ルルさんとデート?
今日は新居の台所でアリアさんと一緒にマシュマロを作ります。
眼鏡をかけて執事モードになることで隣で揺れるたわわな誘惑に耐えます。ほんとおっきい。あれで手元が見えるんだろうか。
「しかし、ゼラチンなんてどこに売ってるのかとおもえば……」
まさかの錬金ギルドでした。そりゃ市場探してもないわけですね。
アリアさんから買ってきてほしい物のメモを渡されて売ってる場所を教えてもらった時には驚きましたよ。
水の中にゼラチンを入れて溶かしながら砂糖を入れていきます。とろみのある水飴と考えればわざわざゼラチンにこだわらなくてもハチミツで代用出来そうですねこれ。
その間にアリアさんには卵白をツノが出来るまで泡立てて貰います。
ハンドミキサーがない異世界での重労働を女性に任せる理由? アリアさん、ポルターガイスト的な能力で物を動かせるんですよ。つまり今横でギュルギュル高速で混ぜられてるんです。何それ便利。
アリアさんにバニラエッセンスの代わりに好きな香料を入れると言われたので野苺を絞って混ぜ込んでみる。うまく代用出来ればいいがこれもチャレンジだ。
というかバニラエッセンスを知ってる? 生前仕えていた人が持ってたと。
あー、うん。お義父さん(ヨツバさんのお父さん)ね。もうあの人のことで驚かないよ。
「おっと、黄身は醤油漬けにしておきますか」
余った黄身を漬け込んでから混ぜたゼラチンと卵白を混ぜ合わせる。固まるまで待ってと……。
「で、コーンスターチね……」
コーンスターチ。トウモロコシから作ったデンプンらしい。
前世では聞いたことすらない。
これはいわゆるマシュマロを持ったときに指にくっつかないようにするためと説明された。なるほど。
「味見味見……ん〜?」
やっぱり野苺の絞り汁だと中途半端だな。これなら入れないほうがまだマシだ。
ちょっと横に置いて再度マシュマロを作り直す。今度はゼラチンや砂糖のかわりに冒険者時代に手に入れたハチミツを使ってみる。
1mもあるスズメバチみたいな魔物が集めていた蜜だ。スズメバチみたいな見た目なのに巣の中に蜜たっぷりだったのは謎だが買えば市販のハチミツの約5倍のお値段である。この際だ使ってみようか。
同じ工程で作って味見。
「うっま」
上品な甘さですね。これ地球で食べたマシュマロよりも旨いです。
「さてと、次だ」
さっき置いた失敗したマシュマロにお嬢様の手が伸びて来ていたのでボールごとマシュマロを回収してもう一つおやつを作る。
前世で子供に作ったことのあるおやつを作りましょう。
牛乳とマシュマロをボールの中に入れて、レンジチンのかわりに柔らかさを見ながら魔法で温めてから混ぜ混ぜ。
同時進行でアリアさんにクリームチーズをボールに入れて貰って魔法で温めた物を混ぜてもらう。
チーズがなめらかになったら2つを合わせて更に混ぜ混ぜ混ぜ混ぜ。
簡単レアチーズケーキだ。
ビスケットとかに乗せるのも面倒なのである程度冷めたらちょっと味見。んー、混ぜ込んだクリームと苺の香りのバランスが……悪い!! 食べる時に苺のジャムでもかければいいですかね。あとで市場で買ってきましょうか。
「いや、待てよ?」
さっきの搾った後の野苺を更にしっかりと潰して混ぜ込んでみる。ちょっと一口味見。ふむ、なかなかいい感じじゃないだろうか?
これをいくつかの小瓶に分けて魔道具の冷蔵庫に投入。
最低一時間くらい。個人的には半日か一晩は置いとけばしっかり固まる予定です。娘や孫に作った時はボールごと冷やしてスプーン使って器を抱えながら食べたりしましたけどね。お嬢様にはお行儀よくして貰わないと。
あ、そうだ。そこそこうまくいきましたしあとでお館さまにレシピの献上もしないといけませんね。報告書だけまとめておきますか。
まあ、目下対処しなければならない問題は……。
「まだ食べちゃだめですよ?」
甘い香りに誘われただろう目を光らせる小動物4匹だ。お嬢様とそのご学友たちとも言う。
マシュマロとレアチーズケーキを冷蔵庫の魔道具に入れてしっかりと魔法的に封印処理をしておく。さて、市場に夕食の買い出しのためにもう一度出かけますか。
◇◆◇◆
夕食の買い出しに市場を練り歩く。左袖を掴むのは青く長い髪をたなびかせるルルさんだ。
家から出たあと、駆けてきて袖を掴んだとおもったら一緒についてくるらしい。
……目的はアレでしょうね。約束しましたもんね。
「はぁ〜〜〜〜」
「……?」
コテンと首をかしげるルルさんと一緒に買い物をしつつ『収納袋』と呼ばれる魔道具に買った物を入れていきます。
これは重さや大きさを無視して決められたの容量まで収納出来る魔道具です。ゲームでよくあるやつですね。ある理由によって劣化しにくくなるとはいえ普通に時間経過はするのでずっと入れっぱなしには出来ませんがこういうときは便利です。
そして買い出しも終えて最終的にやってきたのはフォルバン商会という名前の伝統ある女性下着専門店です。
「ルルさん、一人でいけますか?」
(フルフル)
「そうですか……」
どうやら駄目らしい。
覚悟を決めて扉に手をかけて中に入ります。
すると途端に中にいた女性たちの視線がこちらに集まり、不審そうな顔をしたあとにルルさんのほうを見て納得したような顔に変化しました。
良かったです。衛兵を呼ばれたら洒落になりませんからね。
中には色とりどりの女性物の下着が並んでいます。しかも前世地球の物と同等レベルのものが……十中八九過去の迷い人が関わってるでしょこれ。
「そういえばルルさんはお金持ってるんですか?」
「ん……、がんばって、ためた」
お財布を見せてもらうと銅貨が10枚ほど入っていました。日本円で言えばだいたい1万円くらいですね。
近くのブラジャーを見えてもなんとか安いのが2枚買える程度でしょうか……。
そういえばサラ(元パーティメンバーの聖職者)もお酒の席で下着の大切さを長々と語ってたいましたね。確かそのときに魔物の素材を使ういいものは値段も高くなると言っていました。
「普段お嬢様がお世話になってますし払いましょうか?」
(フルフル)
ルルさんのことはあまり知らないんですよね。ハイネさんは王族、カンナさんは部族のほうの習わしだとかなんとかで学園に通ってるとか。
「上だけじゃなくて下も必要になりますよ?」
「…………」
「大丈夫です。存分に頼ってください。どうしても引け目を感じるなら今度お嬢様がワガママを言ったときに説得するのを手伝ってもらえませんか?」
「……わかった」
よし、説得完了。店員さんを読んで金貨を握らせてとにかくいい物を。あと初めてだから付け方の指導もお願いして見繕ってもらう。
「どんなのがいいでしょうか」
「ん、ながくつかえるのがいい」
「胸の大きさを測らせてもらいますね」
「ん……でも先月から急におおきくなったよ?」
「成長期で急に大きくなる人もいますから……」
あーあーきこえないきこえなーい。
試着室に入っていったルルさんと店員さんの会話が聞こえるので離れた壁際に避難する。
やっぱりというか、こういう空間は苦手ですね。
いやまあ、デパートで娘の買い物を待ってたことはあるけども。お金だけ渡して女性の下着コーナーから離れたところで椅子に座って待ってただけなんですよね。
「しつじさん、しつじさん」
「はい、なんでしょうか」
「どっちがいい?」
「…………えーとですね」
なぜ私に聞くんですか。
片方はピンクの生地に細かいハートマークがあしらわれてフリルもついた可愛らしいブラジャー。
もう片方は白と水色の縞々模様でフリルもないシンプルなブラジャー。
「……………………両方買いましょうか」
洗い替えは必要ですからね。決して無難な答えを選んだわけじゃありませんよ?
(グイグイ)
「どうしました?」
「パンツも同じ柄がいい?」
「聞かないでくださいよ……」
周囲を見渡すと娘の教育に四苦八苦する父親を見守るような優しい視線を向けられているのがわかった。
お願いしますもう帰らせてください。
次回はちょっと下ネタ多くなるかもしれません
※作中で補足予定ないのでここでちょっと説明。
物を小さくして収納する魔道具ですが、砂粒よりも小さい物は小さくしない設定なので酸素分子などは影響されません。
→つまり物が酸化しにくいんじゃないかなって。
→セーフティで生きた生物は入らなくなってますが、極端な例を言えばドラえ○んのスモー○ライトで分子レベルまで小さくなったら呼吸出来るのか? って理屈から酸化しないかなって。細かい理論は知らぬ!!
貨幣について(今後硬貨ネタしないのでここに書いときます)
主人公のいる国だと円形ではなく正方形を二つくっつけた形をしており鉄貨の場合のみ半分にして使う場合がある。
国によっては50セント貨のように12角形のもある。
だいたい
鉄 100円
銅 1000円
銀 1万円
金 10万円
で↓は大きい商会とか国同士の取引に使われたりする。
白金(プラチナ製)100万円
半赤貨(ヒヒイロカネ2:アダマンタイト8の桃色の硬貨) 1000万円
赤貨(ヒヒイロカネ7:アダマンタイト3のチェリーピンク色の硬貨)1億円




