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第二十四話

「姫様、お越しいただきありがとうございます」

「出産おめでとう!


 女性の腕に包まれている男の子は、カグラ様を見るや否や、泣き出してしまった。


「あはは、元気な男の子だね!」

「はい、おかげさまで……」


 カグラ様は男の子に近づき、頬を撫でた。

すると男の子は、泣き止み、笑い出した。

す、すごいですわ……


「ほら、リブラももっと近くで見てみなよ!」

「あ、はい……では失礼して……」


 か、かわいい……

 私はつい、産まれたばかりだったレオを連想してしまった。

レオもこんな風に可愛かったなぁ……


「あはは、また笑った」

「あ、つい……」

「この子もつられてもっと笑ってますよ」

「あ、そうですね!」


 女性がそう言うと、確かに赤ちゃんはさらに笑顔を咲かせていた。

やはりかわいい……。

 産まれたての赤ちゃんというのは、これほどまでに愛らしいのでしょうか……?

レオは産まれてしばらくはお母様と二人っきりでしたから、それほど感じませんでしたけど……。


「そういえば姫様、ダンスのお相手は見つかりましたか?」


 だ、ダンス!?


「ああ、まだそう言えば見つけてないなぁ」


 カグラ様がそう言うと、こちらに向けて視線を送る。

ま、まさか……。


「リブラ! 一緒に踊ろ!」

「えぇ!? でも私、ここの踊りなんて……」

「いいからいいから! 私に合わせてくれればいいよ!」


カグラ様は熱い視線をこちらに送る。

な、なんですの……? 私と一緒だなんて……。

カグラ様のような綺麗な方と私が躍るなんて……。


「お二人とも、とてもよくお似合いですよ」

「そうかな? だってさ! リブラ!」

「か、カグラ様はよろしいのですか? 私なんかと……」

「もちろん! ……もしかして、リブラは嫌だった?」


 カグラ様はガッカリした表情でこちらを見る。

後ろからアブラム様の殺気を感じた……。

どうしましょう! 殺されてしまう!

べ、別に私は……嫌じゃありませんわ!

ここは真っ向から否定しましょう!


「そ、そんなこと……ありませんわ! えぇ!」

「本当? 良かった!」

「あぁちょっと……」


 カグラ様は私を抱きしめる。

突然抱き締められると、心臓が……。


「あ! 楽器の準備がそろそろみたい! リブラ! 私達も準備しよ!」

「え、えぇ!」

「それじゃまた! 元気でね!」

「えぇ、姫様もお元気で」

「君もね」


 カグラ様は男の子の頭を撫でた。

私たちは、広場の入り口まで向かった。


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