妖精族のヨツヴィアさん-②
「なあ、ヨツバ。俺と、付き合ってくれないか?」
ヨツバというのはヴィアさんのもうひとつの愛称で特に親しい人、つまり婚姻を結ぶくらいの関係になって始めて呼んでもいい愛称らしい。
その意味を含めて、意を決して言葉を口から紡ぐ。その答えは……
「えーもう夜だよ? 買い物なら明日行こうよ」
違う。そうじゃない。ふと、ヴィアさんの耳が少し赤くなってるのが見えた。お酒のせいなのか。久々の再会でテンションが上がって高揚してるのか。それとも今の言葉の真意に気づいてくれたのか。ただまあ、こりゃダメかなぁ。この関係を壊したくないというズルい想いがある。しかし……うーん。
ハァ、いくつになっても失恋は辛いものがあるな。
「ああ、ちょっと今女の子の護衛をしていてな。何が喜ばれるかとおもって」
眠って、スゥスゥと無防備に肩を上下させている小さい身体に毛布を掛けながら一人ごちる。
「まったく、お前が先に死なれるのは嫌って言ったんだぞ? 目が覚めて、好きな人が横にいないのは耐えられないって。【不老】ってスキルもそのために手に入れたんだけどなぁ」
まあ、それを理由に付き合ってくれっていうのは違うと思って言わなかったけど。うーん、もっと押せ押せで迫ったほうが良かったんだろうか?
彼女の髪を撫でながら、胸にチクりとしたものを感じながら、ミードを呷るのだった。
翌朝、執事としての日課か早めに起きてしまう。ヴィアさんはベッドに寝かせてあるので自分はソファーで寝たのだ。いかがわしいことなんてしてないぞ?
とりあえず一晩泊まったお礼もかねて朝食の準備をする。妖精族は魚や肉は食べず、蜂蜜や果実などを好む。まあ食べないって言っても栄養が吸収できないとかじゃなくてほんの少しの臭みでも無理! とのことだ。ヴィアさんの言葉なので本人の好みの可能性もあるが。あとは野菜関連はだいたい大丈夫らしい。
うーん、時間はあるし2パターン用意するか。まずはフライパンと魔法コンロを使ってお米を炊く。日本では家族が出来てからは炊飯器で炊いていたが二人分を一回で炊くならフライパンで炊くほうがおいしくなる。炊いたのを冷蔵庫で保管って手もあるんだが炊きだちが一番だよね。
フライパンでお米を炊いてる間にもう一つフライパンを準備してホットケーキを焼く。とりあえず二つ焼いて……こっちはお嬢様も食べるのでいくつあってもいいか。材料をアイテムボックスからだして量産体制に入る。
ご飯が炊けたらアイテムボックスに。肉や魚がダメなので副食はシンプルにお味噌汁に。この国には何人も転生者が関わってるらしくお味噌や醤油まで完備されている。マジでありがとう先人たち。豆腐とネギ多めでっと。こうなると焼き魚が食べたいが……豆腐に変更するか? 味噌汁の中身と被るな。揚げ出しは作ってる暇ないかな~? とアイテムボックスをガサゴソ。お、厚揚げあった。こっちに変更っと。
温めたフライパンに揚げ物用の油を……油ない!? また変更。ぐぬぅ……。フライパンにひく程度はあったので軽く塗ってから弱火でカリッとするまで両面を焼く。焼き終わったら熱い間にアイテムボックスに放り込んでからお酒をフライパンに入れてアルコールを飛ばす。火を止めて冷ましながら砂糖と醤油で味を調整してめんつゆっぽい味に近づける。こんなもんかな? っと、パンケーキ6つめもアイテムボックスに収納。
これで日本食3品とパンケーキの準備完了。さて、ヴィアさんをそろそろ起こそうかな。
ベッドに寝かせたヴィアさんが起き上がる。
「おはよう」
「んあぁぁ、よく寝た〜。うん、おはよう!」
だいぶ女の子がしちゃいけない顔したけど!?
「朝ご飯どうする? 和食とパンケーキあるけど」
「ん〜、どうせだし一緒に和食食べよう?」
「了解。準備するから顔洗って来なさい」
「はーい」
なんだろうか、俺の周りの女性って女子力低いんだろうか? そういえば女の子の手料理なんてこっちの世界に来てから食べた記憶がないぞ。
料理部分はわりと適当ですorz




