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お嬢様の執事  作者: 天然ソーダ水
私はお嬢様の執事
17/58

お嬢様の訓練-初めての魔法-

「わたし、強くなりたい!」


 入学まであと二ヶ月。王国まで馬で2週間、馬車で3週間なので余裕を見て一ヶ月前に辺境伯領から出発するとしても後一ヶ月を切ったところで急にお嬢様が強くなりたいと言い出した。


「弟と妹を守れるおねえちゃんになるの!」


 心意気はいいんですけどね?


「御屋形様に聞いてみましょう。反対されるとおもいますよ?」

「聞いてくる!」


 そういうと飛び出して行ってしまった。

 よし、扉は無事だ。成長したんですね…。転移を使って領主の仕事部屋の前で待機する。


「あれ?」


 お嬢様は不思議そうな顔をしているがそういえば転移魔法は秘密にしてたっけ。


「執事ですので」


 そう言って頭を下げるとなんとか納得したようだ。


≪コンコン≫


「失礼します」


 部屋に入るお嬢様に従い後ろについていく。


「おや、ミリーか。ノックをしたのはいいけど返事を聞く前に扉を開けてはダメだよ?」



~相談中。しばらくお待ちください~



「う~ん。そもそもなぜ急に強くなりたいと思ったんだい?」

「ジョセフィーヌが森から出てきたゴブリンを倒してたから私もあのくらい強くならなくちゃっておもって」


 原因おれだった!?


「わかったよ。自衛出来るにこしたことはないからね。タイガ、この件は一任する」

「よろしいので?」

「諦めそうにないからね。キミもほとんど覚える必要のあることは覚えたみたいだし教えてあげてほしい」

「…了解しました」



 お嬢様を訓練することになったのでとりあえず刃引きした剣を持たせてみた。


「重い~~」


 なんとか持てるようだがあっちにふらふらこっちにふらふらと危なっかしい。


 次、というかこっちが本命で魔法の適性を調べてみることにした。これには専用の試験紙があるのでアイテムボックスから取り出す。


「この紙に生活魔法の【飲み水(ウォーター)】をかけてください」


 スキル名を唱えるだけで誰でも使える魔法。この世界の神からの贈り物とさえ言われる魔法であって魔法とは違う不思議なスキル。それが生活魔法だ。


「青と緑。水と風属性ですね」


 2つか。珍しくはないが優秀とされる部類だ。


「ねぇねぇ、執事は?」

「私ですか?一通り使えますが水、土、風が得意ですね」

「いっしょだね~」


 似たような傾向だったのがよかったのか嬉しそうにしてるお嬢様ほんとかわいい。


「ではまずは知識からです。

 私たち人間は呼吸と共に空気中の魔素を吸い込み体内に蓄えます。

 その蓄えた魔力を練り上げて放出するのが魔法です。

 まずは感覚をつかむことは大事ですから少し魔力を流してみますね」


 お嬢様の心臓付近に手を当てお嬢様の右手を左手でつかむ。


「基本、右利きの人は右手か手に持った杖から魔法を放ちます。これは慣れれば両手どちらからでも撃てるようになるのでこだわる必要はありません」


 説明をしつつ魔力を胸のあたりにゆっくりと送る。


「あったかい…?」

「はい、その熱を覚えておいてくださいね?」


 次は胸に送った魔力を右手側から吸い上げる。


「魔力は血液に乗って体中をめぐっています。なので心臓から送られる流れに逆らわずに魔力の流れを作るのが大事ですね」


 顔が少し赤くなっている気もするが10分ほど続ける。


「そのまま右手に水が溜まるイメージをしてください。ゆっくりでいいですよ?」


 そう言いながら繋いでいた手をほどき手のひらを上に向かせた状態で下から手を添えるような形にする。


「わ…わっ!!」


 すると水があふれるように湧いてきた。もしかしたらお嬢様は天才かもしれない。(執事バカ)


「初めてで成功するとは流石です。では蛇口を閉めるイメージで魔力を止めてください」


 すると水があふれるのが止まり手のひらに溜まっていた水も消えていく。


「あれ?もう乾いたの?」

「魔力で作った()()は常に魔力を込めていないと消えてしまうんですよ」

「へ~。あれ?生活魔法の【ウォーター】は?」

「あれは空気中にある水分を濾過しながら集めてるんですよ」

「空気に水があるの?」

「はい、水を沸騰させると湯気が出ますよね?あれを集めていると思ってもらって構いません」

「へ~…?」


 コテンと首をかしげているのでわかっていないのかもしれない。かわいいけども。

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