おっしゃ言質とったぞおらぁ!!
タイトルで察してください
お嬢様との関係か……。
「まあ、それはなんとかするとして」
「出来るの?」
「……なんとかする」
「ふーん」
おっと、ヤキモチかな? ヤキモチですか?
ひょっとしてヤキモチ焼いてます?
「ニヤニヤするの気持ち悪いわよ?」
なんてこと言うの。
「とにかく! その子との関係がハッキリするまで私からの返事は保留よ!!」
「えー……」
それは酷くない? あれだけイケそうな雰囲気出しておいてここでお預けとか……。
「 (ボソリ)」
「そんなにショック? それなら――――待って今なにか言わなかった?」
「そんなことないぞー」
「……そうかしら?」
ヴィアさんは妖精族ということもあって体長は70cm前後と言ったところだ。……やっぱり押し倒せばいけるか!?
待て待て、頭を冷やせ。時間ならたっぷりあるんだ。思春期のガキじゃあるまいし感情に振り回されちゃアカン。
くっ、若い肉体に精神が引っ張られている……ッ!!
「ねぇ、貴方の気持ちにはまだ答えられないわ」
「……そうか」
「そのかわり……ね」
「ん?」
「今度から、『ヨツバ』って呼んでも……いいわよ?」
ヨツバという呼び方、それはつまり家族のように親しい関係になってもいいと言う証だ。
「式はいつにする!?」
「まだ答えられないって言ってるでしょ!!」
ポーションの瓶が飛んできたのをキャッチ!
ふははは! 二度も同じ手はくわん! 今の俺は無敵! 転生して以来のハイテンション! 今ならなんでも出来る気がする!!
「ったく……なんでこんな奴」
「いま好きになったって言ったか?」
「まだ言ってないわよ!!」
そうか……ん?
「とにかく! 100年くらいなら待ってあげるから」
「気の長い話だな」
「そうかしら? 100年なんてあっという間よ?」
一応【不老】ってスキルは持ってるけどそのへんの感覚はまだわからないなぁ。
「その100年であの子たちを幸せにしてあげること。それが条件よ」
「まだ『そういう関係』になるなんて決まってないぞ?」
「それならそれでいいわよ。私が貴方を貰ってあげるから」
ほう、さっきまであたふたしてたのにそういうこと言う?
「いいのか? お嬢様たちとそういう関係になったらそりゃあもちろん幸せにするけど……ヨツバさんが一番じゃなくなるかもしれないぞ?」
「あら? あれだけ熱い告白しておいて冷めちゃうのかしら?」
「……言ってくれる」
お互い見つめ合い、ニヤリと笑う。
「わかった、今はこの関係で我慢しておく」
「ええ、100年後。楽しみにしてるわ」
椅子から立ち上がってヨツバさんに背中を向ける。
「さてと、そろそろ帰るよ」
「そう? …………ねぇ、ちょっとこっち向いて」
「ん? っ!?」
振り返る……その時に頬に何かがあたる。
最初は指を当てるイタズラかとおもった。だけどその割には柔らかくて、振り向いた先には口を両手で抑えながら顔を赤くしているヨツバさんがいて……。
「い、いまはこれが精いっぱいだから」
「お、おぅ。 ……俺もしたほうがいいか?」
「早く帰って!!」
なにか魔法を発動させて両手に炎を出し始めたので慌てて退散する。
走って、走って。雪のつもる道を走って。凍えるような寒さのはずなのに、顔の熱が一向に冷めなかった。
……
…………
………………
「ふぅ」
【転移】で屋敷に戻って親方様に報告しにいく。
顔、緩んでいないだろうか? ちょっと歩くのがスキップ気味になってるかもしれない。
ヤバイなぁ……こんなに精神的に若かっただろうか。脳みそ溶けてるんじゃないかと自分でも疑ってしまう。
《コンコンコン》
「入っていいぞ」
「失礼します」
返事を聞いてから部屋に入る。さて報告を……ん?
「ん、ああそうだったな。ポーションの買いつけはどうだった?」
「…………忘れてました」
「キミ、何を報告しにきたんだい?」
「…………なんでしょうか?」
「…………」
「……………………行ってきます!!」
慌てて部屋を飛び出して再び【転移】で王都の転移の間に向かう。
えぇ……あの別れ方してすぐにもう一度会うの恥ずかしいんだけど。
◇◆◇◆
最近お兄ちゃんの機嫌が妙にいい。なにかいいことがあったにちがいない。
今、ポーションの受け取りに行っていて屋敷にはいない。どうやら一週間ほど前に王都にまで注文に行ったらしい。
なので! 今! お兄ちゃんの部屋には誰もしないのだ!!
というわけでメイド長主催の『淑女のためのお勉強会』をこっそりと抜け出して部屋に向かう。もちろん鍵がかかっているけどそこはほら、私ってここの長女だし? 鍵は(こっそり持ち出して無断で複製したものを)持っているのだ。
こっそりと潜入。右よーし、左よーし。ささっと身体を入れてそっと扉を閉める。
ふむふむ、学園に行く前とほとんど変わってないね? あの頃は鍵なんてかけてなかったからいつでも入れたし甘えさせてくれたのに……
ベッドに座って……ちょっと深呼吸。うん、お兄ちゃんの匂いだ。
ギシギシとちょっとだけ軋むベッドの感触を確認。使用人のみんなのベッドは人それぞれで違うらしいけどほとんどの人がバネの入ったふかふかなベッドだ。ポヨンポヨン弾むからたくさん遊べる……じゃなかった。感触が良くてぐっすり眠れる。
でもお兄ちゃんのベッドだけは木の板の上にタタミ? っていうやつを敷いて更にその上にシキフトンっていうのを敷いてるらしい。
絶対に寝心地が悪いとおもうんだけど、不思議と落ち着く匂いでウトウトとしてしまう。
「しつじのにおいする……」
室内用の靴を脱いでベッドの上をゴロンゴロン。
ギューーっと背伸びをしながら左右にゴロンゴロン♪
ついでに前回りと後ろ回りでゴロンゴロン!
掛け布団をグルグル巻いてそれに抱き着きながらグリングリン!
がっしりと抱き着いてベッドの上を暴れまわる!
たーのしーー!!
「ふーー、ふーー……」
布団に顔を押し付けながら荒くなった呼吸を整えるついでに深呼吸。
タタミっていうやつとお兄ちゃんと布団のブレンドされた匂いが肺を満たしていく……そろそろ戻らないとまずいかな?
顔を上げてしばらく余韻に浸って……仕方なく腰を上げる。
「あれ?」
グルグルに巻いた布団になにか赤いシミ? ケチャップでも服についてたかな?
ベッドに女の子座りになってから適当な布……が見当たらないから袖で拭いてみるけど……取れない?
「あれ??」
なんとかしようと思って立ち上がったらベッドにも赤いシミが??
「お嬢様? やっぱりここにいらしたんです――ね?」
「あっ、えっとこれは」
メイド長の鋭い視線が、ベッドの赤いシミを見つけた瞬間何故かやさしいものになった。
あれ? ものすごく怒られると思ったんだけど……?
子供が親の布団で遊んでそのまま寝てしまうあの感じ




