第十一話
「なんで死のうと思ったの? 言ってごらん」
カグラ様は私の肩に手を置いて、また真剣な表情で見つめる。
ここも正直に言いましょう……。
「……ずっと愛していた人に裏切られたんです、幼い頃から愛し合っていました、なのに突然、手紙とお金で無かったことにしてくれって……私、どうすればいいのか分からなくて……」
「そっか……」
悩みを打ち明けると、自然に涙がこぼれてしまった。
その涙を、カグラ様は指で拭ってくれている。
「泣きたいときは、泣いてもいいんだよ。悩みがある時は、誰かに打ち明ければいいんだよ」
「カグラ様……」
私は無意識のうちに、カグラ様に抱き着いてしまった。
カグラ様はそれに嫌がる素振りを見せず、受け入れてくれた。
私はカグラ様のぬくもりを感じながら、涙を流し続けた。
一通り泣いた後、再び椅子に座り、残りの紅茶をすべて飲み干した。
しばらくすると、扉を叩く音が聞こえた。
「姫様、盟主様より、お客様とお会いしたいとのことです」
「分かった。」
「えぇ!? 会うんですか!?」
吸血鬼の盟主様……一体どんな方なのでしょうか?
私のイメージでは、屈強で厳ついお爺様という感じなのですが……。
「き、緊張します……」
「ははは、別に怖くないよ」
カグラ様が笑顔でそう仰っている……自然と緊張が解れたような気がした。
「さ、行こうか」
「は、はい!」
気を引き締めて、私はカグラ様にエスコートされ、部屋を後にした。
「アブラム、申し訳ないけど、先に行って、私たちがすぐ来ることを伝えておいてくれる?」
「かしこまりました」
アブラム様……やはり吸血鬼で金髪というのは違和感がある。
でも、通りを歩く人も、髪の色が銀髪の方ってそこまで多くはなかったような?
伝承と違うことが多すぎる……通路を歩きながら、そう考える。
……なんか、歩いているだけでは寂しいですし、カグラ様に話題を振りましょう! 先ほど部屋で話題を振れなかった分、ここで挽回しましょう!