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お嬢様の執事  作者: 天然ソーダ水
学園編
44/58

外堀を埋めたてられました

前回のあらすじ

執事はヨツバさんの外堀を埋め立てました。

 眼鏡をかけて、執事モードになってからキッチンを借りてお肉を混ぜ混ぜ。


「料理長ー、ソースの味はどうです?」

「まあまあだな。あとは()()を焼いてから味の調整だ」

「了解です」


 更に充分に水に浸したあと潰した大豆を入れて混ぜ混ぜ。さて、ちょっと味に癖があるかもしれないけどそこはプロの料理人が仕上げてくれるのでおまかせだ。


 今俺が作っているのはオーク肉と新鮮な内臓と大豆を混ぜ合わせたハンバーグ。ソースのほうは味の調整もあって料理長に任せたがどうせならと玉ねぎを使った物を希望したらおろした玉ねぎでいい感じにしてくれた。隠し味はリンゴらしい……リンゴ?? とにかく味見が楽しみだ。

 と、いい感じに混ざったので小さく千切って焼いて味見。


「……ちょっと癖が強いでしょうか?」

「ふむ、ソースで誤魔化せると思うが」

「ネギありましたよね? それ入れてみます」


 寒い時期のネギは甘みもあって美味しいのできっとあうはず。

 んー、()()を考えると身体が冷えにくいようにショウガも入れてみようか。更に混ぜ混ぜ混ぜ混ぜ。小さく千切って焼き焼き焼き焼き。今度はソースもちょっとかけてもらってと。


「ん、結構美味しいんじゃないです?」

「ああ、肉の量も少なくて済むしこれから定期的に出してもいいかもしれないな」


 もう一度味見。もうこれほとんど豆腐ハンバーグだな。

 料理長のOKを貰えたので手の空いてる料理人に量産をまかせて他を考える。

 本当はこういうことって仕事場によそ者が介入してるわけだから嫌われる行為なんだけどね。

 まだこの館に入ったばかりで魔力欠乏症だったときは皿洗いとかも良くしてたから結構受け入れられてるのだ。




 さて、他にも旬の野菜使いたいな……と料理長に話してみると人参があるとのこと。

 俺もこの地で働き初めてから知ったんだが雪下にんじんというものがあるらしい。ハンバーグに添えるにはちょうどいいので下茹でして盛り付けて貰う。

 あとは、ほうれん草でなにか1品作ってもらうことにした。

 ほうれん草が美味しい時期には少し早いと言われたが……日本にいるとほうれん草の旬とか考えたことなかったよ。



■夕食


 メニューを見てお肉大好きなお嬢様が喜ぶ。

 さっそくナイフで大きく切ったお嬢様はそのままパクリ。

 いつもと違う味に一口食べて固まったところで今回のメニューの説明に入る。


 今回は簡単に言えば女の子のための料理だ。

 具体的には生理。

 もちろんどれも地球と似た食材なのでまるっきり同じとは言えないが……そこは民間療法みたいに○○を食べると身体にいいって話と照らし合わせて大体同じような効能だとわかっている。ヨツバさんにも何種類かは確認してもらったし。


 そして説明の途中から顔を赤くしてうつむいていくお嬢様。

 恥ずかしいことではないんですよ? むしろめでたいことなんです。

 ええ、決して帰ってきたら何故かベッドに赤いシミが出来てて怒ってるわけではありません。

 前世で娘や孫がまだ慣れてない頃のウッカリで汚した始末の経験もありますからね。それはそれとして何故鍵のかかっていた部屋にいたのかを問い詰めたい気持ちはありますがね!


 赤飯が作れなかったのだけは残念ですねぇ。獣魔国にモチ米があるのは知ってるんですが赤飯は買う物というイメージが強くて作り方は流石に……小豆を煮て一緒に炊くのだとしても炊飯器がないんですよ。ぐぬぬぬ……。





■夜


 眼鏡を外して一休み。結局、お嬢様はハンバーグをいつもより多くおかわりしていた。

 ……生理で食欲が増すことってあるのか? まあ、生理痛が酷い体質じゃなくてよかったことだけは確かだ。

 そういえば奥様は生理でつらそうにしているところを見たことがないな。


≪コンコンコン≫

「執事? 入っていい?」

「ダメです」


 さて、幻聴が聞こえましたね。ゆっくりと身体を休めて明日に備えなければ――


≪ガチャリ≫

「はいるねー?」

「入るね、じゃないですが」


 鍵を回す音の後にお嬢様が入ってくる。……鍵、かかってましたよね?


「ねえ、今日一緒に寝よ?」

「ダメです」

「えーー」


 いやいったい何を考えてるんですか。いいですか? お嬢様はもう立派な(と言えなくもない、かもしれない)レディです。

 本当なら今までだって見逃されていたんですよ? 今回生理が来て身体も大人になりました。

 なので男性との距離感を改めなくてはいけません。未婚の男女が同衾(どうきん)(性的な意味ではなく)だなんてもってのほかです。


 ということを懇々とお話します。


「やーーだーーー!! 大人になんてなりたくないーー!!」

「なんてこと言うんですか」

「なら最後! 最後だから!!」

「うーん……」


 親離れ、と言うのも変かもしれないですがそろそろ距離を置く予定なんですよねぇ。

 ヨツバさんは幸せにしろみたいなことを言ってたけどどうしてもそういう視点では見れないですし。


「……これからはお風呂も一緒に入りませんからね?」

「………………うん」


 なんで間が空いたんですか??

 まあ、今日が最後です多め見ましょう。


 横に寝転ぶといつものように胸元にお嬢様がくっついてくる。

 かわいいんですよねぇ。そういえば春には11歳ですか。濃い金髪に指を通すように撫でるとエメラルドのクリクリした瞳が細まり気持ちよさそうにする。

 将来、絶対に美人になりそうな辺境伯のお嬢様。今後どんな男性と知り合い、ともに道を歩いていくのか。


「ねえ、おにいちゃん」

「なんだ?」

「……好き(love)

「ああ、そうだな。()好き(like)ですよ」

「……むぅ」


 ニュアンスの違いが分かったのか頬を膨らませるお嬢様の頭をなでるとそれから逃げるように胸に頭突きをしてグリグリと押し付けてくる。羊かヤギかな?



 好意には好意で返す。悪意には法の許す範囲でやり返す。

 そう言って前世の子どもたちには教えてきた。


 今世でもそれは変わらない。好意には好意で返すのは信条だ。


 でもね? 好意ドストレートなお嬢様の気持ちに答える予定はない。

 いや、ストレートであろうと170キロ越えたら普通の人は打てないんですよ。

 そもそもお嬢様はストライクゾーンから離れてますし。


 でもその代わり、100年はこの家に仕えようとおもう。

 お嬢様の子供、なんなら孫まで見守ってからヨツバさんと結婚する。それが今の人生の最高のプランだ。


 そんなことを考えていると、いつの間にかお嬢様がスゥスゥと寝息をたてていた。

 ずっと、ずっと見守って行く。どんな敵でも倒してみせる。お嬢様のためなら――――。













「くっそ、そういうことか」


 朝、セットしていたタイマーによっていつもの時間に目を覚ます。

 ふと、視界にベッドの外に脱ぎ捨てられた小さな服とパンツが目に入ったので恐る恐る布団を捲るとそこには裸んぼのお嬢様がこちらの気も知らずにお腹を掻きながらグースカと寝ていた。

 そして……更に問題なのはお嬢様のお尻のところに赤いシミがあるのだ。


 勘違いしないでほしい、決して手は出していない。というか俺はちゃんと服を着ている。普通に生理二日目で全裸で寝たらそりゃあ下にあるものは汚れるわけで……。

 そして今、扉の方から一筋の光が差し込んできたのでギギギッと音が鳴るかのように首をそちらにむければ……。


 扉の隙間から、4つの顔が重なるようにして覗いていた。

 上から、お館様。奥様。執事長。メイド長。そしてカメラ。


 外堀が埋め立てられて四方に砦を建築された気分だ……どうしよう。

いい感じに終わるとおもったか? 馬鹿め! 逃がすものか!! by作者


ベッドinして執事が寝てから脱いだので撮影や大人メンバーに対する説明は部屋に入る前に終わってます。

つまり執事に対する告白がOKでもNOでもカメラ所持して証拠を押さえに来ていた悪い大人たちです。



本当に一緒に寝てくれるとかおにいちゃんチョロすぎない?(ちょっと顔赤い) byお嬢様

もっと身体を大事にしてください by執事

心境的にはだいたいこんな感じ


【時間差振動機】

円柱形の魔道具。

設定したい時間だけ上部を回転させ上に上げることで元に戻ったときに振動が発生する。

止めるときは上部を押し込むこと。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ♪チャララチャッチャチャ~♪ お嬢様はレベルアップした。 「少女」から「女性」にジョブチェンジした。 「画策」、「暗躍」、「根回し」を覚えた。 執事はお嬢様からは逃げられない。 [気…
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