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お嬢様の執事  作者: 天然ソーダ水
学園編
21/58

学園へ(道中での魔法談義)

 学園まであと一ヶ月。俺とお嬢様は馬車で出発するところだった。


「がんばってくるんだぞー」

「気をつけてねー」


 みんなに見送られる中、お嬢様の妹と弟は俺の足にしがみついて泣いている…そこはお嬢様に抱くつくのが普通では?メイド長と執事長に引きはがしてもらいお嬢様と一緒に馬車に入る。

 最初は転移魔法で行く話も出たのだが途中の村にお金を落とすのも領主の仕事とのことで三ケ月かけて馬車で王都まで行くことになった。

 ちなみに転移と言っても王都の入り口に専用の場所がありそこで税を取られる。そこ以外に転移するのはもちろん()()()()王都内は転移禁止だ。まあ重要施設はそもそも転移防止の結界があるのだが。




「出発するのか?」

「はい、今回はよろしくお願いします」


 そう言って頭を下げる。声をかけてきたのはBランクパーティのリーダーだ。今回王都に向かうにあたりBランク10人までで募集をかけたところ2パーティが参加してくれた。自分は表向きはただの何の変哲もない執事だからね。この人がまとめ役になったんだろう。




 まあそうはいっても平和なもので五日目にゴブリンが出た以外はとくになにもなかった。

 その日の昼休憩…


「ねえねえ執事、さっきの人、ウィンドカッターって言ってたね。「風刃」とは違うの?」

「いえ、同じですよ。あくまでもイメージを固めるために行ってるんです。まあ流派があればその流派で決まった言葉がある場合もありますが」

「じゃあ私は執事流?」

「そんな流派はありませんよ。イメージさえ固まれば何も言わなくてもいいんです」


 ん?噂をすればさっきの人が近づいてきた。聞こえたかな?


「あら?お嬢さんは魔法が使えるの?」

「うん!執事に教えてもらったの!」

「まあ初歩ですけどね。詳しくは学園で習ってもらう予定ですよ」

「あらそうなの? ところでさっきの話なんだけど詳しく聞かせてもらっていいかしら?」


 なにか変な事言ったかな?


「詠唱よりイメージって話よ。私は詠唱を暗記することから始めたから」


 ああ、なるほど。


「まあ考え方の違いですかね。詠唱をして魔法を使ってるところを見ればそういうものだと()()()()ことが出来ます。

 結果的には魔法が使えるのでこの方法でも問題ないんですよ」

「じゃあ流派って言うのは?」

「王国でも北部と南部で微妙に違いますし隣の帝国だと全然違いますよ?」

「なるほどね…」

「へ~」


 お嬢様は理解できてるのかな?実際にやって見せるほうがいいんだが…お、ちょうどいい。


「いまあそこに蝶が飛んでいますね?

 ちょっと実験してみましょう。【スリープ】」


 フラフラと落ちてくる蝶を風魔法で手元に運ぶ。


「【覚醒】。これが普通に眠らせる方法だと思います」


 二人とも頷いている。


「さっき例えた【風刃】だってエアスラッシュやエアカッターやウィンドカッターなんて呼ばれています。つまりイメージさえ固めれば……【()()()()()()()】」


 飛び立とうとしていた蝶が再び手のひらで眠り始める。


「まあこんな感じです。じゃあ【()()()()】」


 そういうと蝶は飛び立っていった。


「どうです?おもしろいでしょう?魔法はもっと自由にイメージする方が良いんですよ」


 イタズラが成功したようにニッコリ笑いながら言う。しまったな、執事の仮面が剥がれてるかもしれない。

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