お嬢様、ちょっと反省する
その後、風魔法を教えながら応用に移る。
「今、風を魔法で生み出していましたが今度は周りの空気を動かすイメージでやってみましょう」
「ん~…えい!」
まだ魔法名は教えていないので集めた風を近くの木にぶつけてるだけだ。
「どうですか?」
「少しの魔力でできた…かな?」
「はいそうですよ。よくできましたね」
頭をなでておく。正直かなり飲み込みがいい。
「魔力を使って物質を生み出すより周囲のものを使う方が少ない魔力で強い魔法が使えます。ただ土系の魔法は周囲の土を集めてしまうので洞窟などで使うと崩落する危険があります」
その間も大人しくなでられてる。ちゃんと聞いてるんだろうか…いや眠そうだなこれ。
「今回はここまでにしてゆっくり休みましょうか。お勉強のほうは明日に回すように言っておきますので」
「…おんぶ」
「はいはい、お嬢様」
執事よりも師匠として厳しく教えるつもりだったけど甘やかしすぎだろうか?
結局、館に着くまでに寝てしまったにで【クリーン】をかけて夕食まで寝かせることにする。おやすみなさい。
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「風刃!」
お嬢様が唱えた魔法が二の腕ほどの太さの木を切断する。
「お見事」
めっちゃドヤ顔してる。順調すぎるなぁ…この辺で一度伸びた鼻を折っておくのも必要かもしれない。
「そろそろ実戦をしてもいいかもしれませんね」
「実戦?」
「はい、ゴブリン退治ですね。
お館様からは絶対にケガをさせないことを条件に許可をもらっています」
「じゃあさっそくいきましょう!」
そういうと馬舎まで走っていってしまった。
えっと…もしかしてそのヒラヒラスカートと杖だけで行くつもりですか?
森の入り口にジョセフィーヌに乗ったお嬢様がいます。
「本当にその格好で?」
「大丈夫よ」
いつものスカートに杖だけとは舐めてますね。とりあえずジョセフィーヌから降ろしてしばらく進むとゴブリンの痕跡を発見した。
「見てください。足跡です。何度か通ったあともあるので近くにいるかもしれませんね」
そういうとお嬢様は真面目な顔つきになる。
しばらく様子を見ながら進むとゴブリンが三匹、木の実を取っているのが見えてきた。
「二匹は私が倒します。お嬢様は残った一匹をお願いします」
正直10歳に任せるべきではないのだが…これもお嬢様の為。
わざと音を出して姿を現し、こちらに振りかえろうとするのを【風刃】で二匹の首をはねる。残った一匹は驚いた様子だが俺の後ろからお嬢様が飛び出すと下卑た笑みを浮かべる。というかなんでお嬢様突っ込むの?魔法は?
「いけ!【風弾】!」
走りながら魔法を放つが狙いがそれてしまっている。
(動きながらの魔法の構築は難しいはずなんだけどなぁ…あ、だから刃系じゃなくて簡単な弾系にしたのか)
感心していると今度はゴブリンが手に持っていた木の実をお嬢様に投げつけていた。
顔面に向かって投げられた木の実におもわず両手で自分の視界を塞いでしまうお嬢様。
(あーこれはまずい)
そこにタックルを仕掛けたゴブリンがお嬢様を押し倒す
「ギャ!?」
頭を打ち突けたお嬢様がゴブリンみたいな声を出してる。地面は柔らかいのであのくらいならタンコブも出来ないだろう。
そしてゴブリンは手に持った石のナイフを両手で振りかぶりお嬢様の胸に……
「はいそこまで」
刺す前に後ろから蹴り殺す。
脳漿がお嬢様の顔にかかったが気にしてる余裕はないようだ。
「【クリーン】。【ヒール】。大丈夫そうですね」
放心状態で首を横に振っているがとりあえず手をとり上半身を起こさせる。
「反省もありますが今回のこともこれからのことも話し合いましょう」
そうして立ち上がらせようとするが…ああ、なるほど。
俺はそっと懐から出すようにしてアイテムボックスからくまさんパンツを取り出す。
「こんなこともあろうかとお召し物の予備は一通り揃えてあります」
スカートで座り込んでいたせいか被害は下着だけだろう。表面をきれいにする【クリーン】ではしみ込んだ汚れは完全にはキレイに出来ないからな。
「……」
放心状態だったお嬢様が赤い顔で睨んでくる。
「申し訳ありません。うさぎさんパンツですか」
そう言って懐から取り出す。
「~~~~っ!!」
しばらくポカポカされたあとうさぎさんパンツを持って茂みに入っていくお嬢様。これでトラウマになったりしないといいけど。
「【風刃】!【風刃】!【風刃】!!」
土が舞うのが見えた。証拠隠滅したようだ。
「執事!帰るわよ!」
「はい、お嬢様」
これで強くなることをやめるのか続けるのかはお嬢様次第。ジョセフィーヌの背中に二人で乗りながら帰路につく。あ、ゴブリンの処理忘れた。
ちょっとSっぽい執事
厩舎か馬舎か迷ったけど馬舎のほうが文字として連想しやすいかな?




