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第二十話

「あはは! 凄い似合ってるよ!」

「は、恥ずかしいです……」


鏡で見た私は、まるで別の国の貴族のようでしたわ。

これが本当に私なのでしょうか……?

……っと、ちょっと待ってください。


「カグラ様……アブラム様……鏡に映るのですか!?」

「当たり前じゃん、何でそんなこと?」

「あ、いえ……」

「あはは! また伝承!? 面白いね!」

「す、すみません……」


また失礼なことを……しかも今回はアブラム様にまで……

アブラム様が怒ったような目でこちらを見つめているのが、鏡越しで分かった。


「ま、とにかく、これで外に行けるね! さ、行こう!」

「あ、ちょっと!」

「姫様! お待ちください!」


私はカグラ様に引っ張られ、外へと連れ出された。



「ほら早く!」

「ももも、もうちょっとゆっくり歩いてください~!」


 私たちは、ランタンが照り付ける街を歩いていた。

後ろにいるアブラム様も、かなり速足で私たちを追っている。

 カグラ様は私をエスコートしてくれるも、まるで子どもが駄々をこねているように、私を急かした。

 一体何なのですかぁ~?


「ほら! 見て!」

「な、なんですかぁ~……わぁ……」


 カグラ様が立ち止まり、上を指差した。

 上を見ると、無数の明るい星のような点が、あちらこちら動いていた。

先ほどの街灯だらけの道とは違い、この辺りは灯りが少なく、その光がはっきりと見えた。


「綺麗……」

「でしょ?」

「この光は一体何なのですか?」

「気になる? これはね……蛍だよ」

「蛍?」


 聞いたことがありません……一体何なのでしょうか?


「蛍はね、光を放つ虫なんだよ」

「む、虫?」


 む、虫が光を放つのですか?

信じられません……。


「光っているのは主に雄で、警戒しているときとか、雌に求愛する時に光を出すんだ」

「な、なるほど」


 信じられませんが……綺麗なことに変わりはありませんがね!


「どう? 少しは気分、晴れた?」

「え、えぇ……」

「なら良かった」


 カグラ様は笑顔を見せてくれた。

まさか……急かしていたのはこの為なのでしょうか?

……でも、それでも無理に引っ張るのはどうなのでしょうか!? ……嬉しいですけど。

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