屋敷幽霊のアリアさん-②
アリアさんからのお誘いを丁重にお断りしてひとりでゆっくりとお湯に浸かる。
アリアさん、有能そうだし食料の買い出しさえ俺がすれば今後も料理も作ってくれるらしい。(確かに幽霊が買い物は出来ないわな)
明日にでもお嬢様の好みを教えれば俺なんかよりずっと美味しい料理を作ってくれるだろう。
「ふぅ……」
ちょっと長めのお風呂から上がって身体を拭く。
少し身体が重いかな? 気のせいだな、スッキリしたし。うん、ナニがとは言わないけども。
今日はもう執事モードは無理だ。色々と疲れたので。
あてがわれた部屋に入って一息つく。
時間もあるしどうしようかな。趣味のゴーレム研究でもするか、それとも風呂入る前に読んでた屋敷幽霊の書物の続きでも読むか。
《コンコンコン》
「開いてますよー」
〔失礼します〕
「アリアさんか。どうかしたか?」
〔はい、お話したいことがありまして……〕
とりあえずアリアさんを室内に誘う。
どうしても強調された身体の一部に視線が行きそうになるが頑張って視線をアリアさんの口に固定すした。
これからも一緒に暮らすなら俺が慣れなきゃな。現代日本だとセクハラって言うらしいし。
〔実は、ご主人様から懐かしい魔力を感じたので確かめようとおもいまして〕
「懐かしい魔力? 心当たりはないんだが……」
手持ちのアイテムをテーブルの上に並べてみる。
ところでやっぱりご主人様って呼び方やめない? 無理? 無理ならしょうがないかぁ。
〔どれでもありませんね〕
「そうなのか」
魔力を感じたってことは普段身につけてる物の残滓だろ? あとはパンツしかないぞ。いや待てよ、最近手に入れて素振りとかで使ってたあの剣か?
「これか?」
〔それです! その剣から感じる魔力……懐かしいですね〕
取り出したのはヨツバさんのお義父さんから貰ったアロンダイトである。まじで何者なんだあの人。
〔それは私の愛した人の魔力です。と言っても私は過去にいた人物の強い残留思念がカタチを持ったものですが。いつまでも仕えていたい。そんな気持ちが私を生み出したんです〕
ハーレム生活してたけど寿命の違いで色々と大変だったって言ってたっけ。
「今度この剣の前の持ち主にあってみるか?」
ヨツバさんの伝手を頼れば会うくらいはできるだろう。
〔いえ、私はあくまでも彼を愛した人とは別人です。嬉しい気持ちはあるかもしれませんが、会ったとしてもなにも語らうことはありません〕
「そういうものか」
よくわからんが、記憶はある程度残ってるが別人ってことかな。一応機会があれば話くらいしてみるか。ヨツバさんの実家も行きたいし。
「……今度お酒を買ってくるから晩酌につき合ってくれないか?」
〔私は飲めませんよ?〕
「その愛した人のことを話してくれればいいよ。いいツマミになるとおもうし」
辛い記憶は誰かに話すことで楽になる。同じように楽しかった記憶を誰かに話すのはとても楽しいものだ。
屋敷幽霊である彼女に出来る事なんて限られてる。なら、昔話に花を咲かせるくらいは俺にも出来るだろう。
相手がチトセさんだった場合の情報収集にもなるだろうし。マジで何者なんだろうなあの人。
「あ、ところでマシュマロの作り方なんて知らないよな?」
アロンダイトで思い出した。結局マシュマロを冬の間に作れるか試そうとしてうまくいかなかったんだよな。
え、作れる? じゃあ明日のお嬢様のデザートはそれにしましょうか。屋敷幽霊は一緒に家事を手伝う人がいると喜ぶって本に書かれてたし一緒に作らせてもらおうかな?
かっこいい執事と胸の大きなメイドが同じキッチンでお菓子作りをします。
ある意味この作品で一番カップルっぽい絵面……あれぇ?




