五日後 お嬢様の試験
お嬢様と馬車で学園に向かっている。ついに入学試験の日だ。この5日間勉強をしている姿を見なかったが大丈夫だろうか?そう思いながら学園の外でお嬢様を待っている。
≪パァン!≫
なにかが弾けた音が聞こえる。
「試験会場の方からだな…」
念話での連絡もないのでスルーする。毎回毎回原因がお嬢様だと決めつけるのは良くないからな。
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今日はついに入学試験だ。
お兄ちゃんは心配そうな顔をしているけど簡単な計算とこの国の歴史。あと魔法の適性検査って聞いてる。1位は無理かもしれないけど上位に入る自信はあるんだけどなぁ。
「じゃあ行ってくるね」
「いってらっしゃいませ、お嬢様」
お兄ちゃんを待合室にみたいなところに残して教室に向かう。他にも何人か執事がいたけどお兄ちゃんが一番カッコいいと思う。執事姿の時は話し方が硬いし、お兄ちゃんって呼べないけどメガネ姿がかっこいいし、よほど危ないことじゃなければなんでもお願い聞いてくれるし。あ、もちろんメガネなんてなくてもかっこいいんだよ? っとそんなことを考えてたら教室に着いてしまった。よし、がんばろう!
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う~ん、まずい。計算はいい出来だとおもうけど歴史があまりよくなかったわ。なにが起こったのかだいたい覚えてるけど年代なんて知らないわよ…そんなの覚えなくてもいいじゃん。うぅ…おにいちゃんに叱られるかもしれない。
いや、魔法の試験で挽回すればいいのよ。適性検査はお兄ちゃんが調べたときと同じ水と風属性。既に魔法が使える子はあの的に当てればいいのね?
「では、あそこにある的に一番得意な魔法を当ててください」
試験官と思わしき人が言う。次は私だ。
「ミリアス・サヴァテリアですね。ではどうぞ」
目を閉じて集中する。イメージするのは風の圧縮。実戦じゃないなら多少時間は掛かってもいいだろう。試験会場に入る時に渡された試験用の杖に魔力を通す。
少し魔力が使いやすくなった気がする?まあいいや。お兄ちゃんが使っていた様子を思い出す。狼に囲まれた時、クマが突進してきた時、直接ぶつけたり地面に当てることで私を何度も助けてくれた。
お兄ちゃんはこの魔法を「所謂エアバレットやエアショットと呼ばれている魔法をちょっと改良しただけで特に名前はない」って言っていた。それだと困る。だからイメージを固まるだめに私用に名前を付ける。ちょっと恥ずかしいけど心の中で。
(執事流…『執事ショット』!)
自分でもどうかと思うネーミングだけどこれが一番しっくりきたんだから仕方がない。
杖の先にとどまっていた空気の塊はいきおいよく的に飛んでいき大きな音を立てて的を破壊した。流石執事魔法。なぜか固まっている試験官にお辞儀をして会場を後にした。早くお兄ちゃんに会わなくっちゃ!!
私以外に的を壊せてなかったしこれで一位に決まりだもん!(杖は後日、執事が返却しました。)
どうも、学園を探索中の執事です。
待合室の7割が女性だったので逃げて…ゲフン。時間がある時にお嬢様が生活する学園の構造を確認しているのです。いや~、男性でも老執事だったり渋い感じならいいのかもしれないけど自分のような若僧には居心地が悪い。そういえば一人だけ10から12歳くらいの子がいたな。なにか訳アリだろうか?
まあそんなわけで学園を探索しながらスキルでマッピングしてたわけなんだけど……正面にめっちゃ慌ててる女の子がいる。背は高いがお嬢様と同い年くらいだろうか?綺麗な黒髪でおかっぱ。昭和の袴っぽい服を着ているけど異世界に来て初めて見るな。
あ、目が合った。なんか怖がられてる?くっ…やはり老執事キャラがいいのか?こればっかりはどうにもならんぞ。
「あ、あの…」
思考の海に沈んでいたら向こうから話しかけてきた。
「あの!試験会場ってどっちでしょうか?」
どうやら迷子だったらしい。
道すがら話を聞くと適性検査の前にトイレに行ったらそのまま迷ってしまったらしい。
「ほら、ここをまっすぐで会場に着くから」
「わあ!ありがとうございます!!」
感謝されたのでこっちもニッコリ笑顔で返す。
「あの、名前を聞いてもいいですか?」
「ただの通りすがりの執事ですよ。気にしなくて大丈夫です」
なんだかフラグの気配を感じたので叩き壊す。ついでにお嬢様の気配も近づいているので早く切り上げたい。
「では、私はこれで失礼します。試験頑張ってくださいね」
そう言ってその場から離れる。
「お兄いぃぃぃちゃ~~~ん!」
角を曲がると同時にお嬢様が駆けてくる。まずは廊下を走ってはいけないことを教えないといけないのか?
「しかし、なんか大きなチワワみたいな子だったな」
さきほどまで一緒にいた単眼族の少女のことを思い出しながら
お嬢様の突進を避けるのであった。
最後に会った女の子の服は「はいから○んが通る」の主人公みたいな服。袴?なんて言うんだろう




