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お嬢様の執事  作者: 天然ソーダ水
学園編
42/58

外堀を埋めたので果敢に攻めます

告白回(成功するとは言っていない)


前回のあらすじ

外堀を埋め立てました。

 とりあえずいまだに拗ねているヴィアさんのためにアイテムボックスからチョコレートとミルクと片手鍋を取り出して魔法でミルクを温め始める。

 ちょっと厨房を借りて……包丁がミニサイズだったので自前の包丁を取り出してチョコレートを細かくしていく。

 ちなみに異世界だとチョコレートはちょっと高級なお菓子店になら売ってるレベルだ。日本でいうカカオ50%くらいの苦さだがどちらといえばお菓子よりお菓子の材料という扱いに近い。

 さて、ミルクを沸騰直前くらいまで温めたら細かくしたチョコレートをちょっとずついれつつかき混ぜていく。これに時間が少しかかるので立て掛けておいたヴィアさんのお義父さんに貰った剣を鑑定してみた。



≪聖魔剣アロンダイト≫

聖剣であり魔剣。実体であり虚構の剣。

聖なる力で魔を斬り魔なる力で聖を斬る幻想の剣。

半分が幻想の存在のため、壊れることはない。

特性:【不壊】



 待って、予想よりとんでもないものなんだけど。


 いや……アロンダイトって確かアーサー王伝説に出てくる剣だよね?(※違います) 同じ名前ってだけで別の剣かな……うん。きっとそうだろう。そうだと信じたい。

 大きさは胸くらいまである大剣。見た目は少し幅広いくらい刃にゲームであるようなよくわからない見た目だけの装飾。色は剣の腹半分から左右にクリーム色に近い白と黒っぽい青色のツートンカラーで分かれている。

 お義父さんは黒目黒髪だったしなんらかのチートで作ったのかな。


「……見なかったことにしよう」


 頑丈な剣を貰ったってことにしておこう。精神的な都合で。

 鞘だけあとで注文しなきゃいけないな。


 さて、アイテムボックスの奥のほうにしまい込んで溶かしたチョコレートをスプーンで味見する。うん、ミルクと混ざって個人的にはちょうどいいけどヴィアさんが飲むには苦いかな?

 砂糖をスプーンに何杯か追加して味を確認。うん、美味しい。

 シナモンとミントはいるかな? アイテムボックスにはないか。ヴィアさんの家だし調薬で使うのにもしかしたらあるかもしれないけど……んー、まあ今回はやめておこう。マシュマロがあればなぁ。ヴィアさん結構子供舌というか甘いの好きみたいだし。


 流石にマシュマロの作り方はわからないぞ……メレンゲとゼラチンがなんとかなんとか?

 原料から作るのは家庭料理の範疇を超えるけどお嬢様が喜びそうだし……この冬の間に試行錯誤してみるかな。


 よし、出来たホットミルクチョコレートを備え付けの小さなコップとアイテムボックスから出した自分用のコップに入れてっと。


「ヴィアさーん出来ましたよー」

「……うん」


 ちょっと顔が赤いが、気を持ち直したのかテーブルのところにヴィアさんが座っていた。……オデコに跡がついているがスルーしよう。


「……美味しい」

「気に入ってくれたなら良かったよ」


 ふーふーと、冷ましながら飲みつつも静かな時間が流れる。

 時折、ドサリと雪が落ちる音が聞こえてきて完全な無音ではないことを世界が教えてくれる。


「……ねぇ」

「……なぁ」


 降り積もる雪が落ちる音、部屋の灯りが揺れる中で声が重なった。


「なによ」

「いやそっちこそ」

「……」

「……」


 えーっと。


「さっきの、どういうつもりよ」

「さっきの?」

「その、お義父さんって」

「……言ってもいいのか?」


 ヴィアさんと顔を合わせる。何を言われるのか、それを察しているのか顔の赤みが増していっている。


「……言うぞ?」

「待って」

「俺はヴィアさんの事が――」

「待って、言わないで!」

「――好きだ」

「もぉ〜〜〜!!! 言わないでって言ったのにーー!!」

「その反応はどうなんだよ……」


 顔を両手で隠して空中をゴロゴロと転がるヴィアさん。それ物理法則どうなってるの? 空中に浮かんでる応用??

 ……言い方が悪かったか?


「結婚してくれ」

「ほんとコイツ何考えてるの!?」


 おー、トリプルアクセル。いやもっとギュルンギュルン回転してる。


「愛して――むぐっ!?」

「だあぁぁああ!? それ以上言わないで!!」


 高速で飛んで来たヴィアさんに口を押さえられる。

 ちょっと反応が楽しくなってきたところです。なんて言ったら怒るだろうか。


「で、でもほら。寿命が違うし!」

「さっきお義父さんが秘術のこと言ってたよな?」

「そ、それはほら。滅多に使われないから!」

「どちらにしても寿命が伸びるスキル持ってるから安心してくれ」

「あ、あれよ! 人間は人間とお付き合いしたほうがいいとおもうのよ!」

「いや別に種族とか気にしないが」

「うぅ……えーっと……えっと……」

「なにも、問題ないよな?」


 逃げられないように、ヴィアさんの小さな手をとり、両手を両手で包み込むようにして重ねる。

 じっと瞳を見て、今度こそ逃げられないように追い詰める。


「今、返事が聞きたい」

「〜〜〜〜ッッ!!」


 記憶にある中で、過去最高に赤く染まるヴィアさんが愛らしい。

 恋ではなく、愛。この人と残りの時間を過ごして歳をとっていきたいというある意味オジサンくさいとも言える感情。まあ中身はオジサンなんだけども。


「……そ、そうね」

「うん」

「……そ、そのね」

「うん」

「…………そ、そうだ! あの娘さんのことはどうするのよ!」

「うん?」

「この前連れてきた女の子よ! ()()()るんでしょ!」

「うーん……」


 おのれまだ逃げるか。このまま押せ押せで()()()のでは? と思ったんだけど。


 いやしかしお嬢様か……個人的には娘枠で恋愛感情なんて持ち合わせてないんだがお嬢様のほうは恋愛感情もってるよなぁ。

 執事という立場、辺境伯の娘と来て王族のひとりが近くにいるのがこの前わかったし。

 権力で攻められると無理矢理婚約させられる可能性もあるか? あのお館様に限ってそんな権力を振りかざすようなことはしないとおもうけど……根回しくらいは必要になるか??

アロンダイト

最近だと人理修復のあのゲームやzeroなアニメで有名になったあの剣。

ランスロットが持っていたという聖剣。後に魔剣に堕ちてしまう。

あのエクスカリバーと打ち合っても決して刃毀れしなかったとか。

本作主人公も勘違いしていたが実はアーサー王伝説には登場しない。にも関わらす14世紀の別の本でランスロットが持ってた的なことを書かれたあと19世紀以降いろんな本にランスロットの剣と書かれたある意味謎の聖剣(魔剣)らしい。

そのへんを考えてこういう壊れない頑丈な剣として登場させました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 外堀(環境)は埋められたが、 内堀(精神)はいまだ健在なり。 本丸を攻撃する大砲(言葉)は 次弾装填済み。 [気になる点] >あのお館様に限ってそんな権力を振りかざすようなことはしないと…
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