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お嬢様の執事  作者: 天然ソーダ水
学園編
58/58

色々とバレました

 保健室にてベッドの縁に座って20分ほどゴーレムに関する本を読んでいるとお嬢様たち4人がやってきました。

 いやだって暇なんですよ。執事服のままベッドに横になりたくありませんし。


「この度は助けていただきありがとうございます」


 ハイネさんの気品を感じる見事なカーテシー。付け焼き刃じゃなくて自然な動作でされる動きはとても素晴らしい。お嬢様に見習わせたいですね。


「……王族が執事にカーテシーは不味いんじゃないですか?」

「なんのことでしょうか?」

「いやもうさっきみんなにバレて――」

「なんのことでしょうか??」

「あ、ハイ。どういたしまして」


 ゴリ押ししないで欲しいです。


「では王族としてその後の顛末を伝えたいとおもいます」


 いや謝意を受け入れたら王族と振る舞うんかい。


「と、その前にですね……」

「んっ!」


 ハイネさんの横からお嬢様が出てきて両手を広げて抱っこしろと案に示してくる。

 ひと目は気にしてほしいんですがね……。


「んっ!!」


 なおも両手を広げてアピールするお嬢様に観念しておとなしく片方の太ももをポンポンと叩いて座るように示す。

 するとお嬢様はニコッと笑っていそいそと両脚に跨がるようにして座ってきた。

 いわゆる対面座位の格好である。あれぇ?

 いや、元々甘えん坊なところはありましたけどね。

 弟妹が産まれてからは両親より私に甘えてきましたし。でもこの体勢ははしたないというか、言っても聞かないんでしょうねぇ。


「……とりあえずちょっとお尻を上げてください」

「?」

「…………はいもういいですよ」


 制服はスカートなんですよ。だから密着する部分にスカートを挟みこみました。やましい感情なんてありません。


「と、もう一人います」

「んっ」


 今度はルルさんが出てきてお嬢様と同じように両手を広げます。

 が、残念ながらお嬢様に占領されているので無理です。諦めてください。


(コソコソ)

(……コクリ)


 そこの王族。なにをルルさんに耳うちしてるんですか。

 そしてなんでルルさんはベッドに上がって後ろに回りこもうとしてるんですか。


「むぎゅっ」

「……どうしました?」

「えっと、あててるのよ?」

「おいこらそこの王族」


 後ろからくっつかれるのはまだいいです、いやよくはないですが。

 胸を押し付けるのもまだいいです、いややっぱりよくはないですが。

 だけど純情な少女に変なことを吹き込むんじゃありません。


「では……そうですね。どこから話したものでしょうか」


 このまま? このままの体勢で聞くんですか?


 ハイネさんによると、元々この学園は初代国王であるムラクニという人物が義務教育制度を作ろうとしたのが始まりらしい。

 ただ、当時は聖帝国という種族差別の強い国もあり獣魔国との緩衝地帯だったこの国にそこまでの余裕はなかったとか。


 それから数百年たち、約500年前には聖帝国も滅んで初代国王の成したかったことに少しずつ取り組んでいるんだとか。


 そのひとつが、この学園。

 平民たちの行く学校とは別に、貴族の教育や知識の平均化が最初の目的だったとか。


 そもそも貴族の教育は家ごとに家庭教師や専門に知識を収めている者が行う。

 だがそうすると代々続く名家の貴族であればあるほど教育内容も多く効率的になってしまう。

 その平均化、そして暗黙のルールのようなものの排除。

 片寄った知識のないように、体系だったキチンとした教育を受けられるのだ。


 が、それはそれとして貴族はその土地の風習や最低限の教育を施す。辺境伯の娘であるお嬢様もいざというときの戦闘訓練や乗馬訓練をしていますからね。


「あの愚弟……コホン。弟はなにをやっても平均的で……特に優秀でもなければ失敗もしてこなかったんですの」


 生まれつき【剣術】スキルを持っていたはいいがそれを磨く努力をすることもなく、調子に乗っていたらしい。

 それすら周りの人たちも特に問題視していなかったらしいが本人にとってはストレスでも溜まってたんだろう。


「現在、あの怪しい魔道具のような物の痕跡を追っていますわ。この件に関しては『影』にまかせているので後日詳細がわかるでしょう」


 普通に話してますけど『影』って王族の暗部とか隠密部隊とかそういうのですよね?

 世間ではいるかいないかわからないみたいな扱いですけど言っていいんですか?


「ムフー」

「むふぅ」

「…………」


 うん、真面目な話をしているのでお嬢様とルルさんがとっても邪魔ですね。いつまでくっついているんでしょうか。

 それを見ているハイネさんは気にした様子がありませんし、カンナさんにはなんだか睨まれてる気がします。その大かな目で睨まれるのはなかなかに怖いのでなんとかしたいところなんですが……。




 しかし、これだけ密着されて柔らかい感触が伝わってきても特になにも感じないんですよね。


 みんな可愛い女の子で、大人になれば間違いなく四人とも美女になるでしょう。好意をよせられているのもなんとなくわかってはいますし、だからと言ってまだまだ少女でしかない子供に恋や愛を囁くことなんて絶対にないことはないですけどね。

 この感情は前世で娘や孫に向けていたものに近い。つまり庇護欲です。


 だから()がこの四人を恋愛対象に見ることなんてない。

 もし好きな人が出来たみたいな話を聞けば全力で応援する予定だ。まあ、お嬢様を娶る場合は一介の執事くらい倒せる強さを持っててほしいですけどね。



 ふと、コンコンと扉がノックされてメイドさんが入っていきます。

 なにか紙の束をハイネさんに渡して、それをペラペラと流し読みし始めました。


「報告書ですか?」

「ええ……なるほどですわ」

「なにかあの魔道具についてわかったんです?」

「え? あ、これは別件の報告書ですよ」


 なんだ。関係ないのか。


「主に執事さんの過去のことですね。主に女性の好みとか……」

「権力使ってなにを調べてるんです??」


 おいこらそこの王族。職権乱用はやめろください。


「いえ、国内にいるBランク以上の冒険者の動向は基本的に把握しているんですのよ? まあ執事さんは一時凍結処理申請をしていたようなのでいままで集めてなかったのですが――――あら、薬屋さんに告白したんですのね?」

「そんなことまで書いてあるんですか!?」

「これはどちらかと言えば声が大きくてご近所さんは全員把握しているみたいですわよ? 次の日にはお祝いの品が持ち込まれていたと書かれていますわ」


 そういえばポーションの瓶とか投げつけられましたね。


「ところで親密な関係になる条件として私たちのことを幸せにしてもらえるとか?」

「…………」

「執事さん?」

「黙秘権を行使します」

「でもこの情報はヨツヴィアさんから聞いたものらしいですよ?」

「あんにゃろう!?!?」


 あのとき俺が乗り気じゃなかったからって当人に売りやがったな!?


「あとは……」

「まだあるんですか?」

「基本的には趣味嗜好(しゅみしこう)を調べさせたのですが」

「が?」

「…………胸の大きい女性が好きなんですの?」


 何故かルルさんの抱きつく力が強くなります。苦しいです。

 苦しいのでそのまま黙秘権を行使します。


「それで執事さんはおっぱいが好きなんですか?」

「…………」

「答えてくれないならこのままキスをします」

「なんで??」


 いや、前に事故で唇と唇がごっつんこしたことはありましたけど!

 あ、ちょ。マジでやる気だ。目がギラギラしてる!?


「あー……うー……好きか嫌いかで言えば……………好きです、ね。人並みには」


 これ、なんの罰ゲームですかね。

 カンナさんがめっちゃヘコんでますけどどうするんですかこの状況。

カンナさん:単眼族。すごくまな板。


主人公→魔女○宅急便とかトト○くらいの父娘の距離感って大事だよね

ヒロイン達→好き好き好き好き

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