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第二十三話

 主役の方……遠目で見てもとても綺麗な方ですわ。

というよりも、カグラ様もアブラム様も、それに盟主様も、みんな綺麗な方ばかり……。

……って! 私ったら一体何を考えているのですか!

 ここに来てから、私はおかしくなってしまったのでは……って、これはカグラ様に失礼ではないですか!

ああもう!


「リブラ? 大丈夫?」

「あ、いえ……」

「なんか顔赤いけど、風邪?」

「ち、違います!」

「どれどれ……?」

「あ、ちょっと……」


 カグラ様が突然、私のおでことご自身のおでこを重ね合わせた。

な、なんですかいきなり! こ、この体勢……恥ずかしい……。


「熱はなさそうだね……あれ? なんかどんどん熱くなっているような……」

「だから大丈夫です!」

「本当に?」

「本当です!」


 私は思わずカグラ様を突き放してしまった。


「あ、その……ごめんなさい!」

「いいよいいよ、私こそごめん、心配になっちゃったから」


 また謝ってしまった……。

もっと堂々としなさい! リブラ・コーヴァス!

周りを見ると、通りを歩く人々は私達を見ては何事もなかったかのように去っていく。

アブラム様は少々怒っているようだった。

アブラム様……早く行けということなのでしょうか?

そ、そうですよね! こんな所で油を売っている場合ではありませんわ!


「さ、さぁ! 行きましょう!」

「お? エスコートしてくれるの?」

「い、いつまでもカグラ様のお手を煩わせるわけにはいきませんから!」

「ふふふ、別にいいのに」


 私は催しの主役の元へと歩いた。

カグラ様は後ろから私を見ながらニコニコしている。


「も、もう! なんですか!」

「ふふふ、照れ隠ししながら歩いているの可愛いなって」

「か、かわ……」


 ななな何を言っているのですか! か、かわいいだなんてそんな……。


「さ、エスコートしてよ!」

「わ、わかりましたよ!」


 私はカグラ様の手を掴み、「エスコート」した。

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