、勘違い……そ、そうですね……」


 勘違い。

私はその気であっても、カグラ様はそうではない。

先ほどの……あれも、ただ乗せられてやっただけなのでしょうか?

悲しいような、当然のような……何とも言えない気持ちになってしまいましたわ……。


「さ、踊りも終わったし、何か食べよ!」

「え、えぇ……」


 私たちは広場を後にし、通りへと向かった。

私は複雑な心情のままだった。



 通りを歩きながら、私は考えた。

カグラ様は、今の私をどう見ているのだろう?

数時間前に会ったばかりの私なんて、ただのどうでもいい、領主の娘程度にしか見ていないのでしょうか?

でも、先ほどまでの私への態度、まるで親しい人に接するような態度でしたわ。


『あの……大丈夫?』

『よく見たら脚怪我してるじゃん』

『大丈夫? 怖かった?』

『凄いでしょ? 私も好きなんだ、この街』

『あはは、緊張しなくてもいいんだよ、お見合いじゃないんだから』

『ふふ、やっと笑ってくれた』


 ……緊張を解くための演技……なのでしょうか?

いえいえ! 人を疑うなんて、人として最低ではないですか!

きっとあれは本心に違いありませんわ!

……でも。


『あまりに男性の人数が少ないから、女性同士のカップルっていうのも珍しくないんだよ』

『気にしなくていいよ! そう見られるのもしょうがないって!』

『あはは、尚の事勘違いされてるみたいだね』


 ……もしかしたら、カグラ様はそういうのにはご興味が無いのでは?

で、でも、私だって興味ありませんでしたし! ……先ほどまでは。

今はもう、この白銀の髪を見るだけでも見とれてしまう。

 どうしましょう、繋いでる手が震えて、嫌な気分にしてしまうのではないのでしょうか?

……アブラム様の視線も気になりますわ。

これでカグラ様を万が一傷つけたら、私はここで天寿を全うすることになってしまう。

一体どうすれば……。

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