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第二十一話

「そこに椅子があるから、しばらく眺めてよっか」

「えぇ……そうですね」

「さぁほら」


 カグラ様は、先ほどまでの急かすような感じではなく、まるで紳士のように、私を椅子まで誘導した。

 ちょうど2人分が座れる椅子で、アブラム様は、遠くで見守るように距離を置いた。

 アブラム様は立ちっぱなしで辛くないのでしょうか?

こちらが目線を送っても、アブラム様はそっぽを向かれてしまいましたわ……別に気にしないで良いという意味なのでしょうか?


「ほんと、悩みなんて、この綺麗な蛍たちと比べたらちっぽけな物なんだよ」

「……どういうことですか?」

「蛍はね……条件が上手く揃わないと暮らしていけないんだよ」

「そうなのですね……」

「彼らは住むのに悩み、卵を産むのにも悩み、天敵から身を守ることにも悩み……そんな悩みと比べたら、私たちの悩みなんて、くだらないと思わない?」

「……言っている意味がよく分かりませんわ」

「ははは! まぁまぁ、上手くは言えないけど、とにかく悩みなんてその程度ってことだよ!」

「ふふふ……そうですね」


 言っている意味はよく分かりませんでしたが、少なくとも私を励まそうとしているのは伝わった。

 私たちはそんな他愛のない会話を続けながら、無数の光を眺めた。



「そういえば、街が大変賑わっていましたね」


 しばらく経って、私たちは屋敷へ戻ろうと立ち上がる。

私は街がやけに賑わっていたことについて、カグラ様に聞いてみた。


「あぁ、そうそう! そういえばつい昨日、男の子が産まれたらしいんだよね!」

「男の子……? あ! そういえば……」


 先ほど、カグラ様が仰っていたことを思い出す。


『子供で男の子が産まれるとその家は里の人総出で祝われるんだよ』


 なるほど……。

確かにそれならば、あれほど賑わっていたのも納得できますわ。


「気になる? お祝いがどんな感じで行われるのか」

「……はい! 気になります!」

「じゃ、行こう!」

「えぇ! ……でも、今度はゆっくり歩いてくださいよ!」

「わかってるよ!」

「あ、ちょっと……」


 私は再び引っ張られた。

確かに先ほどよりかはゆっくりですけど……。

私たちは、漂っているわずかな光よりも輝いているところへと向かった。

体調を崩してしまったため、本日の更新はこれで終わりです。

明日の夜、回復したら更新します。

楽しみに待っていただいている皆様、本当に申し訳ございません。

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