閑話 捜索中断、そして対面
リブラの捜索隊が屋敷に集結し、使用人たちは各々の部屋に戻り、眠りについた。
ベガとオヒュカスも屋敷に帰還し、休みを取ろうとした。
すると、レオの使用人が、2人に客の存在を話した。
最初二人は、レオと同じようにこんな時間に客とは何事だと言ったが、「ナミス様より伝言を預かっている」という言葉を聞き、客間へ急行した。
ドアを開けると、レオが「怪しい女」と評した人物が、待機していた。
「お久しぶりですね、ベガ様にオヒュカス様」
「あ、貴方は……。」
ベガとオヒュカスは、この女性に見覚えがあった。
「『コキク』様……」
盟主であるナミスの家臣、コキクだった。
「ナミス様からの伝言とは何なのですか!?」
「まぁまぁ落ち着いてください、さっきまで捜索していた、あなた方の娘……リブラ・コーヴァス様についてです」
「リ、リブラが何か!?」
オヒュカスは、コキクの口から出た実の娘の名前に驚いた。
「そんなに焦らなくても大丈夫ですよ、ナミス様の伝言をお伝えしますね、『あなた方の娘さんは、迷宮の森で迷っていらっしゃったので、こちらで保護いたしました、明日、そちらまで娘さんをお送りいたします、ご安心ください。』以上です」
「は、はい!」
ベガは伝言を聞き、安堵の気持ちになるも、コキクの前だったので冷静に返事をした。
「それでは私はこれで、お邪魔しました」
「ここまでご足労、申し訳ございません」
「あ、今日は泊って行っては……」
「いえいえ、大丈夫ですよ、ありがとうございます」
オヒュカスは泊ることを勧めるも、コキクは遠慮し、帰路へ着くことにした。
2人はコキクを見送る為に、屋上まで誘導する。
「今日はありがとうございました」
「いえいえこちらこそ、久々に成長した2人を見ることができてよかったですよ」
「そ、そうですか……」
「ベガ様は最初にあった時よりより当主らしく、オヒュカス様は伯爵家の妻としてより貫禄が出ているように見えます」
「は、はい!」
「ありがたきお言葉……」
「それでは、またいつか会いましょう」
コキクは翼を広げ、森へ向かって飛んでいった。
「はぁ……リブラが無事でよかったですわ……」
オヒュカスは緊張が解れたのか、胸を抑えて、安堵の気持ちを口にした。
「とりあえず、リブラが無事なことを、明日、使用人と領民に伝えよう」
「そうですね……」
「さ、そろそろ体を休めよう」
「えぇ……」
2人は娘の無事を聞いたことで肩の荷が下り、部屋へと戻った。




