第二十二話
「す、すごいです! 屋台が端から端まで……こんなに大きい催し、王都でも無いですよ!」
「そう? 里の事褒められると、自分の事のように嬉しいな」
圧巻だった。
カラフルな屋根の屋台が、まるで虹のように繋がっている。
人々はそこで、一喜一憂をしている。
「そういえば、この催しの主役、見たいよね?」
「え、えぇ!」
「ママは挨拶終わったけど、私はまだだから……行こ!」
「あ、ちょっと……」
「あ、ごめん……私ったらつい興奮しちゃって……」
私はカグラ様にエスコートされ、「主役」のもとへ向かった。
ちょうど、この虹の中間の広場に、灯りが集中している場所があった。
恐らくそこに、「主役」がいらっしゃる、私はそう考えた。
◇
「姫様! お越しいただきありがとうございます!」
「いいって、そんなにかしこまらなくても」
男性がカグラ様に頭を下げる。
カグラ様、やはり慕われているのですね……。
「し、失礼ですが、こちらの方は……?」
「あぁ、こちらは私の友達のリブラ!」
「あ、あの、カグラ様のお友達をやらせていただいているリブラです! この度はご出産おめ、おめで……」
ちょっと! なんですかお友達をやらせていただくって!
というかこちらの殿方が産んだわけじゃないじゃないですか!
何を言ってるのですか! 私は!
恥ずかしくなって、私は後ろを見た。
すると、後ろから着いて来ていたアブラム様が、笑いをこらえているのが分かった。
それを見た私は、また恥ずかしくなってしまった。
「ははは! リブラったら緊張しすぎ! ごめんね、人見知りな子だから」
「いえいえ、祝福のお言葉、ありがとうございます、リブラ様」
「あ、その……はい!」
もう! 気を使わせてしまったではないですか!
全く……これではコーヴァス伯爵家令嬢という威厳が……今はただのカグラ様のお友達ですが!
「それで、あちらが主役の男の子とお母さん!」
カグラ様が手を差した方を向くと、大き目な椅子に座る女性が座っていた。
女性の腕には、赤ちゃんが抱えられているのが、ここからでも分かった。
「それじゃ、またね!」
「はい! この度はお越しいただきありがとうございます!」
カグラ様がそう言うと、私たちは女性に向かって歩き出した。
男性はお辞儀をして、私たちを見送った。
お待たせいたしました。




