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お嬢様の執事  作者: 天然ソーダ水
学園編
22/58

念話

<お嬢様、もう少し魔力をなじませるようにです>


 ガタゴトと揺れる馬車の中、お嬢様とオデコとくっつけて念話の練習中です。


<魔力の波を合わせるんです。ゆっくりでいいですよ>


 お嬢様の両手を掴みオデコをくっつけながら念話でそう伝える。

 はた目からは目をつぶって真っ赤になってる少女を至近距離で無言で見つめる男性である。

 念話は波長を合わせた半径20m内の人物に思念を伝える魔法だ。これを使えば例えば授業中にお嬢様から質問があればこたえられるをおもったのだが


(人に合わせることが苦手なんですよねぇ)


 子供の時から(今も子供だが)猪突猛進なところがあったがこんなところで弊害が出るとは…



 結局時間はかかったがなんとか習得できたようだ。まだまだ不安定で交信できる距離も短いが慣れれば少しずつ改善していくだろう。


 その後は特に魔物に襲われることもなく、いくつか町を通り過ぎついに王都に着いたのだった。



====================



「護衛ごくろうさまでした。お嬢様、こちらにサインをお願いします」


 依頼完了のサインをお嬢様にさせ冒険者に返す。


「こちらも有意義な旅でした」

「いえいえこちらこそ」


 魔法使いの女性と握手をして別れる。お嬢様の視線が刺さる気がするが無視だ。


「ではお嬢様、もう数時間で日が暮れます。宿の方は予約が済んでいますので向かいましょう」

「いつのまに?」

「執事ですから」


 午前中の休息時間に転移で王都まで先に行ってただけです。


「すでに何人かの貴族が宿泊していたのでややグレードは落ちますが王都で一番人気の宿の予約がとれましたよ」

「さすが私の執事ね!」


よし、機嫌が良くなった。




 ……とおもってたんだけどなぁ。


「なんで別々の部屋なの?」

「1人部屋と二つ予約したからですね」


 お嬢様、ご立腹である。


「隣の部屋なのでお嬢様の念話でも届く範囲です。問題は何もありません」

「いやよ!一緒に寝るんだから!」


 そういうとこちらの鍵もひったくり走っていってしまった。学園は自立性を促す場でもあるんだが今から心配になってきた。

 と、不安にふけっているとお嬢様が走って戻ってきた。


「一つ下のグレードになるけど二人部屋が借りれたわ!料理のほうはもう準備し終わってたらしいからそのまま持ってきてもらうように頼んだから」


 決断と行動が早い。


「あ、もうお風呂入れるらしいわよ?デッカイお風呂らしいし、ゆっくり入るからお兄…執事もゆっくり入るのよ?」


 そういうと走っていってしまった。

 部屋の番号聞いてないんですが。


 【遠視】を発動してお嬢様を追跡する。部屋に荷物を放り投げるとさっさと出て行ってしまった。少しため息をしつつ部屋に向かい荷物を置く。鍵も荷物と一緒に投げてあるじゃないですか…

 なんだか精神的に疲れたのでゆっくりお風呂に入るとしよう。




 お風呂から上がってラフな格好はせずに執事服に手を通す。せめて食事が終わるまでは気が抜けない。


「お兄…しつじ~」


 執事服を見て呼び直しましたか。って…


「髪が濡れたままじゃないですか」


 なぜ幼児は髪をちゃんと拭かないのか。


「ほら、タオルを貸してください」


 少し乱暴に拭きつつしっかりと水分と取った後、魔法で温風を出してしっかりと乾かす。そのあと冷風で冷やした後クシを使って整えて…ヨシ。


「へへ~、やっぱり執事が乾かすといいね♪」


 なにがいいのか。ちゃんと自分で拭くようになってほしい、



 その後、食事をとり同じベッドで寝る。ツインじゃなくてダブルベッドだったのは予想外だがお嬢様の機嫌がいいので良しとする。……もしかして甘やかしすぎなのかもしれない。

 高級宿なので個人情報は守ってくれるだろうが本来なら貴族の娘が貞操を疑われるようなことをするのはまずいのだ。人の気も知らずに懐に潜りこんですでに寝息をたててる自分の仕える主人にはいろいろ苦言を申したい気分だが長旅の疲れもあるんだ。今日くらいはいいさ。










 まあ最終手段として責任を取る覚悟がないわけではない。だがお嬢様にはこれからいろんな出会いがあるのにこんなところで悪評が立ってほしくないんだよ。

ノクターンのほうが人気出ててこっちが停滞中です。申し訳ないorz

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